亀田総合病院
8日前

『消化性潰瘍診療ガイドライン2026 (改訂第4版) 』¹⁾が日本消化器病学会より2026年4月に発行されました。 約6年ぶりに改訂された同ガイドライン (以下、 第4版) の 「出血性潰瘍」 に関する主な改訂点について、 亀田総合病院消化器内科主任部長の中路聡先生に解説いただきました。
第4版は、 消化性潰瘍診療を従来の標準化された治療体系から、 患者背景や耐性菌、 併用薬リスクを踏まえた個別化医療 (precision medicine) へと転換した点に本質的意義がある。
特に、 Helicobacter pylori除菌における薬剤感受性評価の実臨床導入や抗血栓薬関連潰瘍の体系的管理、 除菌後の新たな問題 (泥沼除菌) や長期酸分泌抑制療法の安全性への注目度向上に対応し、 単なる 「推奨の更新」 にとどまらず、 「診療パラダイムそのものの変化」 を示している。
本稿では、 第2章 「出血性胃潰瘍・出血性十二指腸潰瘍」 の改訂点を中心に解説する。
前版では、 内視鏡的止血治療に関するbackground question (BQ) が4項目設けられていたが、 第4版では2項目へ整理された。
内視鏡的止血治療法の対象となる潰瘍や輸血の対象が除外され、 止血後管理や薬物療法戦略に重点が置かれる構成へと変化している。
また、 治療法としてはover-the-scope clip (OTSC) 法が新たに追記されている (BQ2-1)。

前版では、 止血後管理における酸分泌抑制療法の中心はプロトンポンプ阻害薬 (PPI) であった。 第4版ではカリウムイオン競合型アシッドブロッカー (P-CAB) であるボノプラザンについても、 弱い推奨ではあるが新規に提案されている (CQ2-1)。
P-CABは迅速かつ強力な酸分泌抑制作用を有し、 胃内pHを安定して高値に維持できることから、 高い再出血予防効果が期待されている。

前版では、 抗凝固薬・抗血小板薬服用中の休薬の必要性がCQとして扱われていたが、 第4版ではBQへ整理された (BQ2-4)。
また、 ワルファリンのヘパリン置換の推奨や考慮が削除されている。

<出典>
1) 日本消化器病学会ほか編 : 消化性潰瘍診療ガイドライン2026 改訂第4版. 南江堂, 2026.

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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