【DESTINY-Breast06】HR陽性HER2低発現乳癌へのT-DXd、 QOLを維持し疼痛悪化リスクも低減
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HOKUTO編集部

20日前

【DESTINY-Breast06】HR陽性HER2低発現乳癌へのT-DXd、 QOLを維持し疼痛悪化リスクも低減

【DESTINY-Breast06】HR陽性HER2低発現乳癌へのT-DXd、 QOLを維持し疼痛悪化リスクも低減
HR陽性かつHER2低発現/超低発現で内分泌療法既治療・化学療法未治療の進行乳癌に対する抗HER2抗体薬物複合体T-DXdの有効性を、 化学療法を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験DESTINY-Breast06について、 患者報告アウトカム (PRO) の結果が発表された。 その結果、 T-DXdは治療期間中のQOLを維持し、 疼痛悪化までの期間を遅らせた。 中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのXichun Hu氏が発表した。 同詳細はN Engl J Med. 2024年9月15日オンライン版に掲載された。

背景

既報の結果より、 主要評価のPFSは達成

DESTINY-Breast06試験では、 HR陽性かつHER2低発現/超低発現の局所進行性/転移性乳癌において、 トラスツズマブ デルクスカン (T-DXd) 投与群が、 カペシタビン / nab-パクリタキセル / パクリタキセルから担当医が選択して投与したTPC群と比較し、 無増悪生存期間 (PFS) を改善したことが、 米国臨床腫瘍学会 (ASCO) 2024で既に報告されている。

今回は副次的評価項目の1つである、 ITT集団とHER2低発現集団におけるPROについて、 T-DXd群およびTPC群の結果が報告された。

>> 主解析の結果詳細はこちら

評価項目はCFBとTTD

PRO解析では、 EOTRC QLQ-C30およびBR45を用いて、 Global Health Status (GHS) /QOLのベースラインからの変化(CFB)とQOL悪化までの時間(TTD)が評価された。

評価は治療1サイクル (ベースライン) 時より3週毎に実施され、 治療終了後も3週毎に評価された。

臨床的に意味のある変化の定義は以下の通りとされた。
【CFB】ベースラインからQLQ-C30/BR45スケール変化≧10点
【TTD】連続する2つ以上の時点、 または最後のPRO評価のいずれかにおいて、 ベースラインからの変化≧10点

試験の結果

CFBは両群で同様

GHS/QOLおよび機能的項目における平均CFBは31週間にわたり維持され、 両群間で同様だった。 この結果は、 ITT集団とHER低発現集団のいずれにおいても認められた。

TTDは差を示さずも疼痛悪化リスクはT-DXd群で49%減少

QLQ-C30の評価において、 ITT集団のTTD中央値はT-DXd群が11.3ヵ月 (95%CI 8.3-14.7ヵ月)、 TPC群が10.5ヵ月(同 7.7-13.3ヵ月)、 HR 0.93 (同 0.73-1.18) と、 QOL悪化までの期間は両群で同様だった。

ただし、 症状別に両群の差を検証した結果、 T-DXd群 (22.0ヵ月 [95%CI 17.2ヵ月-NE] ) はTPC群 (6.3ヵ月[同 4.8-9.6ヵ月] ) に比べ、 「疼痛」 の悪化リスクにおいて臨床的意義のある減少を認めた (HR 0.51 [同 0.39-0.65] )。

またT-DXd群では、 「身体機能 (HR 0.72) 」 「役割機能 (HR 0.75) 」 「情緒機能 (HR 0.71) 」 および 「疲労 (HR 0.76) 」 のサブスケールにおいて、 臨床的に意義のあるリスク低下が認められた。

一方で、 消化器症状である 「悪心・嘔吐 (HR 1.60)」 「便秘 (HR 1.74) 」 「食欲低下 (HR 1.33) 」 のリスクは上昇していた。

皮膚・粘膜症状はT-DXd群で良好

QLQ-BR45の評価においては、 TPC群で皮膚・粘膜症状が臨床的意義のある悪化を示したが、 T-DXd群では悪化していなかった。

結論

T-DXdによる治療選択をさらに支持

Hu氏は 「HR陽性かつHER2低発現/超低発現で内分泌療法既治療・化学療法未治療の進行乳癌において、T-DXd投与はTPC投与と比較して消化器症状が強いものの、 治療期間中のQOLを維持し、 身体・役割機能の低下と疼痛悪化を遅らせた。 この結果はHR陽性かつHER2低発現/超低発現の進行乳癌に対するT-DXdの有効性と安全性を補完し、 新たな治療オプションであることをさらに支持するものである」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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