HOKUTO編集部
6ヶ月前
本年6月2~4日に、英・ロンドンにおいて第21回国際レトロウイルス学会 (HTLV CONFERENCE 2024) が開催されました。 大阪国際がんセンター血液内科副部長の藤重夫先生に印象記をお寄せいただきました。
ヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV) に焦点を当てた第21回国際レトロウイルス学会 (HTLV CONFERENCE 2024)がロンドンで開催されました。
本学会は、 血液学会等と比較すると非常に小規模ではありますが、 普段の国際学会よりは発展途上国の関与が大きく、 また本邦の果たしている役割が大きいという特徴があります。
初日のワークショップでは、 HTLVに関連した検査について話題となりました。 やはり先進国と発展途上国では大きな違いがあり、 各々の国で経済状況に応じて何を重要視するのか、 費用対効果がどうかという点が問題と感じられました。
ただ、 ブラジルなどの参加者からは、 経済発展もあってかHTLVの検査体制や研究を発展させる姿勢を強調しているという発言や、 南米と米国の共同での取り組みについての報告などもあり、 今後こういった地域からも興味深い研究結果が報告されてくるのではないかと期待させられました。
2日目以降は、 Royal College of Physiciansで行われました。 オーストラリアについてはHTLVに関する基礎的な検討についての論文をあまり目にすることがありませんでしたが、 今回はHIVに対する治療薬の経験も生かしての抗ウイルス薬の開発に関する興味深い報告が発表され注目を集めました。
オーストラリアも先住民を中心にHTLV感染が問題視されており、 今後基礎研究も積極的に行われてくる可能性を感じました。
次回は2年後に米国で開催される予定です。 主催者によると元々は先進国と発展途上国を交互に開催地として選んできたようですが、 経済状況等の問題で発展途上国で主催できるところが見つからなかったということです。 私としては先進国の方が安心して参加しやすいためありがたいとは思っていますが、 発展途上国でも安全に国際的な会議が行える国が出てくれば素晴らしいと思います。
本邦でも 「HTLV-1キャリア診療ガイドライン 2024」 が今春に公表されましたが、 HTLVについてはまだまだ基本的なところでも不明なところも多く、 抗ウイルス薬の開発ではHIVよりも大幅に研究が遅れているとされています。 今後も研究がさまざまな観点で行われる必要があります。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。