海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前

Graeserらは、 HER2陽性早期乳癌患者を対象に、 術前療法のde-escalation戦略が生存予後に及ぼす影響を、 West German Study Group (WSG) による3件の無作為化比較試験 (ADAPT-HR-/HER2+試験、 ADAPT-TP試験、 TP-II試験) の統合解析で検討した。 その結果、 病理学的完全奏効 (pCR) を指標とした個別の術前de-escalation戦略は実施可能かつ安全であることが示された。 本研究はAnn Oncol誌において発表された。
対象患者の生物学的背景 (HR陽性・陰性) が不均一であり予後に影響を及ぼす可能性や術前・術後の治療内容が多様であり、 特にHER2二重阻害やADCの使用が結果のばらつきに寄与している点がlimitationとなります。
HER2陽性早期乳癌、 HER2DXが予後層別化の指標として有用
HER2陽性早期乳癌において、 術前療法における12週間のde-escalation戦略が、 化学療法 (CT) の有無によらず生存予後に及ぼす影響について、 WSGによる3件の無作為化比較試験 (ADAPT-HR-/HER2+試験、 ADAPT-TP試験、 TP-II試験) の統合解析で検討した。
術前療法として12週間のde-escalation療法を実施したHER2陽性早期乳癌患者713例を対象とし、 レジメンに基づき以下の2群について統合解析が行われた。
病理学的完全奏効 (ypT0/is ypN0) を達成した患者は、 その後のCTを省略することが許容された。 pCR非達成の場合にはCTが必須とされた。
各試験の主要評価項目はpCR、 副次評価項目は生存率などであった。 生存率はKaplan-Meier法とCox回帰で解析された。
追跡期間中央値60.7ヵ月における無浸潤疾患生存 (iDFS) イベント*は、 術前CT群および術前CT非施行/ADC群でそれぞれ、 10件 (7%)、 74件 (13%)、 遠隔無病生存 (dDFS) イベント**は8件 (5%)、 51件 (9%)、 死亡は6件 (4%)、 34件 (6%) で報告された。
5年iDFS率は、 術前CT群および術前CT非施行/ADC群でそれぞれ、96% (95%CI 92-99%)、 88% (同85-91%) であった(HR 0.56 [95%CI 0.29-1.08]、 p=0.083)。
5年全生存 (OS) 率はそれぞれ、98% (95%CI 93-99%)、 97% (同95-98%) であった (HR 0.88 [95%CI 0.36-2.11]、 p=0.775)。
pCR達成例における5年iDFS率は、 術前CT群で98% (95%CI 91-99%)、 術前CT非施行/ADC群で94% (同89-97%) であった (HR 0.76 [95%CI 0.27-2.12]、 p=0.609)。
術前CT非施行/ADC群におけるpCR達成例では、 その後の補助CTの有無によらず、 iDFSは同等であった (HR 1.25 [95%CI 0.39-4.00]、 p=0.712)。
多変量解析では、 術前CT非施行/ADC群において、 リンパ節陰性およびpCRがiDFSと有意に関連した。
著者らは 「pCRを指標とした術前de-escalation戦略は、 HER2陽性早期乳癌患者に対して実施可能かつ安全であった。 12週間の術前CT+抗HER2抗体併用療法は有効であり、 良好な耐容性を示した。 また、 I / II期HER2陽性乳癌では、 術前CT非施行/ADCを検討できる可能性が示唆された。 術前CT非施行/ADCでpCRを達成した患者における優れた生存率は、 さらなるde-escalation戦略を検討する基盤となる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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