寄稿ライター
11ヶ月前
こんにちは、 医局ウォッチャーのコアライ ミナトです。 連載3回目のテーマは 「医局人事に関わるお金」。 人事異動って新たな経験や人間関係につながるチャンスである反面、 金銭的な負担もかかるもの。 医局人事でどれくらいのお金を失うか試算してみました。
「35歳で新たな病院に着任した2人の医師」 について比較します。
A医師:35~65歳を1つの病院で勤務
B医師:35歳~50歳、 50~65歳と、 異動1回で2病院に勤務
最も大きな差となるのが退職金です。ポイントは以下の3つです。
これらを踏まえた上で、 A医師とB医師の退職金を計算します。 医師に限定した統計はみつからなかったため、 りそな年金研究所の一般的なデータを代用すると、 結果はこうなります。
A医師:30年(会社都合)=2183.6万円
B医師:15年(自己都合) + 15年(会社都合)=1059.9万円
次に賞与です。 一般的に年間の賞与は給料の2~2.5ヶ月分。 医師の年収がおおよそ1400万円、 そのうち賞与が200万円と仮定しました。
賞与は年2回に分けて支給されますが、 「支給日に勤務していないともらえない」 が基本です。 3月に異動すると、 以前の勤務先からその年の夏の賞与はもらえません。 夏季賞与の計算対象期間が前年10月〜今年3月末の場合、 新たな勤務先でももらえません。
新たな勤務先で、金一封が支給されることもありますが、満額には程遠いものです。 つまり、 異動1回ごとに賞与1回分(100万円) を損する計算です。
最後は転居費用です。 賃貸の場合、 敷金礼金や仲介手数料、 引越し費用などで少なくとも50万円は必要となります。
これらを合計すると、 2人の医師の金銭面での差は1200万円以上という結果になりました。 今回はわかりやすく30年間で異動0回と1回を比較しましたが、実際はもっと多い医局がほとんどだと思います。
ただ、この検討には以下の問題点があることに注意が必要です。
試算は多くの仮定に基づいていますが、具体的な数字を挙げることで、医局人事が個々の医師の懐事情にどれだけ影響があるかイメージしやすくなったと思います。
今回は以上です。この記事がキャリア設計の参考になりましたら幸いです。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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