HOKUTO編集部
1年前
本企画は、 4人の腫瘍内科医による共同企画です。 がん診療専門医でない方でも、 ちょっとしたヒントが得られるようなエッセンスをお届けします。 第2回は、初回に続き、虎の門病院・三浦裕司先生からです! ぜひご一読ください。
前回、 治療の目標として、 「病気や治療とうまく長く付き合っていく」ことを共有することが重要である、 というお話をしました。 今回は、 どのようにこの目標について患者さんに説明するか、 実際に私が患者さんに話をするときに描く絵を使いながら解説します。
うまく付き合うとは、 言い換えると「症状のない元気な状態」と言えます。
がん患者さんにおいて、 症状とは大きく分けてふたつ存在します。
① がんによる症状
② 治療による副作用・合併症
「がんによる症状」は、 治療を何もしないと出てきてしまいますし、 「治療による副作用」は、 治療を頑張りすぎると出てきてしまいます。 この2つのバランスをとり、 合計を最小にすることが、 「うまく付き合っていく」に繋がります。
治療を行うとき、 もちろん一番好ましいのは、 「効果が出て、 副作用もない」状態になります。 図で言うと青い部分ですね。
しかし、 全く副作用がない、 という治療も少ないので、 やはり生活にある程度の影響が出てしまいます。 この、 「ある程度」が、 患者さんにとって耐えられる範囲であれば、 「"うまく"と"長く"」のバランスが一番取れている状態 (緑の部分) だと思います。
一方で、 副作用で日常生活が全く楽しくない、 もしくはいつも通り送れない、 なんてこと (赤の部分) になれば、 いくら長くい期間を得られても、 うまく付き合ってるとは言えません。 その際には、 薬の量を調整したり、 休薬期間を作ったり工夫しながら、 オレンジの部分を目指していくわけです。
生活にどの程度影響が出ているのか、 については患者さんの主観的なことなので、 我々には判断が難しいところです。
そのため、 治療を続けるのか、 それとも加減するのかは、 医師と患者さんが (場合によってはご家族や他の医療者の意見も聞きながら) 一緒に相談しながら考えていく必要があります。 「うまく長く付き合っていく」という目標を共有して、 一緒にそれを目指してやっていきましょう、 というメッセージをここで伝えることが大切です。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。