海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Maoらは、 マンモグラフィで偽陽性と判定された女性のその後の乳癌発生率を集団ベースのマッチドコホート研究で検討した。 その結果、 偽陽性の結果が出た後、 20年間にわたって乳癌の発症や死亡のリスクが上昇していることが明らかとなった。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
大変面白いリサーチクエスチョンです。 健診での偽陽性後の長期アウトカム調査はどの領域でも臨床的に重要なテーマと言えます。
マンモグラフィで偽陽性の判定がでることはよくあるが、 その後の長期的転帰については不明な点が多い。
マンモグラフィの偽陽性判定
乳癌罹患率および死亡率
調整HR:1.61 (95%CI 1.54-1.68)
60~75歳の高齢女性の方が、 40~49歳の若年女性よりも高かった。
HR:2.02 (95%CI 1.80-2.26)
乳腺密度が低い女性の方が乳腺密度が高い女性よりも高かった。
HR:4.65 (95%CI 2.61-8.29)
受診勧奨中に生検を受けた女性のほうが受けなかった女性よりも高かった。
生検を受けた女性のHR:1.77 (95%CI 1.63-1.92)
生検を受けなかった女性のHR:1.51(95%CI 1.43-1.60)
偽陽性判定後の癌は、 偽陽性となった乳房と同側で検出される傾向が高かった。
HR:1.92 (95%CI 1.81-2.04)
偽陽性判定後の癌は、 追跡調査後4年間により多く発生していた。
最初の2年間のHR:2.57 (95%CI 2.33-2.85)
2~4年間超のHR:1.93 (95%CI 1.76-2.12)
腫瘍の特徴に基づく統計学的差異は腫瘍の大きさが大きい場合以外では観察されなかった。
腫瘍径 20mm以上のHR:1.78
20mm未満のHR:1.47
偽陽性の女性は、 そうでない女性に比べて乳癌死亡率が84%高かった。
HR:1.84 (95%CI 1.57-2.15)
マンモグラフィで偽陽性と判定された後の乳癌リスクが年齢や乳腺密度といった個人の特性によって異なることを示している。 これらの所見は、 偽陽性結果後の個別化されたリスクに基づく乳癌検診の開発に利用できると考えられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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