寄稿ライター
17日前

こんにちは、 Dr.Genjohです。 新シリーズ 「検証 +3.09%の真実」 最終回となる第6回は、2026年の診療報酬改定で特に大きな打撃を受ける領域についての解説です。 主に高得点が取れる手技、 比較的軽い負荷で高得点が請求出来てしまう仕組み等についてメスが入りました。
>>第5回はコチラ

2024年の診療報酬改定で約半額となり、 話題になった 「短期滞在手術等基本料1」。 2026年の改定では、 さらに大幅な引き下げが決定しました。 【図1】4年前と比べると、 算定額は約4分の1にまで減少します。
外来での白内障手術やポリペクトミー、 下肢静脈瘤手術を収入の軸としている医療機関にとっては大きな打撃です。

【図2】をみてください。 今回の改定で、 在宅医療充実体制加算が2倍の点数となりました。 厚生労働省が訪問診療を重視したい姿勢が良く読み取れます。

一方で、 訪問診療を主とする在宅クリニックからは悲鳴が上がっています。 加算算定の要件が極めて厳しいためです。 【図3】
など、 多くの条件が課されており、 現実的に達成可能なのか疑わしいといえます。
場合によっては、 要件を満たせず算定できない可能性もあります。 さらに、 医師1人あたりの担当患者数も100人までに制限されており、 患者数を増やして補うことも難しい状況です。 厚生労働省は、 本当に訪問診療を推進する方針なのでしょうか。

さらに、 連携型在支診 (複数医療機関による往診当番制) では、 高い評価を得るために、 24時間往診体制を月4回以上担う必要があります。 【図4】
あれ? 第4回で触れたように、 オンコール明けや当直明けには十分な休息時間を確保するべきではなかったでしょうか。 訪問診療では、 こうした勤務間インターバルへの配慮に関する記載が見当たりません。
さらに 「普段から訪問診療を行う医師による」 という文面も追加され、 スポット勤務医による代行も難しくなります。 令和になっても、 訪問診療では昭和型の働き方が求められるのでしょうか。

続いて【図5】をみてください。 月2回以上訪問診療を受ける患者のうち、 重症患者や認知症患者などの割合が20%未満の場合、 訪問診療を月に複数回行っても、 診療報酬は月1回分しか算定できなくなりました。
つまり、 軽症患者への頻回訪問による 「量で稼ぐ形」 を抑制する狙いがあります。 現時点では基準が20%のため影響は限定的かもしれませんが、 今後基準が引き上げられれば、 訪問診療は月1回が基本となるでしょう。

こうした規制が設けられるということは、 残念ながら、 ごく短時間の訪問を繰り返して利益を上げる訪問看護ステーションが実際に存在するのでしょう。
今回の改定では、 訪問看護は1回あたり30分以上の実施と、 その時間の記録が求められるようになりました。 【図6】また、 同一建物の入居者に対する訪問看護では、 同月内2回目以降の訪問は減算対象となるほか、 1人あたり20分未満では算定自体ができないなど、 こちらも厳しい内容となっています。

さらに今回の改定では、 訪問看護事業者が、 自院に都合の良い指示書を書いてくれる医師を選定したり、 医師へキックバックを行ったりする行為も禁止されました。 【図7】 「標準的な倫理観があれば本来そのような行為は起こらないはず」 と思うのですが、 考えが甘いのでしょうか。

今回、 極めて大きな変更として、 非精神保健指定医が行う精神療法の診療報酬は、 従来の100%から60%へ大幅に引き下げられることになりました。 【図8】
ただし、 精神病棟を有する施設・24時間対応施設で勤務する場合、 あるいは精神科従事歴20年以上など一定条件を満たす場合は、 従来通り100%で算定できます。

「精神保健指定医を取得せずに開業するスタイル」 への抑制策と言えるでしょう。 ただし、 精神科専門医など他の専門医の存在は無視されており、 まじめに精神科診療を行う先生方があおりを食らう形となっているため、 甚だ遺憾です。 (なお2026年5月29日公表の疑義解釈の文書内にて、 児童思春期精神科の先生方は今回の減点の対象外となる事が明示され、 救済されています。 )
さらに、 今回新設された 「精神科地域密着多機能体制加算」 や 「心理支援加算」 も、 精神保健指定医が前提です。 指定医と非指定医の差は、 今後さらに広がっていくでしょう。 今回は専門医資格の有無で診療報酬に差がついた象徴的な改定であり、 他科でも専門医を取得しないことが将来的なリスクとなる可能性があります。
2026年診療報酬改定の抜粋解説記事は今回で終了となります。 今回の改定の荒波を、 皆さまが無事に乗り切られることを願っております。
約500ページに及ぶ改定内容から重要ポイントを中心に抜粋したため、 細かなTipsまでは十分に記載できませんでした。 筆者Xアカウントをフォローの上DMをいただければ、 補足Tipsもお伝えいたしますので、 ぜひご連絡ください。
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¹⁾厚生労働省 : 令和8年度診療報酬改定説明資料等について 「0_令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版】」

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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