海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Chanderrajらは、 敗血症患者を対象に、 抗嫌気性菌薬の経験的投与が有害転帰に及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 ピペラシリン・タゾバクタム (PIPC/TAZ) の投与はセフェピムと比較して死亡率が高く、 臓器機能障害の期間が長くなることと関連することが示された。 本研究は、 JAMA Intern Med誌において掲載された。
どの領域でも揺り戻しのようなものがあり、 一時期はセフェピムに対してPIPC/TAZが優位な報告が散見されていましたが、 今後はその逆の報告が続きそうです。
細菌性敗血症に対する経験的治療としてPIPC/TAZなどの抗嫌気性菌薬が用いられるが、 これらの使用が有害な転帰と関連する可能性があることが示唆されている。 14日後の短期転帰には差がないとする最近の研究もあるが、 長期的な影響についてはさらなる検討が必要である。
2014年7月1日~18年12月31日に敗血症の疑いでミシガン大学に入院し、 PIPC/TAZかセフェピムのいずれかとバンコマイシンの併用療法を受けた成人患者 : 7,569例
90日死亡率
臓器不全の無い日数、 例工呼吸器の無い日数、 バソプレッサーの無い日数
PIPC/TAZ投与例では90日後の絶対死亡率が5.0%高かった。
95%CI 1.9-8.1%
PIPC/TAZ投与例は以下の結果と関連していた。
臓器不全のない日数 : 2.1日減少
95%CI 1.4-2.7日
人工呼吸器のない日数 : 1.1日減少
95%CI 0.57-1.62日
バソプレッサーのない日数 : 1.5日減少
95%CI 1.01-2.01日
著者らは 「敗血症が疑われる患者において、 PIPC/TAZの投与はセフェピムと比較して死亡率が高く、 臓器機能障害の期間が長くなることが示された。 この所見は、 敗血症における経験的な抗嫌気性菌薬の広範な使用が有害である可能性を示唆している」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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