海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Elmunzerらは、 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP) 後の膵炎のリスクが高い患者を対象に、 非ステロイド性抗炎症薬インドメタシン単独投与とインドメタシン+予防的膵管ステント留置の併用療法の効果を無作為化非劣性試験で比較検討した。 その結果、 インドメタシン単独投与は非劣性に至らず、 予防効果も併用療法に劣ることが示された。 本研究はLancet誌において発表された。
本研究は非劣性試験です。 リスク差3.6%の95%CIが0.6-6.6%であり、 予め設定した5%を超えていたためにインドメタシン単独投与はインドメタシン+予防的膵管ステント留置の併用療法と同等の効果は得られませんでした。
高リスク患者におけるERCP後の膵炎を予防するために、 インドメタシンの投与と予防的膵管ステント留置の併用が推奨されている。 予備的なエビデンスによるとインドメタシンの使用により、 ステント留置の必要性がなくなるか、 あるいは大幅に減少する可能性がある。
ERCP後の膵炎リスクが高い18歳以上の患者 : 1,950例
患者を以下の群に無作為に1 : 1の割合で割り付けた。
ERCP後の膵炎発生率
ERCP後膵炎の発生率
リスク差 3.6%ポイント (95%CI 0.6-6.6%ポイント)
非劣性のp=0.18
事後的なITT解析
ERCP後膵炎の発生率に関する両群間のリスク差の事後的なITT解析では、 単独群は併用群に比して劣ることが示された。
p=0.011
サブグループ解析
ERCP後膵炎の発生率における膵管ステント留置の相対的有益性は、 試験のサブグループ間で概ね一貫して認められた。 特に、 膵炎のリスクが最も高い患者 (リスクスコア≧3) において有益性がより顕著であった。
安全性アウトカム (重篤な有害事象、 ICU入室、 平均入院期間) に両群間で差はなかった。
高リスク患者におけるERCP後の膵炎予防において、 インドメタシン単独投与はインドメタシン+予防的膵管ステント留置の併用療法に劣ることが確認された。 これらの結果は、 臨床診療ガイドラインに従って、 高リスク患者においてインドメタシンの直腸投与に加えて予防的膵ステント留置を行うことを支持するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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