【TROPION-Lung01】既治療進行NSCLCでDato-DXdはDTXと比べてPFSを有意に延長
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HOKUTO編集部

1年前

【TROPION-Lung01】既治療進行NSCLCでDato-DXdはDTXと比べてPFSを有意に延長

【TROPION-Lung01】既治療進行NSCLCでDato-DXdはDTXと比べてPFSを有意に延長
非小細胞肺癌 (NSCLC) の2次、 3次治療において、 抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecan (Dato-DXd/DS-1062) の有効性および安全性を標準治療のドセタキセル (DTX) を対照に比較する第Ⅲ相国際共同非盲検無作為化比較試験TROPION-Lung01の中間解析の結果から、 無増悪生存期間 (PFS) の有意な延長が認められた。 米・David Geffen School of Medicine at UCLAのAaron Lisberg氏が発表した。

背景

転移のあるNSCLCの2次治療は化学療法が標準とされているが、 毒性が強いにもかかわらず効果は限定的であることが課題となっている。 Dato-DXdは進行/転移性のNSCLCに対し、 第Ⅰ相のTROPION-Pan Tumor01試験において客観的奏効率 (ORR) 26%の抗腫瘍活性が報告されている (J Clin Oncol 2023; 41: 4678-4687) 。

研究デザイン

対象

前治療*歴のあるNSCLC患者で以下の適格基準を満たす患者

  • Stage IIIB/IIIC/IV
  • 全身状態 (ECOG PS) が0、 1
  • DTXの前治療歴なし
前治療としては以下が許容された。
<ドライバー遺伝子変異が陰性>
プラチナ製剤ベースの化学療法および抗PD-1/PD-L1抗体を含む前治療歴が1または2ライン
<ドライバー遺伝子変異が陽性 (EGFR、 ALK、 NTRK、 BRAF、 ROS1、 METエクソン14スキッピング、 RETのいずれか)>
承認された分子標的療法+プラチナ製剤ベースの化学療法、 抗PD-1/PD-L1抗体 (1剤まで) による前治療歴が1または2ライン

方法

604例*を以下の2群に1:1で割り付けた。

*FAS (Full Analysis Set) 解析集団
  • Dato-DXd群 (299例)
6mg/kgを3週ごとに投与
  • DTX群 (305例)
75mg/m²を3週ごとに投与

評価項目

  • 主要評価項目:盲検下独立中央評価 (BICR) によるPFS、 全生存期間 (OS) 
  • 副次評価項目:BICRによるORR、 BICRによる奏効期間 (DOR) 、 安全性

研究結果

追跡期間

  • Dato-DXd群:13.1ヵ月
  • DTX群:13.0ヵ月

患者背景 (Dato-DXd群、 DTX群)

  • 年齢中央値:63歳、 64歳
  • 男性:61%、 69%
  • アジア人:40%、 39%
  • ドライバー遺伝子変異あり:両群とも17%
  • 2ライン以上の前治療歴あり:43%、 42%
  • 前治療の薬剤
  • プラチナ製剤:99%、 100%
  • 抗PD-1抗体:両群とも88%
  • 分子標的薬:15%、 16%
  • 解析時点で治療継続していた割合:18%、 6%
  • 治療期間中央値 (範囲) :4.2ヵ月 (0.7-18.3ヵ月) 、 3.7ヵ月 (0.7-18.9ヵ月) 

PFS中央値

  • Dato-DXd群:4.4ヵ月
(95%CI 4.2-5.6ヵ月)
  • DTX群:3.7ヵ月
(95%CI 2.9-4.2ヵ月)
HR 0.75 (95%CI 0.62-0.91)、 p=0.004、 事前に規定した両側P=0.008

PFSのサブグループ解析

扁平上皮癌患者のグループ (HR 1.38) 以外では、 Dato-DXd群の優位性が認められた。

非扁平上皮癌患者のPFS中央値

  • Dato-DXd群:5.6ヵ月
(95%CI 4.4-7.0ヵ月)
  • DTX群:3.7ヵ月
(95%CI 2.9-4.2ヵ月)
HR 0.63 (95%CI 0.51-0.78)

ドライバー遺伝子変異陰性例でのHRは0.71 (95%CI 0.56-0.91) だった。

扁平上皮癌患者のPFS中央値

  • Dato-DXd群:2.8ヵ月
(95%CI 1.9-4.0ヵ月)
  • DTX群:3.9ヵ月
(95%CI 2.8-4.5ヵ月)
HR 1.38 (95%CI 0.94-2.02)

ORR

  • Dato-DXd群:26.4%
(95%CI 21.5-31.8%)
  • DTX群:12.8%
(95%CI 9.3-17.1%)

DOR

  • Dato-DXd群:7.1ヵ月
(95%CI 5.6-10.9ヵ月)
  • DTX群:5.6ヵ月
(95%CI 5.4-8.1ヵ月)

OS (中間解析) 

  • Dato-DXd群:12.4ヵ月
(95%CI 10.8-14.8ヵ月)
  • DTX群:11.0ヵ月
(95%CI 9.8-12.5ヵ月)
HR 0.90 (95%CI 0.72-1.13)

非扁平上皮癌のグループ

HR 0.77 (95%CI 0.59-1.01)

扁平上皮癌のグループ

HR 1.32 (95%CI 0.87-2.00)

治療関連有害事象 (TRAE) 

全グレード、 グレード3以上、 治療中止を要したTRAE

  • Dato-DXd群:87%、 25%、 8%
  • DTX群:87%、 41%、 12%

各群で頻度の高いTRAE

  • Dato-DXd群:口内炎47%、 吐気34%、 脱毛32%
  • DTX群:好中球減少症23%

薬剤関連間質性肺疾患:ILD (グレード3以上、 グレード5)

  • Dato-DXd群:10例 (3%) 、 7例 (2%) 
  • DTX群:4例 (1%) 、 1例 (0.3%) 

Lisberg氏らの結論

前治療歴のある進行または転移性のNSCLC患者に対し、 DTXと比べてDato-DXdはPFSを有意に改善した。 特に非扁平上皮癌患者でPFSが最も延長した。 Dato-DXdの忍容性は良好で、 安全性プロファイルも管理可能だった。 OSの最終解析まで本試験は継続中である。 本結果からDato-DXdは非扁平上皮NSCLCの有望な治療法となる可能性がある。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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