「今の自分があるのは、 すべて出会いのおかげ」 亀田総合病院・中島医師③
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インタビュー

1ヶ月前

「今の自分があるのは、 すべて出会いのおかげ」 亀田総合病院・中島医師③

「今の自分があるのは、 すべて出会いのおかげ」 亀田総合病院・中島医師③
誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 亀田総合病院呼吸器内科主任部長の中島啓先生 (九州大卒) に話を聞いた。  (全3回の第3回) 

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転機

亀田総合病院からの誘い

「募集枠が1つ空いた。 うちに来ないか」

専門領域を呼吸器内科に決めた後、 大きな転機が訪れる。 医師3年目の冬、 通常であれば翌年度の医局募集が終わっている時期に、 大学時代に見学に行った亀田総合病院のスタッフ医師から連絡が来たのだ。

臨床医学教育で有名な同病院には元々、 関心があった。 二つ返事で行くことを決めた。

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写真はイメージです

亀田総合病院に赴任して衝撃を受けた。 どの診療科でも、 指導医が研修医のために、 当たり前のように多くの時間を使って医学教育に取り組んでいたからだ。 さらに研修医教育に取り組む指導医を高く評価する文化もある。

医師は一つ一つの診療行為についてUpToDateやPubmedで文献を調べ、 Evidence based medicineに取り組んでいた。 カルテについても、 診断・治療の思考過程を根拠となる文献をベースに詳細に記載していた。

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2012年、 初めて欧州呼吸器学会に参加。 世界中から医師が集まり、 国境を越えて真剣に医学を議論する様子に感銘を受けた

同僚は当たり前のように臨床研究に取り組み、 数々の学会で発表し論文を書いていた。

こんな世界があったのかとカルチャーショックを受けました。 自分が目指していた臨床医学があり、 人生で初めて同じ魂を持った“同志”と呼べる仲間と出会えたのは最大の幸運でした

5年連続 「ベストティーチャー」 に

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2014~18年、 5年連続呼吸器内科ベストティーチャー賞を受賞した

医師6年目から研修医教育をメインで担当するようになった。 亀田総合病院で自身が教育を受けたときのレクチャーを見本にして、 教育プログラムを構成。 自身が経験したスランプを基にスタイルを決めた。

「9割褒めて1割指導。 論理的に飛躍せず、 段階的に分かりやすくレクチャーしました」

基本方針が合っていれば、 自分とは意見が異なっていても、 研修医の判断を尊重した。

それが研修医たちに好評だった。 呼吸器内科診療科の 「ベストティーチャー」 を5年連続で受賞するという前例のない快挙を成し遂げた。

奔走

38歳で呼吸器内科のトップに

研修医への熱心な教育が評価され、 2019年には38歳という若さで呼吸器内科のトップ・部長に就任した。

この地域の呼吸器の患者を自分が全て肩に背負っているようなプレッシャーを感じました

就任直後は、 同科が抱える医師不足の解消に奔走した。 10~11人いた常勤医が8人まで減っていた。 電話やメール、 SNSなどあらゆる手を尽くして医局の魅力を発信する傍ら、 自らリクルート活動で全国を駆け回った。

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左から永井先生 (現部長代理)、 大槻先生 (現部長)、 中島先生、 伊藤先生 (現部長)=2023年

そこで奇跡的な出会いがあった。 まずその1人が、 現在、 亀田総合病院部長を務める伊藤博之先生だ。 たまたま病院ですれ違った非常勤の医師が紹介してくれた。 最初のメールでの誘いではあっさり断られたが、 電話をかけ、 本人に会いに行った。

ダメ元だったが、 「日本から世界にエビデンスを発信し、 グローバルに活動する新しい呼吸器内科を創る」 「若手医師が自由に発言し、 呼吸器内科の面白さを共有できるようなケースカンファレンスを実現する」 という点で共通する志があり、 意気投合した。

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もう1人のキーパーソンとなる現部長の大槻歩先生は、 後期研修医から亀田総合病院で働いていた。 伊藤先生と同様、 中島医師の診療スタイルに共感し、 スタッフとして残った。

この3人が今の呼吸器内科の中核となる。

部長に就任して2年間は医師が充足しなかった。 その間、 専攻医に負担がかからないよう、 初診外来をすべて自身、 伊藤先生、 大槻先生の3人で担当した。

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そうした取り組みが実ったのか、 多くの専攻医が研修終了後も病院に残ることを希望してくれるように。 全国から研修医の見学も絶えなくなった

その後、 永井先生 (現部長代理) も主要スタッフに加わり、 呼吸器感染症 (中島)、 肺癌 (大槻)、 間質性肺炎 (伊藤)、 喘息・COPD (永井) の呼吸器4大部門の専門家も揃った。

「ここまでやってこられたのは、 すべて“出会い”のおかげ。 大変だった時期を共に分かち合い、 支え合った絆は、 何よりも大切。 呼吸器内科の揺るぎない核となっています」

現在は19人体制で診療に当たっており、 来年度もさらなる増員の予定だ。

著書がベストセラーに

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Amazonベストセラーに選ばれた著書 「レジデントのための呼吸器診療最適解」

自身の情報発信もリクルートに貢献している。 X (旧Twitter) を始めてから、 病院見学者は約3倍に。 Xのフォロワー数は1万4000人を超えた (2026年2月時点)

2020年に発刊され、 Amazonベストセラーに選ばれた著書 「レジデントのための呼吸器診療最適解」 (医学書院) を見て来たという病院見学者も多い。

「呼吸器内科診療の掟」 (中外医学社、 2024年)、 胸部X線・CTの読み方やさしくやさしく教えます!改訂版」 (羊土社、 2025年) なども好評で、 今後も毎年3冊の出版を目標にしている

アジアを代表する呼吸器内科に!

亀田総合病院はNewsweek世界病院ランキングでも上位に入り、 アジアにおける 「メイヨークリニック」 を目指す国際的な病院となった。 呼吸器内科としての今後の目標は、 「アジアを代表する呼吸器内科になること」。 個人目標は、 「世界の医師たちと一緒に国際研究をすること」

2024年から米国の胸部学会に毎年参加しており、 世界的な名医たちとの絆をつくっていきたいと考えている。

「亀田総合病院呼吸器内科の仲間たちと、 これからも新しいチャレンジをしていきます。 日々の臨床から生まれた課題を臨床研究によって解き明かし、 世界に通用するエビデンスを発信していくつもりです」

世界的な呼吸器内科を目指す挑戦は、 まだ始まったばかりだ。

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略歴

福岡県出身、 2006年九州大卒。 2009年に亀田総合病院に赴任し、 同院呼吸器内科ベストティーチャー賞を複数回受賞。 2021年より亀田総合病院内科チェアマン、 2023年9月より呼吸器内科主任部長
著書 「呼吸器内科診療の掟!」 (中外医学社)、 「レジデントのための呼吸器診療最適解」 (医学書院) はベストセラーとなる。
日本内科学会総合内科専門医,日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医など多数。 米国内科学会や欧州呼吸器学会にも所属。 Sci Reports編集員、 Human Vaccines & Immunothe編集員。
X/Twitter (@keinakashima1) では,クリニカルパール・臨床研究・医学教育・キャリア形成について情報発信しており,若手医師を主体に1.4万人のフォロワーがいる。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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