【JAMA Surg】肝細胞癌へのロボット手術は開腹手術よりも転帰良好
著者

海外ジャーナルクラブ

2年前

【JAMA Surg】肝細胞癌へのロボット手術は開腹手術よりも転帰良好

【JAMA Surg】肝細胞癌へのロボット手術は開腹手術よりも転帰良好
Benedettoらは、 肝切除術を施行する肝細胞癌の患者を対象に、 ロボット手術と開腹手術 の短期および長期の転帰と安全性をコホート研究で検討。 その結果、 三次施設で行われるロボット手術は、 HCC患者や肝機能が低下している患者にとって、 腫瘍学的転帰を改善させる安全な治療戦略であることが示唆された。 本研究は、 JAMA Surg誌において発表された。

📘原著論文

Safety and Efficacy of Robotic vs Open Liver Resection for Hepatocellular Carcinoma. JAMA Surg. 2022 Nov 23;e225697.PMID: 36416833

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

90日後からは確かに長期アウトカムと一般的には言われる訳ですが、 腫瘍を対象にしている場合にはもう少し長い期間のアウトカムを設定してほしいですね。

🔢関連コンテンツ

肝癌のTNM臨床病期分類

肝癌の病期分類 (UICC-8版)

肝障害度分類

肝細胞癌患者の肝予備能評価スコア

ALBIスコア / modified ALBIグレード

肝細胞癌の肝予備能評価

背景

ロボット手術の長期的な腫瘍学的転帰は、 外科腫瘍学において依然として熱い議論のあるテーマであるが、 これまで発表されたデータは少ない。

研究デザイン

対象

対象は、 5つの大規模施設でHCCに対してロボット手術または開腹手術を受けた患者。 1対1の傾向スコアマッチング後、 ロボット手術を受けた患者群と、 ロボット手術を実施しなかった大規模施設の開腹手術患者からなる検証コホートとを比較した。

主要評価項目

HCCに対するロボット手術の安全性と実行可能性、 および欧州の開腹手術検証コホートと比較した腫瘍学的アウトカム。 両側P< 0.05を有意とした。

研究結果

解析対象

傾向スコアマッチング後、 ロボット手術患者106名と開腹手術患者106名が比較された。

手術時間

ロボット手術群の手術時間は開腹手術群に比し、 有意に長かった (P < 0.001)

  • ロボット手術群:中央値 295分 (190-370)
  • 開腹手術群:中央値 200分 (165-255)

入院期間

ロボット手術群の入院期間は開腹手術群に比し、 有意に短かった (P < 0.001)。

  • ロボット手術群:中央値 4日 (3-6)
  • 開腹手術群:中央値 10日 (7-13)

ICUへの入室

ロボット手術群のICUへの入室は開腹手術群に比し、 有意に少なかった (P=0.002)。

  • ロボット手術群:7 (6.6%)
  • 開腹手術群:21 (19.8%)

肝不全の発生率

肝切除後の肝不全の発生率はロボット手術群で有意に低く、 グレード C の肝不全は 1 例も発生しなかった (P=0.001)。

  • ロボット手術群:8 (7.5%)
  • 開腹手術群:30 (28.3%)

90日全生存率

90日全生存率は2群間で同等であった。

  • ロボット手術群:99.1% (95%CI 93.5-99.9%)
  • 開腹手術群:97.1% (95%CI 91.3-99.1%)

腫瘍再発に起因する死亡の累積発生率

腫瘍再発に起因する死亡の累積発生率は同等であった。

  • ロボット手術群:8.8% (95%CI 3.1-18.3%)
  • 開腹手術群:10.2% (95%CI 4.9-17.7%)

結論

開腹手術と比較し、 三次施設で行われるロボット手術は、 HCC患者や肝機能が低下している患者にとって、 腫瘍学的転帰を改善させる安全な治療戦略であると言える。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【JAMA Surg】肝細胞癌へのロボット手術は開腹手術よりも転帰良好