HOKUTO編集部
4ヶ月前
未治療で65歳以上のMCLにおけるベンダムスチン+リツキシマブ(BR) 併用療法へのBTK阻害薬アカラブルチニブの上乗せ効果を、 プラセボ+BR療法を対照に検証した第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験ECHOの結果より、 PFSの有意な延長が認められた。 米・MD Anderson Cancer CenterのMichael Wang氏が発表した。
マントル細胞リンパ腫 (MCL) に対する積極的な1次治療は持続的な奏効と無増悪生存期間 (PFS) の延長をもたらすが、 忍容性が低いため高齢者や体力のない患者には適さず、 同集団には次世代型選択的ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 阻害薬ベンダムスチン+抗CD20抗体リツキシマブ (BR) 併用療法が第1選択となる。
MCLの1次治療としてBR療法にBTK阻害薬イブルチニブを追加したSHINE試験では、 PFSの延長が示されたものの、 過剰な毒性の影響でOSの改善は認められなかった¹⁾。 一方で、 高齢MCL患者に対するアカラブルチニブ+BR療法を評価した第Ⅰ相ECHO試験では、 良好な効果と安全性が証明された²⁾。 今回は第Ⅲ相試験の結果が報告された。
未治療でECOG PS≦2かつ65歳以上のMCL患者
598例が以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。プラセボ群でPDが認められた場合は、 アカラブルチニブ群へのクロスオーバーが許容された。
主要評価項目
独立評価委員会 (IRC) に基づくPFS
副次的評価項目
IRCに基づく客観的奏効率 (ORR)、 全生存期間(OS)、 安全性
両群間で概ね一致していた。
Simplified MIPIスコア
PFS
【追跡期間中央値】
45ヵ月
【中央値(95%CI)】
HR 0.73 (0.57-0.94)、 p=0.0160
【COVID-19による死亡を除いた集団】
事前に規定された感度分析として、 COVID-19による死亡を除いた患者でPFSを評価した結果、 より顕著な改善効果が示された。
中央値 (95%CI)
HR 0.64 (0.48-0.84)、 p=0.0017
ORR
CR率
OS (クロスオーバー含む)
【追跡期間中央値】
45ヵ月
【中央値 (95%CI) 】
両群ともに未到達であった。 PBR群の51例がPD後にABR群へクロスオーバーしたが、 ABR群で有利な傾向が示された。
HR 0.86 (95%CI 0.65-1.13)、 p=0.2743
【COVID-19による死亡を除いた集団】
中央値 (95%CI)
HR 0.75 ( 0.53-1.04)、 p=0.0797
有害事象 (AE) の発現率
【全Gradeの治療関連AE (TEAE) 】
【Grade3以上のTEAE】
【Grade3以上の重篤なAE】
Wang氏は 「未治療で65歳以上のMCL患者において、 BR療法へのアカラブルチニブ上乗せはPFSを有意に改善し、 OSに良好な影響を与えることを初めて証明した。 安全性プロファイルは各薬剤の既知のものと一致していた。 以上の結果より、 アカラブルチニブ+BR併用の1次治療が患者に大きな利益をもたらすことが示唆された」 と報告した。
¹⁾ N Engl J Med. 2022 Jun 30;386(26):2482-2494.
²⁾ J Clin Oncol. 2023;41(suppl 16):7546.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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