海外ジャーナルクラブ
2年前
Blairらは、 急性咳嗽・気道感染症でプライマリケアに来院した小児を対象に、 抗菌薬適正使用のための多面的介入の効果を2群間ランダム化比較試験で検討。 その結果、 抗菌薬適正使用のための多面的介入は全体的な抗菌薬調剤を減少させたり、 呼吸器感染症関連の入院を増加させたりすることはなかった。 本研究はBMJ誌において発表された。
究極には、 症状を引き起こしているpathogenがウイルスなのか細菌なのか、 細菌であればどの細菌なのか?ここがクリアにならなければ全般的な抗菌薬処方への介入は難しい、 ということを示唆しているようにも思えます。 しかしながら、 本研究結果が実臨床にどのような影響を与えるかということよりも半分以上期間がコロナ禍の中このような大規模な研究をやり遂げられる英国研究グループの凄さを感じます。
呼吸器感染症の小児に対する抗菌薬の適切な管理は、 耐性菌の増加を防ぐために重要であり、 そのための多面的な介入が求められている。
英国のプライマリケア診療所でCOVID-19の流行前と流行中に呼吸器感染症を呈した0~9歳の児童。
12カ月間の試験期間中に処方されたアモキシシリンおよびマクロライド系抗菌薬の処方調剤率、 呼吸器感染症による入院率。
310の診療所のうち、 95% (294診療所) がランダム化された。
介入群:144診療所
対照群;150診療所
12施設 (4%) がその後脱落した (6施設はパンデミックのため)。
介入群と対照群の間で抗菌薬調剤に差があるという証拠は認められなかった。
率比1.011、 95%CI 0.992-1.029、 P=0.25
サブグループ解析では、 処方する看護師の数が少ない介入診療所で調剤の減少が示唆された。 これは単施設の診療所 (複数施設と比較)、 社会経済的困窮度の低い地域にある診療所でみられ、 今後の調査が必要と思われた。
事前に規定された感度解析では、 介入群では年長児の調剤が減少することが示唆された (P=0.03)。
事後感度解析では、 パンデミック前に介入診療所で調剤が減少したことが示唆された。
率比0.967、 0.946-0.989、 P=0.003
介入診療所における呼吸器感染症による入院率 (13[95%CI 10-18]/1000児) は、 対照診療所 (15[95%CI 12-20]/1000児) と比較して非劣性であった。
率比0.952、 0.905-1.003
呼吸器感染症の小児に対するこの多面的な介入は、 全体的な抗菌薬調剤の減少や、 呼吸器感染症関連の入院などの増加には繋がらなかった。 一部のサブグループや状況 (例えば、 非パンデミックな状況下) において、 介入は処方率をわずかに減少させたが、 臨床的に関連する方法ではないことが示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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