HOKUTO編集部
4ヶ月前
オピオイドの投与経路と剤形について、 厚生労働省の 「医療用麻薬適正使用ガイダンス」¹⁾を基に、 それぞれの特徴と注意点について概説する。
⭕ 剤形が多く、 利便性を考慮した選択が可能。
❌ 悪心・嘔吐や消化管障害が、 薬の吸収に影響する。 その際は他の投与経路を検討する。
該当薬剤 : トラマドール、 コデイン、 モルヒネ、 オキシコドン、 ヒドロモルフォン、 タペンタドール、 メサドン
⭕ 経皮的に吸収され、 全身作用を示す。 繰り返し貼付後、 安定した血中濃度が維持される。
❌ 徐々に血中濃度が上昇するため、 鎮痛効果が得られるまで時間を要する。 痛みの増強時など、 速やかに鎮痛効果の増強が必要な場面では用量調節が行いにくい。
該当薬剤 : フェンタニル
⭕ 口腔粘膜から吸収され、 経口薬より速やかに全身作用を示す。 レスキュー薬として使用。
❌ 鎮痛効果の持続時間が短く、 定時投与薬としては使用しない。
該当薬剤 : フェンタニル
⭕ 門脈系と下大静脈系の両方から吸収され、 経口投与と静脈内投与の中間的な位置づけ。 経口投与が適さない場合に選択されることが多い。 定時投与薬・レスキューいずれも使用可。
❌ 患者自身での投与が困難なことがある。 頻回の直腸内投与は、 直腸粘膜に損傷を与えることがあり、 投与回数に留意する。
該当薬剤 : モルヒネ
⭕ 持続皮下投与では、 患者や家族による抜針・刺入が可能で、 在宅でも使用できるものがある。 自身でボタンを押すとレスキュー薬が投与されるPCAポンプを使うこともできる。
❌ 筋肉内投与は、 継続的な投与には適さない。 持続皮下投与では、 同一部位からは1時間あたり1mL程度が吸収限界と考えられている。
該当薬剤 : トラマドール (*筋注のみ承認)、 モルヒネ、 オキシコドン、 ヒドロモルフォン、 フェンタニル
👨⚕️進行癌の患者は、 種々の理由で唾液分泌が障害されています。 散剤服用が困難な場合は、 内服液を選んだり、 とろみ水や服薬補助ゼリーに混ぜるとよいでしょう。
簡易懸濁法を用いて徐放製剤を投与する場合は、 モルヒネ硫酸塩水和物徐放細粒が選択できます。 この際、 水で溶解するとシリンジ内の残存細粒が多くなるため、 "経腸栄養剤や牛乳で溶解すること"がポイントです。
<出典>
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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