海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Wallis氏らは、 米国の急性期病院で選択的または非選択的手術を受けた65~99歳の患者を対象に、 患者と外科医の性別の一致が手術後の死亡率に与える影響について後ろ向き観察研究で検討した。 その結果、 いずれの組み合わせにおいても、 術後死亡率で臨床的に意義のある差は認められなかった。 本研究はBMJ誌において発表された。
本研究データセットにおいて術者は男性医師95%に対して女性医師5%に過ぎず、 あくまでの現在の特殊な状況下での結果と言えます。 今後も同じような結果が言えるか注目していく必要があります。
患者-外科医の性別の一致と患者の術後死亡率の関連性を明らかにすることで、 執刀医の性別が術後アウトカムに及ぼす影響を検討する。
2016~19年に米国の急性期病院で14の主要な選択的、 または非選択的手術*のいずれかを受けた65~99歳のメディケア有料サービス受給者: 290万2,756例
術後30日以内の死亡率
対象例のうち44.4%は患者と同性の外科医による手術が行われていた。 また、 55.6%は患者と異性の外科医による手術が行われていた。
選択的手術における患者-外科医の性別の一致においては、 女性患者の死亡率とわずかに関連しており、 男性外科医による手術を受けた例と比較して、 女性外科医による手術を受けた例でわずかに死亡率が低かった。
補正後リスク差 -0.2 (95%CI -0.3~-0.1) 、 p<0.001
また、 女性外科医による手術を受けた男性患者に比べ、 男性外科医による手術を受けた男性患者の死亡率は高かった。しかしこれらの群間の差は小さく、 臨床的な意義を持たない結果となった。
補正後リスク差 0.3 (95%CI 0.2-0.5) 、 p<0.001
非選択的手術では、 患者-外科医の性別の一致による術後死亡率の差異を示唆するエビデンスは認められなかった。
術後30日以内の死亡率において、 患者-外科医の4種類の性別の組み合わせによる差はほとんど同程度であり、 臨床的に意味のある差は認められなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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