海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Kaaschらは、 低リスクの黄色ブドウ球菌菌血症 (SAB) 患者を対象に、 早期の経口抗菌薬への切り替えの有効性と安全性を非盲検無作為化対照非劣性試験で検討。 その結果、 経口抗菌薬への切り替えは、 静注投与の継続に対して非劣性であることが明らかとなった。 本研究はLancet Infect Dis誌において発表された。
主要評価項目がSABの再発、 深部感染、 感染による死亡の3つのアウトカムのcombined endpointとなっている点が結果の解釈をやや難しくしています。 経口群に死亡例2例 (静注群は0) あるのが気になるところです。
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SABは通常、 少なくとも14日間の静注抗菌薬で治療される。 本研究では、 低リスクのSAB患者における経口抗菌薬への早期切り替えの有効性と安全性を評価した。
成人の低リスクのSAB患者
5~7日間の適切な抗菌薬静注投与後に、 経口抗菌薬に切り替える群 (経口スイッチ群、 108例) または静注投与を継続する群 (静注継続群、 105例) に無作為に割り付け
90日以内のSABに関連する合併症 (SABの再発、 深部感染、 感染による死亡) の発生
安全性集団における重篤な有害事象など
平均年齢 : 63.5歳
男性 : 148例 (69%)、 女性 : 65例 (31%)
経口スイッチ群 : 13% (14例)
静注継続群 : 12% (13例)
治療差 : 0.7%ポイント (95%CI -7.8~9.1%、 p=0.013)
経口スイッチ群 : 34%
静注継続群 : 26%
p=0.29
筆者らは、経口スイッチの非劣性を示した上で、「ただし、 早期の経口薬への切り替えを検討する前に、複雑性SABの徴候および症状について、 患者を注意深く評価することが必要である」と注意点を述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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