海外ジャーナルクラブ
9日前

九州大学循環器内科学の遠山岳詩氏らは、 日本の心不全患者を対象に診療実態と患者アウトカムの経時的変化について、 全国規模の心不全レジストリであるJROADHFとJROADHF-NEXTを用いた観察研究で検討。 その結果、2013年コホートと比べて2019-21年コホートでは1年死亡率や心不全再入院率が低下し、 心不全患者の長期アウトカムは改善したことが示された。 研究結果はEur Heart J誌に発表された。
マッチング後に解析対象となったのは2013年コホートの22%のみであり、結果の一般化には注意が必要です。
心不全は治療薬や介入の進歩により包括的な管理が可能になってきた。 しかし実臨床でどのような診療が行われているのかについては十分に明らかにされていない。 本研究は、 心不全診療の経時的変化と、 それが患者アウトカムに及ぼす影響を評価することを目的とした。
対象は、 2013年のJROADHF (1万3,238例) と2019-21年のJROADHF-NEXT (4,016例) に登録された心不全患者である。 コホート間の患者背景の偏りを調整するため1:1の傾向スコアマッチング*を実施し、 各コホートの2,972例が解析対象となった。
評価したアウトカムは1年死亡率と心不全再入院率であり、 あわせてアウトカムの改善に関連する因子についても検討した。
マッチング後の2013年コホートと2019-21年コホートにおけるガイドライン推奨治療・介入の実施率は、 レニン・アンジオテンシン系阻害薬が70.9% vs 73.1%、 β遮断薬が74.9% vs 80.8%、 ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が54.2% vs 61.1%であり、 いずれの治療も2013年から2019-21年にかけて実施率が上昇していた。
また、 非薬物療法については実施率の上昇度がより大きいことも示された。 心臓リハビリテーションの実施率は2013年コホートの43.5%から2019-21年コホートでは88.8%に上昇し、栄養指導の実施率は2.9%から56.1%に上昇していた。
2013年コホートと比べて2019-21年コホートでは1年死亡率が26.7%低下し、 心不全再入院率が52.1%低下していた (いずれもp<0.001)。
死亡率の改善には薬物療法 (レニン・アンジオテンシン系阻害薬 : HR 0.71〔95%CI 0.64-0.80, p<0.001〕、 β遮断薬 : HR 0.85 〔95%CI 0.75-0.96, p=0.012〕) および患者教育 (栄養指導 : HR 0.76 〔95%CI 0.64-0.89, p=0.001〕)が関連していた。
一方、 心不全再入院の最も強い予測因子はコホート (登録時期) 効果であった (subdistribution HR 0.49〔95%CI 0.43-0.57, p<0.001〕) 。
著者らは、 「2013年から2019-21年にかけて、 日本の心不全患者の長期アウトカムは改善していた。ガイドライン推奨治療が生存率の向上に関連していた一方、 心不全再入院率の大幅な低下は退院後ケアおよび医療提供体制の広範な変化と同時期に認められた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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