海外ジャーナルクラブ
8日前
Morrisらは、 タキサン系抗癌薬未治療かつアンドロゲン受容体経路阻害薬 (ARPI) 既治療の転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC) を対象に、 ルテチウムオキソドトレオチド-177 (177Lu)-PSMA-617の有効性について、 第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験PSMAforeで検討した。 その結果、 177Lu-PSMA-617投与群はARPI変更群に比べ、 画像上の無増悪生存期間 (rPFS) を有意に改善した。 本研究はLancetにて発表された。
有意差を示しても、 abstractの最後の一文は"177Lu-PSMA-617 may be an effective treatment alternative"とソフトに記載しており、 品格を感じます。
mCRPCへの177Lu-PSMA-617、カバジタキセルとOSは同等
177Lu-PSMA-617は、 タキサン系抗癌薬およびARPIによる前治療歴のあるmCRPCに対して、 rPFSおよび全生存期間 (OS) を改善することが示されている。 しかし、 タキサン系薬未治療の患者に対する同薬の効果は明らかにされていない。
タキサン系抗癌薬による治療歴がなく、 前立腺特異的膜抗原 (PSMA) 陽性であり、 1種類のARPI治療で一度でも進行したmCRPC患者468例を対象とし、 以下の治療群に1 : 1で無作為に割り付けた。
なお、 ARPI変更群では、 放射線画像上の進行が確認された時点でLu-PSMA-617群へのクロスオーバーが認められていた。
主要評価項目は、 無作為化から画像上の進行または死亡までの期間と定義されたITT集団における放射線学的無増悪生存期間 (rPFS) だった。 副次評価項目には安全性が設定された。
本試験では、 主要評価項目における主要解析の結果および最新解析の結果が報告された。
第1回目のデータカットオフ ( 追跡期間中央値7.26ヵ月) となる主要解析において、 rPFS中央値は177Lu-PSMA-617群が9.30ヵ月 (95%CI 6.77ヵ月-NE)、 ARPI変更群が5.55ヵ月 (同4.04-5.95ヵ月)、 ハザード比 (HR) 0.41 (同 0.29-0.56)、 p<0.0001) であり、 177Lu-PSMA-617群で有意に改善していた。
3回目のデータカットオフとなるアップデート解析 (追跡期間中央値24.11ヵ月) において、 rPFS中央値はそれぞれ11.60ヵ月 (95%CI 9.30-14.19ヵ月)、 5.59ヵ月 (同4.21-5.95ヵ月)、 HR 0.49 (同0.39-0.61) であり、 長期成績においてもrPFSの有意な改善を示した。
Grade3~5の有害事象発現率は、 177Lu-PSMA-617群が36%で、 ARPI変更群の48%に比べて低かった。
著者らは 「タキサン系抗癌薬による治療歴がないmCRPCにおいても、 177Lu-PSMA-617はARPI変更に比べてrPFSを有意に改善した。 安全性プロファイルは良好な結果を示した。 1種類のARPI治療で進行を示し、 ARPIの変更を検討しているPSMA陽性のmCRPC患者にとって、 177Lu-PSMA-617は有効な治療選択肢となる可能性が示唆された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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