Nowakowskaらは、 前立腺癌の治療に用いる第2世代抗アンドロゲン薬 (AA) の認知機能および身体機能に対する毒性を系統的レビューとメタ解析で検討。 その結果、 従来のホルモン療法に追加した場合も含め、 第2世代AAが認知および機能毒性のリスクを増大させることが示唆された。 本研究はJAMA Oncol誌において発表された。
📘原著論文
Association of Second-generation Antiandrogens With Cognitive and Functional Toxic Effects in Randomized Clinical Trials: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Oncol. 2023 May 25;e230998. PMID: 37227736
👨⚕️監修医師のコメント
本研究のlimitationはイベントまでの時間が検討されていない点です。 つまり第2世代AAによって生存期間が長くなることでイベントが発生している可能性(bias)があります。
🔢関連コンテンツ
前立腺癌のTNM臨床病期分類
前立腺癌の病期分類 (UICC-8版)
前立腺がんのNCCNリスク分類
前立腺がんの予後予測
前立腺がんのD'Amicoリスク分類
前立腺がんの予後予測
背景
前立腺癌の治療において、 第2世代AAの使用が増加している。 後ろ向き研究において、 第2世代AAと認知機能および身体機能に対する毒性の関連が示唆されており、 前向き研究におけるさらなるデータが必要である。
研究デザイン
対象
前立腺がん患者を対象とした第2世代AA (アビラテロン、 アパルタミド、 ダロルタミド、 エンザルタミド) の無作為化臨床試験
データソース:PubMed、 EMBASE、 Scopus(開始から2022年9月12日まで)
主要評価項目
認知毒性、 無力性毒性、 転倒についてリスク比 (RR) およびSEを算出
研究結果
- 第2世代AAによる治療を受けた患者は対照群に比して、 認知毒性 (RR、 2.10;95%CI 1.30-3.38、 P=0.002) および疲労 (RR 1.34、 95%CI 1.16-1.54、 P<0.001) のリスク増加が認められた。
- 両治療群に従来のホルモン療法を加えた試験においても、 認知毒性 (RR 1.77、 95%CI 1.12-2.79、 P= 0.01) および疲労 (RR 1.32、 95%CI 1.10-1.58、 P=0.003) の結果は一貫していた。
- メタ回帰では、 すべての研究において、 年齢が高くなると、 第2世代AAによる疲労のリスクが上昇することが確認された (係数 0.75、 95%CI 0.04-0.12、 P<0.001)。 さらに、 第2世代AAの使用は、 転倒リスクの増加と関連していた (RR 1.87、 95%CI 1.27-2.75、 P=0.001)。
結論
従来のホルモン療法に追加した場合も含め、 第2世代AAが認知および機能的毒性作用のリスクを増大させることを示唆している。