海外ジャーナルクラブ
1年前
Riazらは、 癌関連血栓症 (CAT) の患者を対象に、 抗凝固療法の使用状況について後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 CAT患者における抗凝固薬の臨床での使用期間は短いこと、 直接作用型経口抗凝固薬 (DOAC) が静脈血栓塞栓症 (VTE) 再発、 大出血、 死亡率の低下と関連することが明らかとなった。 本研究は、 JAMA Netw Open誌において発表された。
仮説の提唱です。 本文の結論には定型のようにsuggest,mayを使用して下記のような表現になっています。
The findings suggest that DOACs and warfarin may offer better treatment persistence than LMWH in clinical practice
実臨床における、 CATに関する抗凝固薬の使用状況と有効性は、 ほとんど明らかではない。
米国の医療情報データベース Optum Labs Data Warehouseを用い、 皮膚がんを除く18歳以上の原発癌患者におけるCATに対する抗凝固薬の使用状況と有効性を比較検討した。
患者は処方された抗凝固薬によってグループ分けされた。
LMWHまたはワルファリンの投与と関連する因子のオッズ比 (OR) を算出した結果、 肺癌 (OR 2.07、 95%CI 1.12-3.65)、 泌尿器癌 (OR 1.94、 95%CI 1.08-3.49)、 婦人科癌 (OR 4.25、 95%CI 2.31-7.82)、 大腸癌 (OR 2.26、 95%CI 1.20-4.32) の患者に関連が認められた。
DOAC群に比し、 LMWH群とワルファリン群ではVTE再発リスクが高かった。
LMWH群では、 DOAC群に比し、 大出血のリスク (HR 2.27、 95%CI 1.62-3.20) および全死亡リスク (HR 1.61、 95%CI 1.15-2.25) が高かった。
米国の実臨床におけるCAT患者における抗凝固薬の使用期間は短かった。 また、DOACは、 VTE再発、 大出血、 死亡のリスクの低下と関連していた。 DOAC禁忌の患者やLMWHの継続が難しい患者に対しては、 ワルファリンの使用が選択肢となり得る。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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