海外ジャーナルクラブ
2年前
Benedettoらは、 肝切除術を施行する肝細胞癌の患者を対象に、 ロボット手術と開腹手術 の短期および長期の転帰と安全性をコホート研究で検討。 その結果、 三次施設で行われるロボット手術は、 HCC患者や肝機能が低下している患者にとって、 腫瘍学的転帰を改善させる安全な治療戦略であることが示唆された。 本研究は、 JAMA Surg誌において発表された。
90日後からは確かに長期アウトカムと一般的には言われる訳ですが、 腫瘍を対象にしている場合にはもう少し長い期間のアウトカムを設定してほしいですね。
ロボット手術の長期的な腫瘍学的転帰は、 外科腫瘍学において依然として熱い議論のあるテーマであるが、 これまで発表されたデータは少ない。
対象は、 5つの大規模施設でHCCに対してロボット手術または開腹手術を受けた患者。 1対1の傾向スコアマッチング後、 ロボット手術を受けた患者群と、 ロボット手術を実施しなかった大規模施設の開腹手術患者からなる検証コホートとを比較した。
HCCに対するロボット手術の安全性と実行可能性、 および欧州の開腹手術検証コホートと比較した腫瘍学的アウトカム。 両側P< 0.05を有意とした。
傾向スコアマッチング後、 ロボット手術患者106名と開腹手術患者106名が比較された。
ロボット手術群の手術時間は開腹手術群に比し、 有意に長かった (P < 0.001)
ロボット手術群の入院期間は開腹手術群に比し、 有意に短かった (P < 0.001)。
ロボット手術群のICUへの入室は開腹手術群に比し、 有意に少なかった (P=0.002)。
肝切除後の肝不全の発生率はロボット手術群で有意に低く、 グレード C の肝不全は 1 例も発生しなかった (P=0.001)。
90日全生存率は2群間で同等であった。
腫瘍再発に起因する死亡の累積発生率は同等であった。
開腹手術と比較し、 三次施設で行われるロボット手術は、 HCC患者や肝機能が低下している患者にとって、 腫瘍学的転帰を改善させる安全な治療戦略であると言える。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。