海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
「JAMA Clinical Guidelines Synopsis」 では今回、 米国胸部医学会の臨床診療ガイドライン 「抗血栓療法の周術期管理」 を取り上げ、 その要点をコンパクトにまとめ、 9つの項目で独自に体系定期な評価を行った。
昨年の輸血ガイドラインに続いて、 臨床現場でもまた専門医試験などの試験においても必須のガイドラインです。 そのなかでもワルファリン内服中のAf患者が、 血栓塞栓症のリスクが低~中等度の待機的手術を受ける場合にヘパリンブリッジングは推奨されないのは強い推奨なので、 確実に覚えておくことが必要です。
JAMAが2014年から連載している 「JAMA Clinical Guidelines Synopsis」 では、 多忙な医師に向けて、 診療ガイドラインの要点をコンパクトにまとめているほか、 ガイドライン自体を 「透明性の確立」 「利益相反の管理」 などの9項目についてpoor、 fair、 goodで評価してきた¹⁾。
"Perioperative Management of Antithrombotic Therapy: An American College of Chest Physicians Clinical Practice Guideline" はアメリカ胸部疾患学会が2022年に公表したガイドラインである²⁾。 経口抗凝固療法または経口抗血小板療法を受けている患者のうち、 待機的手術または処置を受ける患者を対象としている。
本ガイドラインは、 9項目中8項目はGoodまたはFair、 外部レビューのみPoorと評価された。
- 透明性の確立 : Good
- 作成委員の利益相反管理 : Good
- 作成委員の構成 : Good
- 系統的レビューの連係 : Fair
- 推奨の強さの評価 : Fair
- 推奨の明確化 : Good
- 外部レビュー : Poor
- 更新性 : Fair
- 実施の問題点 : Fair
なお、ガイドライン評価において、 以下の4つの推奨事項が取り上げられていたので概説する。
「継続すること」を条件付きで推奨
待機的非心臓手術を受けるアスピリン療法が必要な患者には、 術中もアスピリンを継続することが推奨される。
「使用しない」 ことを強く推奨
ビタミンK拮抗薬 (VKA;ワルファリン) を内服中で血栓塞栓症リスクが低~中等度 (CHA₂DS₂-VASc ≦6点 または CHADS₂ ≦4点)の心房細動患者が待機的手術または処置を受ける場合、 VKA中断中における治療用量でのへパリンの一時使用 (ヘパリンブリッジング) は推奨されない。
「使用しないこと」を条件付きで推奨
血栓塞栓症のリスク低~中等度 (CHA₂DS₂-VASc ≦6点 または CHADS₂ ≦4点)の機械弁置換患者で、 待機的手術または処置のためにVKAの中断が必要な場合、 ヘパリンブリッジングは推奨されない。
「中止すること」を条件付き推奨
直接経口抗凝固薬 (DOAC) の投与中で待機的手術または処置を受ける予定の患者では、 特定のDOACと処置の出血リスクに応じたタイミングでDOACによる治療を中止することが推奨される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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