【ACACIA-HCM】非閉塞性HCMにaficamten、両主要評価項目を達成
著者

HOKUTO編集部

8日前

【ACACIA-HCM】非閉塞性HCMにaficamten、両主要評価項目を達成

【ACACIA-HCM】非閉塞性HCMにaficamten、両主要評価項目を達成
症候性の非閉塞性肥大型心筋症 (HCM) 患者を対象に、心筋ミオシン阻害薬aficamtenの有効性と安全性をプラセボと比較した二重盲検第Ⅲ相無作為化比較試験ACACIA-HCMの主解析の結果から、aficamten群では、 2つの主要評価項目であるカンザスシティ心筋症質問票・臨床サマリースコア (KCCQ-CSS) と最高酸素摂取量 (peak VO₂) がいずれも有意に改善した。 これにより、 aficamtenが非閉塞性HCM患者の健康状態と運動耐容能を改善することが示された。米・Oregon Health and Science UniversityのAhmad Masri氏が発表した。同試験の主解析の詳細は N Engl J Med 誌2026年8月28日オンライン版¹⁾、 レスポンダー解析の詳細はCirculation誌2026年8月28日オンライン版²⁾に掲載された。 

背景

有効性が確立した薬物療法はない

非閉塞性HCMは比較的頻度の高い心疾患であり、 労作時に日常生活に支障を来すような症状が生じ、 運動耐容能が制限されるが、 有効な治療法がない。

aficamtenは閉塞性HCMに対して海外で承認されている心筋ミオシン阻害薬であるが、 非閉塞性HCMでみられる症状や運動耐容能の低下を引き起こす主要な病態生理学的機序である拡張機能障害に対して良好な効果が示されている。 また、 迅速な用量漸増や用量調節が可能で、 良好な忍容性が得られる薬理学的特性を持つ。

研究デザイン

症候性非閉塞性HCM 517例を1:1で無作為に割り付け

本試験では、 19ヵ国160施設で下記の条件を満たす症候性非閉塞性HCM患者517例をaficamten群 (258例) とプラセボ群 (259例) に1:1で無作為に割り付け、最大72週間投与した。aficamtenは5mgで開始し、最大20mgまで漸増した。

  • NYHA心機能分類II~III度
  • KCCQ-CSS 85点以下
  • N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド (NT-proBNP) 300pg/mL以上
  • 左室駆出率 (LVEF) 60%以上
  • 安静時左室流出路 (LVOT) 圧較差 30mmHg未満かつバルサルバ法 LVOT圧較差50 mmHg 未満

主要評価項目はKCCQ-CSSとpeak VO₂

2つの主要評価項目は、ベースラインから第36週までのKCCQ-CSS (0~100点) とpeak VO₂の変化量であった。副次評価項目はベースラインから第36週までの①NYHA 心機能分類に1クラス以上の改善が認められた被験者の割合、 ②心肺運動負荷試験 (CPET) パラメータ (peak VO₂およびVE/VCO₂スロープ) の2つのZスコアの複合スコアの変化量、 ③NT-proBNPの変化量、 ④左房容積係数 (LAVI) の変化量、 ⑤心血管死、 心臓移植、 左室補助装置の植え込み、 心突然死からの救命、 非致死性脳卒中、 心不全による入院、 治療もしくは入院を必要とする不整脈 (心房細動または心室性頻脈性不整脈) が最初に発生するまでの期間であった。

試験の結果

KCCQ-CSSは3.0点の群間差

第36週のKCCQ-CSSの変化量はaficamten群で11.4点であり、プラセボ群の8.4点と比べて有意に改善した (最小二乗平均差 3.0点 [95%CI 0.5–5.5]、p=0.021)。peak VO₂変化量もaficamten群で0.64mL/kg/分であり、プラセボ群の-0.03mL/kg/分と比べて有意に改善した (最小二乗平均差 0.67mL/kg/分 [95%CI 0.22–1.11]、p=0.003)。KCCQ-CSSは第12週以降の第36週を除く各時点で4.8~7.0点の群間差を示した (いずれもp≤0.005)。

副次評価項目はNYHA心機能分類やCPET、 NT-proBNPが改善

副次評価項目のうち、 第36週までにNYHA心機能分類に1クラス以上の改善が認められた患者の割合は、 aficamten群で44% (108例)、プラセボ群で29% (72例) であった (共通の割合の差 14.1㌽ [95%CI 6.0–22.2]、p<0.001)。ベースラインから第36週までのCPETの複合Zスコアの変化量はaficamten群で0.05(95%CI -0.01– 0.11)、 プラセボ群で-0.09 (95%CI -0.14–-0.04)であった (群間差0.14 [95%CI 0.07–0.22]、p<0.001)。 ベースラインから第36週までのNT-proBNP値の群間の幾何最小二乗平均比は0.43 (95%CI 0.38~0.47、 P<0.001) であった。

一方、LAVI (群間差-1.3mL/m²、p=0.058) と初回心血管イベントまでの時間 (HR 1.13 [95%CI 0.62–2.07]、p=0.678) については、 両群間で有意差は認められなかった。

aficamtenの忍容性は全般的に良好

aficamtenの忍容性は全般的に良好で、 新たな安全性シグナルは認められなかった。 aficamtenはLVEFを指標として最大耐用量まで漸増されたが、 用量漸増期間終了時には患者の80.7%が15~20mgを投与されており、 治療期間終了時には79.4%が15~20mgを投与されていた。 36週時におけるLVEFの最小二乗平均の群間差は-4.4% (95%CI -5.1–-3.6%) であった。 aficamtenを投与された患者のうち、 LVEF低下により治療を中断したのは3%のみであった。

重篤な有害事象はaficamten群で20.2%、 プラセボ群で14.7%に発生したが、 死亡はプラセボ群の3例 (1.2%) のみであった。 有害事象による投与中止の割合はそれぞれ7.0%と1.9%であった。 LVEF 50%未満への低下はaficamten群で27例 (10.5%)、 プラセボ群で2例 (0.8%) にみられた。

レスポンダー解析でも複数の臨床的に重要な指標が改善

さらに、 事前に規定された複数の臨床的に重要な指標を統合したレスポンダー解析では、 36週時の①症状 (NYHA心機能分類が1クラス以上改善、 またはPatient Global Impression of Change〔PGIC〕改善)、 ②運動耐容能 (peak VO₂) 0.5mL/kg/分以上改善、 ③LAVI 10%超低下、 ④中隔側僧帽弁輪拡張早期運動速度 (中隔側e′) 10%超改善、 ⑤NT-proBNP 50%以上の低下の5項目の改善効果が評価された。 その結果、 5項目中3項目以上で改善が認められた割合は、 プラセボ群の13%に比べて、 aficamten群では53%と高かった (p<0.001)。

結論

aficamtenは非閉塞性HCMに対する有効な治療選択肢に

Masri氏は 「aficamtenは運動耐容能、 患者報告による健康状態、 症状を改善した。忍容性は概ね良好で、LVEF 50%未満への低下の大半は減量で管理できた。この研究結果はaficamtenが非閉塞性HCMに対する有効な治療選択肢となることを示している」 と述べた。

出典

1) N Engl J Med. 2026年8月28日オンライン版

2) Circulation. 2026年8月28日オンライン版


※X (旧Twitter) の利用規約に基づき、 サブライセンスが認められている埋め込み形式でTweetを紹介しています。 掲載停止のご希望がある場合は、 XのHOKUTO公式アカウント (@HOKUTOmed) までDMでご連絡をお願いします。

ポストのGif画像
【ACACIA-HCM】非閉塞性HCMにaficamten、両主要評価項目を達成の全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【ACACIA-HCM】非閉塞性HCMにaficamten、両主要評価項目を達成