【Lancet Gastroenterol Hepatol】肝細胞癌の治療戦略にPET-CTは必要?
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海外ジャーナルクラブ

4ヶ月前

【Lancet Gastroenterol Hepatol】肝細胞癌の治療戦略にPET-CTは必要?

【Lancet Gastroenterol Hepatol】肝細胞癌の治療戦略にPET-CTは必要?
Naultらは、 肝細胞癌 (HCC) 患者を対象に、 [¹⁸F]フルオロデオキシグルコース ( [¹⁸F]FDG) および[¹⁸F]フルオロコリン ( [¹⁸F]FCH) を用いたPET-CT検査が病期分類および治療方針の決定に及ぼす影響を多施設共同前向き研究で検討した。 その結果、 PET-CT検査の結果により治療方針を変更した患者はわずかであったことが明らかとなった。 研究結果はLancet Gastroenterol Hepatol誌に発表された。

📘原著論文

[¹⁸F]fluorodeoxyglucose and [¹⁸F]fluorocholine PET-CT for staging optimisation and treatment modification in hepatocellular carcinoma (PET-HCC01): a prospective multicentre study. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025 Feb 20:S2468-1253(25)00011-1. Epub ahead of print. PMID: 39987937.

👨‍⚕️HOKUTO監修コメント

結論に 「PET-CTs should not be systematically performed」 と書かれており、 潔いです。


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目的

HCCの病期分類・治療決定でのPET-CT検査の有用性を評価

肝細胞癌 (HCC) の病期分類と治療決定に[¹⁸F]フルオロデオキシグルコース ([¹⁸F]FDG) や [¹⁸F]フルオロコリン ( [¹⁸F]FCH) を用いたPET-CT検査が果たす役割は、 これまで前向きに評価されたことがなかった。

研究デザイン

主要評価項目は、 PET-CT検査により治療方針を変更した患者割合

フランス国内9施設で、 Barcelona Clinic Liver Cancer (BCLC) 分類A~C (転移なし) のHCCの診断を受けた18歳以上の患者を対象に、 多施設共同前向き研究を実施した。

造影肝MRIおよび肝・胸部・骨盤CTを実施後、 [¹⁸F]FCHおよび [¹⁸F]FDGを用いたPET-CT検査を実施した。 PET-CT検査の結果を盲検化した状態で、 形態学的画像を用いて最初の病期分類と治療方針が決定された。

PET-CT結果を開示後、 再度病期分類と治療方針が決定された。 主要評価項目は、 PET-CT検査の結果により治療方針が変更された患者の割合であり、 10%を超える場合に臨床的に意義があると設定された。

結果

治療方針変更の割合は10%を下回る

2020年7月20日~23年4月27日に230例が登録され、このうちPET-CT検査を1回以上受けた215例がintention-to-image集団として解析対象となった。 年齢中央値は66.0歳 (IQR 60.0-71.5歳) で、 男性が193例 (90%)、 肝硬変がある患者が155例 (73%) であった。

形態学的画像により、 BCLC病期分類Aに140例 (65%)、 Bに48例 (22%)、 C (転移なし) に27例 (13%) が分類された。 19例 (9%) で潜在的な新規病変を検出した ( [¹⁸F]FDGおよび[¹⁸F] FCH両方により8例、 [¹⁸F]FCHのみで6例、 [¹⁸F]FDGのみで5例)。 6例では、 追跡調査によりHCCと確定診断 (副腎病変1例、 骨病変2例、 リンパ節病変2例、 肝内病変1例) された。 PET-CTにより、 10例のBCLC病期が変更された。

  • BCLC A → B : 2例
  • BCLC A → C : 2例
  • BCLC B → C : 2例
  • BCLC C (転移なし) → C (転移あり) : 4例

計画された治療方針を変更したのは4例 (2%、 95%CI 1~5%) で、 事前に設定された値の10%を下回った。

結論

HCC初診時にPET-CT検査の一律的な実施は不要

著者らは、 「[¹⁸F]FDGおよび[¹⁸F]FCH PET-CTにより治療方針を変更した症例は少数にとどまった。 「[¹⁸F]FDGおよび[¹⁸F]FCH PET-CTは、 HCC初診時の病期分類を目的に一律に実施すべきではない」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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