【ECHO】未治療高齢マントル細胞リンパ腫へのアカラブルチニブ併用でPFS改善
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HOKUTO編集部

3ヶ月前

【ECHO】未治療高齢マントル細胞リンパ腫へのアカラブルチニブ併用でPFS改善

【ECHO】未治療高齢マントル細胞リンパ腫へのアカラブルチニブ併用でPFS改善
未治療で65歳以上のMCLにおけるベンダムスチン+リツキシマブ(BR) 併用療法へのBTK阻害薬アカラブルチニブの上乗せ効果を、 プラセボ+BR療法を対照に検証した第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験ECHOの結果より、 PFSの有意な延長が認められた。 米・MD Anderson Cancer CenterのMichael Wang氏が発表した。

イブルチニブは毒性でOS改善せず

マントル細胞リンパ腫 (MCL) に対する積極的な1次治療は持続的な奏効と無増悪生存期間 (PFS) の延長をもたらすが、 忍容性が低いため高齢者や体力のない患者には適さず、 同集団には次世代型選択的ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 阻害薬ベンダムスチン+抗CD20抗体リツキシマブ (BR) 併用療法が第1選択となる。

MCLの1次治療としてBR療法にBTK阻害薬イブルチニブを追加したSHINE試験では、 PFSの延長が示されたものの、 過剰な毒性の影響でOSの改善は認められなかった¹⁾。 一方で、 高齢MCL患者に対するアカラブルチニブ+BR療法を評価した第Ⅰ相ECHO試験では、 良好な効果と安全性が証明された²⁾。 今回は第Ⅲ相試験の結果が報告された。

主要評価項目はPFS

対象

未治療でECOG PS≦2かつ65歳以上のMCL患者

方法

598例が以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。プラセボ群でPDが認められた場合は、 アカラブルチニブ群へのクロスオーバーが許容された。

  • アカラブルチニブ+BR (ABR) 群 : 299例
28日間を6サイクルとしてベンダムスチン90mg/m²(1-2日目)+リツキシマブ375mg/m²(1日目)+アカラブルチニブ100mgを1日2回連日投与→部分奏効 (PR) 以上の場合、 維持療法としてリツキシマブ+アカラブルチニブを最長2年投与→アカラブルチニブ100mgを病勢進行 (PD) または許容できない毒性出現まで継続
  • プラセボ+BR (PBR) 群 : 299例
28日間を6サイクルとしてベンダムスチン90mg/m²(1-2日目) +リツキシマブ375mg/m² (1日目) +プラセボを1日2回連日投与→PR以上の場合、 維持療法としてリツキシマブ+プラセボを最長2年投与→プラセボを病勢進行または許容できない毒性出現まで継続。

評価項目

主要評価項目

独立評価委員会 (IRC) に基づくPFS

副次的評価項目

IRCに基づく客観的奏効率 (ORR)、 全生存期間(OS)、 安全性

PFS中央値は66.4ヵ月、 増悪リスクは27%低減

患者背景

両群間で概ね一致していた。

(ABR群、 PBR群)
  • 年齢中央値 : 71歳、 71歳
  • 男性 : 71.6%、 69.9%

Simplified MIPIスコア

  • 低リスク : 33.1%、 33.8%
  • 中リスク42.8%、 41.8%
  • 高リスク : 24.1%、 24.4%

主要評価項目

PFS

【追跡期間中央値】

45ヵ月

【中央値(95%CI)】

  • ABR群 : 66.4ヵ月
(55.1ヵ月-NE)
  • PBR群 : 49.6ヵ月
(36.0-64.1ヵ月)*
HR 0.73 (0.57-0.94)、 p=0.0160
*99件にPDが認められたが、 うち69%は後治療としてBTK阻害薬が投与された。

【COVID-19による死亡を除いた集団】

事前に規定された感度分析として、 COVID-19による死亡を除いた患者でPFSを評価した結果、 より顕著な改善効果が示された。

中央値 (95%CI)

  • ABR群 : NE
(66.4ヵ月-NE)
  • PBR群 : 61.6ヵ月
(49.6-68.9ヵ月)
HR 0.64 (0.48-0.84)、 p=0.0017

副次評価項目

ORR

  • ABR群 : 91.0%
  • PBR群 : 88.0%

CR率

  • ABR群 : 66.6%
  • PBR群 : 53.5%

OS (クロスオーバー含む)

【追跡期間中央値】

45ヵ月

【中央値 (95%CI) 】

両群ともに未到達であった。 PBR群の51例がPD後にABR群へクロスオーバーしたが、 ABR群で有利な傾向が示された。

  • ABR群 : NE
(72.1ヵ月-NE)
  • PBR群 : NE
(73.8ヵ月-NE)
HR 0.86 (95%CI 0.65-1.13)、 p=0.2743

【COVID-19による死亡を除いた集団】

中央値 (95%CI)

  • ABR群 : NE
(NE-NE)
  • PBR群 : NE
(73.8ヵ月-NE)
HR 0.75 ( 0.53-1.04)、 p=0.0797

有害事象 (AE) の発現率

【全Gradeの治療関連AE (TEAE) 】

  • ABR群 : 99.7%
  • PBR群 : 99.0%

【Grade3以上のTEAE】

  • ABR群 : 88.9%
  • PBR群 : 88.2%

【Grade3以上の重篤なAE】

  • ABR群 : 64.3%
  • PBR群 : 55.9%

アカラブルチニブ上乗せが高齢MCLの生存利益に

Wang氏は 「未治療で65歳以上のMCL患者において、 BR療法へのアカラブルチニブ上乗せはPFSを有意に改善し、 OSに良好な影響を与えることを初めて証明した。 安全性プロファイルは各薬剤の既知のものと一致していた。 以上の結果より、 アカラブルチニブ+BR併用の1次治療が患者に大きな利益をもたらすことが示唆された」 と報告した。

出典

¹⁾ N Engl J Med. 2022 Jun 30;386(26):2482-2494.

²⁾ J Clin Oncol. 2023;41(suppl 16):7546.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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