海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前

Simmondsらは、 外傷性脳損傷 (TBI) が認知症リスクに与える影響を、 20年以上の追跡データを有する英国の電子ヘルスレコードを用いて検証した。 その結果、 TBIは認知症リスクを2倍以上に上昇させ、 特に血管性認知症およびタイプ特定不能の認知症のリスクを高めることが示された。 試験結果はNeurology誌に発表された。
本研究の第一の限界は、 追跡期間が20年未満と短く、 若年期のTBIおよびその後の認知症発症リスクを十分に評価できなかった点です。 さらに、 TBIリスクの高いプロ・セミプロ選手が含まれておらず、 対照群には未診断の認知症例が含まれている可能性もあります。
外傷性脳損傷 (TBI) は神経変性疾患への脆弱性を高める可能性があり、 TBIと認知症の関連についてはこれまでも報告されている。 しかし、 従来研究ではTBI診断を自己申告に依存しており、 関連リスク因子も適切に調整していない場合が多い。 また、 TBIハイリスクと認知症発症の年齢層の両方を含むには観察期間が不十分なことも多い。
本研究では、 20年以上の追跡データを含む電子ヘルスレコードにおいて、 医療機関で認知症およびTBIと診断された170万例以上を対象に、 TBIと認知症、 TBIと認知症サブタイプ (アルツハイマー型認知症、 血管性認知症、 タイプ特定不能の認知症) の関連を評価した。
本研究は、 英国・ウェールズ地区の電子ヘルスレコードを用いた人口ベースの研究である。 1999年時点で年齢が30~65歳で認知症既往のない個人を対象に、 TBIが認知症リスクに与える影響を推定した。
TBI後の長期的な認知症リスクは、 性別、 社会的困窮度、 その他の併存疾患で調整したCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 TBIと認知症の間の時間の影響は、 時間層別解析により検討した。 また、 各認知症サブタイプへのTBI関連リスクを評価した。
対象は、 認知症のある4万2,974例 (認知症診断年齢[平均±SD] : 70±10.5歳)、 TBI既往のある1万164例、 対照群173万7,480例 (年齢[平均±SD] : 62±11.9歳) だった。 性別は女性49%であった。
TBIは認知症リスク上昇と関連しており (HR 2.32、 95%CI 1.88–2.85、 p=3.8 × 10⁻¹⁵)、 複数回のTBI既往でさらにリスクが上昇した (HR 1.22、 95%CI 1.08–1.38、 p=1.8 × 10⁻³)。
サブタイプ別のリスクについては、 アルツハイマー型認知症に比して血管性認知症およびタイプ特定不能の認知症において高かった。
TBIとサブタイプ別認知症との関連
著者らは、 「本研究により、 TBIが認知症リスクを高めることが確認され、 TBIの中でも、 特に血管性認知症とタイプ特定不能の認知症リスクを高めることが示された。 本研究は、 TBIと認知症との関連を駆動する生物学的メカニズムに関する今後の研究の方向性を示すものである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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