【浦添総合病院】 成人急性期ならココ!人気の 「浦添式育成メソッド」 とは
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1年前

【浦添総合病院】 成人急性期ならココ!人気の 「浦添式育成メソッド」 とは

【浦添総合病院】 成人急性期ならココ!人気の 「浦添式育成メソッド」 とは
2023年12月開院する新病院
浦添総合病院 (沖縄県浦添市) は成人急性期のマネジメントに重きを置いた独自の 「浦添式育成メソッド」 が人気です。 研修管理副委員長の谷口春樹先生に特徴などを聞きました。
※肩書きや内容はインタビュー当時 (2023年9月) のものです。 現在とは異なる場合があります。

病院の概要

沖縄県のドクターヘリ基地を運営し、 3次救命救急センターでもある浦添総合病院は、 救急受診者が年2万人を超え、 ほとんどのファーストタッチに研修医が関わります。 手術件数は年約3200件、 全身麻酔管理は年約2500件で、 豊富な症例を経験できます。

沖縄県の臨床研修病院群プロジェクトである群星沖縄の基幹病院として研修プログラムを組んでいるほか、 off the job trainingで独自の救急初療標準化コース 「SPAM」 (後述します) を立ち上げるなど教育病院としても知られ、 全国から研修医を集めています。

メソッドの特徴

“強み”を活かした臨床スキル教育

ーー メソッドの特徴は。

谷口先生 「一言で表現すると、“強み”を活かした臨床スキルの教育です。 一般外来、 ERからの豊富な症例を通じて臨床推論やプレゼンテーションなど医師として基礎となるスキルや、 成人急性期の症候や疾患に対応するために必要なスキルを重点的に学びます」

「 6カ月ある内科研修では、 総合内科研修を2カ月行います。 入院した急性期の患者さんをジェネラルにマネジメントしつつ、 問診、 身体診察や臨床推論といった医師の基礎となるスキルのトレーニングを行います」

「救急科研修では3カ月中2カ月をER研修にあてており、 1次から3次救急まで内科外科疾患を問わず対応するスキルを身につけます。 さらにER研修に関しては通年で月5〜6回のER日直・当直があり、 成人急性期の症候・疾患に対応するスキルの向上・定着がえられます。 研修医はSPAMオリジナルのER診療ガイドブック (通称SPAM本) に沿って標準的な初期救急対応を学んでもらいます」

【浦添総合病院】 成人急性期ならココ!人気の 「浦添式育成メソッド」 とは

麻酔科研修:たっぷり2カ月で手技マスター

「麻酔科研修を2カ月組み込んでいるのも大きな特色です。 気管挿管や動脈ライン確保など手技の目標経験数を設定しており、 繰り返し集中して学べるためです。 手技の経験に加え、 気道呼吸管理や急性期の輸液輸血、 血行動態管理のスキルが身につくことが研修医に人気です」

脳外科研修:脳卒中の初期対応に自信を

「成人急性期の脳血管障害での緊急入院が年400人前後あります。 重症度・緊急度の高い疾患を研修医が主体的にマネジメントする経験の中で、 神経診察 (NIHSSなど) を行ったり、 CTやMRI画像を読影したりするスキルを身につけられます」

外科研修:オリジナルのスキルコースで基礎固め

「外科研修も2カ月とっています (厚労省の規定は1カ月)。 研修は消化器外科や胸部外科で行い、 虫垂炎、 胆石胆嚢炎、 腸閉塞、 気胸などコモンな急性期疾患や、 大腸癌、 胃癌、 肺癌などコモンな悪性疾患を中心に経験します」

「縫合結紮・止血・切開など外科基本手技のスキル習得のためUrasoe Surgical Skills Course (USSC)のクリアを義務づけています。 多くの診療科で経験することのある手技の基礎部分を抽出し、 明確な目標設定のもと自律化するレベルまで反復練習を行いスキルを身につけます」

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外科研修中の腹腔鏡ドライラボ

一般外来研修を通年化

ーー通年で外来研修をしている。

谷口先生 「一般外来研修は2021年から、 1コマ半日で週1〜2コマ担当する体制に切り替えました。 一般外来研修では落ち着いた環境で様々な専門医からマンツーマンで指導を受けられます。 一般外来ではERとは異なる背景の患者群に対し、 より総合的なアプローチが必要となります」

「研修医が自らの外来枠を持つことでERや一般外来で診た患者さんの経過をフォローできるメリットもあります。これらの一般外来での経験を通じ、 研修医の視野がより広がると考えています」

浦添伝統の朝カンファレンス

ーー教育イベントが充実している

谷口先生 「毎朝ER当直後に研修医が経験症例のフルプレゼンテーションを行う通称“朝カンファ”は浦添伝統の教育イベントです。 コロナ後よりリニューアルし、 100%教育カンファレンスとなり30分間で可能な限りプレゼンとフィードバックを行います」

「複数科のスタッフが集まり、 医学知識や臨床判断だけでなく、 プレゼンの仕方やカルテ記載方法など細かい点までフィードバックします。 研修医の疑問にその場で回答したり、 ワンポイントのミニ講義があったりと即興性があり、 研修医でなくともおもしろいと感じます」

【浦添総合病院】 成人急性期ならココ!人気の 「浦添式育成メソッド」 とは
研修医によるランチョンレクチャー

毎週のランチョンレクチャー

「ランチョンレクチャーは毎週水曜日に1時間程度、 研修医が自ら経験した症例を深掘りしてプレゼンテーションします。 担当スタッフから指導をうけ、 経験症例の理解を深めつつ、 プレゼンテーション、 スライド作成、 文献検索等のスキルを学びます」

「超有名な読影医 (琉大名誉教授) の胸部単純レントゲン写真読影術をはじめとしたスタッフからの臨床スキルの講義やシミュレーションも行っています」

「教育回診は毎月2回開催され、 症例ベースに問診、 身体診察、 臨床推論といった医師として基礎となるスキルのトレーニングを行います。 病院にいながらも群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春先生を始め、 国内外の有名な指導者に直接指導をうけるチャンスとなっています」

オリジナル救急初療標準化コース 「SPAM」

「研修医向けに多くのoff the job trainingを企画開催していますが、 その中でもSPAM (Standard of Primary Assessment in Muribushi) が最も全国的に知名度があり人気が高いです。 SPAMは20年近く前に当院研修医やOB・OGが立ち上げた救急初療標準化コースです」

「救急初療で必要な情報収集や対応、 生理学的異常に沿った臨床推論法を標準化して学び、 実際にシミュレーターを使用して実践するコースです。 詳しくは前述の書籍 (SPAM 浦添ER診療ガイドブック) を参照してください」

「もともとは研修医SPAMからはじまったオリジナルのoff the job trainingでしたが、 各科に研修医SPAMを経験したOB・OGが増えるにつれてアドバンスコースとして各専門科のSPAMが開催されるようになりました。 現在では救急、 外科、 循環器、 整形外科で開催されており、 月ごとに各科SPAMで体系的に体験しながら臨床スキルを学ぶ機会を設けています」

「研修医SPAMを医学生向きに改変した学生版SPAMも年2回開催しています。 参加していただいた医学生の意見から当院の研修医がOSCE対策をいれたり、 救急エコー実習をいれたり毎回工夫していますので興味のある方は是非一度参加してみてください」

研修医の視点

1次から3次までcommon diseaseの経験が豊富

ーー研修医が浦添総合病院を研修先とする理由は

谷口先生「ERや外来研修が多く1次から3次救急まで豊富にcommon diseaseが経験できることに加え、 救急では診療科の垣根なく全員で対応に当たる体制に魅力を感じて来ている人が多いです。 コメディカルも含めた病院の温かい雰囲気も人気ですね。 エコー研修やICLS講習会では臨床検査技師、 看護師、 救命士など他職種の方が丁寧に指導してくれます」

「医療人育成センターでは新人が職種を越えて成長できる環境づくりを常に考えています。 新病院への移転、 若いスタッフの増加などで勢い付いている雰囲気も感じていただいているのかと思います」

ビーチがすぐそば

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ーー周辺の環境は

谷口先生 「浦添市は那覇市となりの居住地域で那覇空港からもアクセス良好です。 周辺にはショッピングセンターやスーパー、 コンビニもあり、 困ることはありません。 住宅補助が月5万円まで出て、 住む場所は自由に選べます」

「近くの宜野湾トロピカルビーチは綺麗でバーベキューも楽しめます。 病院隣には浦添大公園、 ANAスポーツパークがあり、 住環境は沖縄県内でも恵まれています」

12月に新病院開院

ーー医学生にメッセージを

谷口先生 「1次から3次まで幅広い症例を経験して医師として必要な知識やスキルを身につけていってもらいたいと思っています。 救急病院での研修は忙しいと思われがちですが、 教育体制は充実しており、 2024年の働き方改革に向けた標準的な労働環境の整備にも力を入れています」

「研修医のサポート体制に関してもオリジナルのチーフ制度を導入しており、 担当チーフやチームメンバーが目標設定やメンタルサポートまで幅広く対応してくれます。 実際に当院研修は男性だけでなく女性からも支持されており、 今年度の研修医は男女比が逆転しました」

「『良き臨床家を育てる』という群星沖縄、 浦添総合病院としての理念は脈々と受け継がれており、 とにかく教育が手厚いです。 私は5期生ですが、 先輩も後輩もいて、 理念やビジョンを共有する世代の良い循環ができています」

「最大の課題は建物が古いことでしたが、 12月には新病院に移転します。 病院機能や医師の作業環境も大幅に改善されると私たちも期待しています。 新病院見学や当院での研修を体験したい方はぜひ見学やクリクラ実習にきて実際に確かめてください」

「クリクラ学生向けにはminiUSSCを行っていますので興味がある人はぜひ当院でのクリニカルクラークシップに応募してください。 スキルの習得とともに手術でできることも増えていくため、 研修医には好評です」

「当院では毎年学生版SPAM (年2回)、 国試対策Zoom座談会 (毎年3-9月に毎月1回) やクリクラ学生向けスキルアップコースなど医学生向きのイベントを企画開催しています。 研修医SPAM、 各科SPAMは定員がありますが医学生の参加も募集しています。 また群星沖縄として全国病院説明や東京大阪でのスキルコースにも参加しています」

先生のプロフィール

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浦添総合病院のホームページ 

リクルートサイト

▶公式インスタグラム 「うられじ〜浦添総合病院 医師臨床研修〜

群星沖縄臨床研修センターのホームページ

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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