HOKUTO編集部
8ヶ月前

2025年7月4~6日に独・バイエルンでHTLV European Research Network (HERN) Conference 2025が開催されました。 HTLV-1およびATL、 炎症性疾患に関する最新の知見を交換する同会に、 今年は日本から唯一参加された大阪国際がんセンター血液内科副部長の藤重夫先生に、 会場の雰囲気や現地の様子についてご報告いただきました。
2025年7月に独・バイエルン州のエアランゲン (Erlangen) で開催された 「HTLV European Research Network (HERN) Conference 2025」 に参加しました。 本学会は、 ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1) および、 それが引き起こす成人T細胞白血病/リンパ腫 (ATL) や、 炎症性疾患に関する最新の知見を交換する重要な機会です。 本稿では、 現地の様子と併せて学会や開催地の様子を紹介します。

学会の会場となったのは、 エアランゲン大学病院のウイルス学研究所でした。 エアランゲンは、 フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクを擁する学術都市として知られているようで、 歴史的な街並みの落ち着いた雰囲気でした。 興味深いのは、 街の人口約11万8,000人に対し、 学生が約4万人を占めるという、 まさに 「大学が街の中心」 である点です。 この高い学生比率が、 街全体に活気と知的な雰囲気をもたらしていると感じました。

また、 会場の施設の周りを歩いて特に印象深かったのは、 会場でもあるエアランゲン大学病院では、 敷地内では複数のおそらく病院や研究施設が建設中であり、 この規模の街においては目を見張るものがありました。 ウェブで調べてみますと、 AIを用いたリアルタイム診断・治療センター (Center for AI-based Real-time Medical Diagnostics and Therapy; CARE-MED) ¹⁾などの新設が進んでいるようで、 大学全体が非常にアクティブであるという印象を強く受けました。
本学会は、 HTLV-1研究における欧州の主要なプラットフォームであり、 もともとは英国の先生が中心となり設立を進められたようです。 学生の発表も多く、 若手研究者も関心を示しているのかと感じました。
残念ながら、 日本からは私しか参加しておらずHTLV-1関連学会としては意外でしたが、 ちょうど第65回日本リンパ腫学会と会期が被っていたことも影響していたかもしれません。 ただ、 私自身はヨーロッパのみならずブラジルやオーストラリアの先生など新しい知り合いもできて、 今後の自身の研究・臨床活動にとって大きな刺激を受けました。
滞在期間中、 日本でもニュースになっていたようですがヨーロッパは折しも熱波に見舞われており、 日中の気温が30℃を超える日が続きました。 エアランゲンの7月の平均気温は25℃前後とのことですが、 それを大きく上回る暑さで、 温暖化の影響を実感させられました。 また、 ドイツ国内の移動で利用した高速鉄道ICE (インターシティエクスプレス) が大幅に遅延するという、 よくあるハプニングにも見舞われました。 やはり少し余裕のある旅程にしておいて良かったと感じました。

来年は国際的なHTLV-1の学会であるHTLV 2026が米国で開催されます。 もともとは米国国立衛生研究所 (NIH) 付近で行われるという話でしたが、 昨今の事情もあってか、 場所は変更となったようです。 また、 再来年のHERN Conference 2027は英国で開催予定という話でした。


¹⁾ 42-Millionen-Euro-Forschungsbau für Uniklinikum Erlangen bewilligt - FAU
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。