海外ジャーナルクラブ
2年前
Upshawらは、 高齢のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) 患者を対象に、 心不全 (HF) の既往や治療パターンと転帰との関連性を縦断コホート研究で検討。 その結果、 高齢のDLBCL 患者においてHFの既往は一般的であり、 アントラサイクリンの使用量の低下およびあらゆる化学療法の使用量の低下と関連していた。 本研究はJAMA Cardiol誌において発表された。
血液領域と循環器領域のちょうど間のGap研究です。 実臨床でこのような患者が増えているのは事実ですし、 アカデミアにおいてもこのGap研究が今後注目されています。 血液や循環器という歴史のある領域では研究者はなかなか1つの領域での研究は新規性に乏しく、 このGap研究が今後の道標になると思います。
アントラサイクリンを含むレジメンはDLBCLに高い効果を示すが、 HFの既往がある患者はアントラサイクリンの投与を受けにくく、 リンパ腫死亡のリスクが高くなる可能性がある。
2000〜15年に新たにDLBCLと診断され、 リンパ腫診断の前年度にMedicareパートAまたはBが継続している65歳以上の患者。
アントラサイクリン系薬による治療。
心保護薬、 原因別死亡率。
DLBCL患者3万728例のうち、 13.9% (4,266例) にHFの既往があり、 HFの既往がある患者はアントラサイクリンで治療される可能性が低かった。
アントラサイクリン系薬剤を投与されたHF既往患者のうち、 デクスラゾキサンまたはドキソルビシンリポソームは7.0%(1,119例中78例) に使用された。
ベースラインおよび時間変動する治療因子で調整したモデルにおいて、 既存のHFは、 より高いリンパ腫死亡率と関連していた。
高齢のDLBCL患者における既存のHFは多く認められ、 アントラサイクリンの使用量の低下およびあらゆる化学療法の使用量の低下と関連していた。 この高リスク集団に対する臨床試験が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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