【肺癌世論調査】周術期の免疫チェックポイント阻害薬の選択は?
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HOKUTO編集部

26日前

【肺癌世論調査】周術期の免疫チェックポイント阻害薬の選択は?

【肺癌世論調査】周術期の免疫チェックポイント阻害薬の選択は?
解説 : 赤松弘朗先生¹⁾ / 監修 : 津谷康大先生²⁾
1) 和歌山県立医科大学附属病院腫瘍センター 准教授
2) 近畿大学医学部外科学教室呼吸器外科部門 主任教授

今週のQ&A (肺癌)

切除可能Ⅲ期 (single station N2 ) でPD-L1発現25%のNSCLCの治療選択は?

  1. 化学療法+ニボルマブ→手術 (CheckMate 816試験)
  2. 化学療法+ペムブロリズマブ→手術→ペムブロリズマブ単剤 (KEYNOTE-671試験)*¹
  3. 手術→化学療法→アテゾリズマブ (IMpower010試験)
*¹ : 病理学的完全奏効 (pCR) に関わらずに実施する

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内科医はこう考える

【肺癌世論調査】周術期の免疫チェックポイント阻害薬の選択は?

切除可能Ⅲ期肺癌、 PD-L1陽性例に対しては術前・術後の免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) が使用可能となっているが、 術前および術後のICIも使用可能となった¹⁾。

術前・術後の比較はされておらず、 どちらが優れているかは不明である。 術前療法+ICIを使用した場合の術後ICIについても、 現時点では試験間の比較にとどまっている。 さらには手術検体の残存腫瘍細胞の有無で術後ICIの有効性が異なるとする解析結果もある²⁾。

最近報告されたメタ解析では、 non-pCRに対する術後ICIの有効性は想定よりも小さい可能性が示唆されている³⁾。

外科医はこう考える

【肺癌世論調査】周術期の免疫チェックポイント阻害薬の選択は?

ICI承認前に行われた日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG) 肺がん外科・内科グループのアンケートではsingle station N2 までのⅢA期であれば70%程度の施設が手術先行との回答であり、 本邦では手術先行を標準治療とみなすことができる。

一方、 ICIは理論的に原発巣や所属リンパ節が存在する術前投与の方が術後投与よりも効果的とされており、 メラノーマ領域では臨床データも出てきている⁴⁾⁵⁾。 肺癌領域では手術先行と術前ICIの比較試験はこれまでにされておらず、 今後JCOG2317試験としてⅡ~ⅢA期 (single station N2まで) に対し無作為化比較試験が開始される予定であり、 その結果が待たれる。

術前ICI療法を行う際に、 術後ICIが必要かどうかは不明であり、 基本的には治療前のインフォームドコンセント (IC) で術前ICIのみか術前・術後ICIを行うか決定しておくことになる。 周術期にICIを使用することには大きなメリットがあると考えるが、 それぞれの選択肢の効果の違いは不明であるため、 手術に至らないリスク、 コストや治療期間、 患者の希望などから総合的に判断することも重要である。

以上より、 選択肢の1、 2、 3を患者に提示して選択することになるが、 個人的な考えに最も近いのは1である。

出典

1) N Engl J Med. 2023 Aug 10;389(6):491-503.
2) Nat Med. 2024 Jan;30(1):218-228.
3) J Thorac Oncol. 2024 Oct 8:S1556-0864(24)02374-8.
4) N Engl J Med. 2023 Mar 2;388(9):813-823.
5) N Engl J Med. 2024 Jun 2.

参考:周術期ICI治療に関する試験

対象と方法

▼CheckMate 816試験¹⁾

ⅠB~ⅢA期*のNSCLC患者

*AJCC/UICC病期分類第7版
  • ニボルマブ群 : 術前ニボルマブ+プラチナ製剤を含む化学療法2剤
  • 化学療法単独群

▼KEYNOTE-671試験²⁾

II~IIIB期 (N2)*の未治療NSCLC患者

*AJCC/UICC病期分類第8版
  • ペムブロリズマブ群 : 術前ペムブロリズマブ+化学療法→術後ペムブロリズマブ単剤
  • プラセボ群 : 術前・術後にプラセボ治療

▼IMpower010試験³⁾

IB~IIIA期*の完全切除後NSCLC患者

*AJCC病期分類第7版
  • アテゾリズマブ群 : 術後にアテゾリズマブ単剤
  • BSC群 : 術後に支持療法 (BSC)

主要評価項目の結果

▼CheckMate 816試験¹⁾

EFS中央値

  • ニボルマブ群 : 31.6ヵ月
95%CI 30.2ヵ月-NR
  • 化学療法単独群 : 20.8ヵ月
95%CI 14.0-26.7ヵ月
HR 0.63、 97.38%CI 0.43-0.91、 p=0.005

pCR率

  • ニボルマブ群 : 24.0%
95%CI 18.0-31.0%
  • 化学療法単独群 : 2.2%
95%CI 0.6-5.6%
OR 13.94、 99%CI 3.49-55.75、 p<0.001 

▼KEYNOTE-671試験²⁾

ITT集団におけるOS率

  • ペムブロリズマブ群 : 71%
95%CI 66-76%
  • プラセボ群 : 64%
95%CI 58-69%
HR 0.72、 95%CI 0.56-0.93、 p=0.0052

ITT集団におけるEFS中央値

  • ペムブロリズマブ群 : 47.2ヵ月
95%CI 32.9ヵ月-NR
  • プラセボ群 : 18.3ヵ月
95%CI 14.8-22.1ヵ月
HR 0.59、 95%CI 0.48-0.72

▼IMpower010試験³⁾

担当医評価によるDFS中央値

①PD-L1 TC≧1%でⅡ~ⅢA期の集団

  • アテゾリズマブ群 : NR
  • BSC群:35.3ヵ月
HR 0.66、95%CI 0.50-0.88、 p=0.0039

②Ⅱ~ⅢA期の全集団

  • アテゾリズマブ群 : 42.3ヵ月
  • BSC群:35.3ヵ月
HR 0.79、95%CI 0.64-0.96、 p=0.020

③IB~ⅢA期のITT集団

  • アテゾリズマブ群 : NR
  • BSC群 : 37.2ヵ月
HR 0.81、95%CI 0.67-0.99、 p=0.040

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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