海外ジャーナルクラブ
1年前
Jiangweiらは炎症性腸疾患 (IBD) の患者を対象に、 脳卒中の長期リスクをコホート研究で検討。 その結果、 IBD患者はIBDのサブタイプにかかわらず脳卒中、 特に脳梗塞のリスクが高かった。 本研究はNeurology誌において発表された。
本研究はSwedish National Patient Register (NPR) を使用して解析されています。 NPRの詳細は下記です。 From 1987 NPR includes all in-patient care in Sweden. Since 2001 the register also covers outpatient doctor visits including day surgery and psychiatric care from both private and public caregivers.
炎症性腸疾患 (IBD) 患者は血栓塞栓イベントのリスクが高いが、 脳卒中の長期リスクに関するエビデンスはまだ少ない。
1969~2019年にスウェーデンで生検確定されたIBD患者全員と、 一般集団およびIBDのない全兄弟姉妹から無作為に抽出
全脳卒中の発症
脳梗塞と脳出血の発症
IBD患者8万5,006例 (クローン病、 潰瘍性大腸炎、 IBD未分類を含む) を解析した結果、 脳卒中発症が3,720件が観察された。
参照群40万6,987例では、 脳卒中発症が1万5,599件観察された。
aHRの上昇は診断から25年後でも持続し、 それまでIBD患者93例当たり1例の脳卒中症例が追加されたことに相当した。
aHRの上昇は脳梗塞 (aHR=1.14、 1.09-1.18) で有意であり、 脳出血 (aHR=1.06、 0.97-1.15) では非有意であった。
脳梗塞のリスクはIBDサブタイプで有意に増加した。
IBD患者とその兄弟姉妹を比較しても同様の結果が得られた。
IBD患者はIBDのサブタイプにかかわらず脳卒中、 特に脳梗塞イベントのリスクが高かった。 リスク差は診断後25年経過しても持続した。 これらの所見は、 IBD患者における脳血管イベントの長期的なリスクに対する注意が必要であることを強調するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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