【NEJM】中等~重度クローン病、ウパダシチニブによる寛解導入および維持療法が有効
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【NEJM】中等~重度クローン病、ウパダシチニブによる寛解導入および維持療法が有効

【NEJM】中等~重度クローン病、ウパダシチニブによる寛解導入および維持療法が有効
Loftus Jrらは、 中等度から重度のクローン病患者を対象に、 経口JAK阻害薬ウパダシチニブの寛解導入療法と維持療法の効果を2件の寛解導入療法試験 (U-EXCEL試験、 U-EXCEED試験) と1件の維持療法試験 (U-ENDURE試験) で検討。 その結果、 ウパダシチニブの寛解導入療法および維持療法はプラセボよりも優れていることが明らかとなった。 本研究はNEJM誌で発表された。

📘原著論文

Upadacitinib Induction and Maintenance Therapy for Crohn's Disease. N Engl J Med. 2023 May 25;388(21):1966-1980. PMID: 37224198

👨‍⚕️監修医師のコメント

本論文は2つの寛解導入に関するRCTと維持に関する1つのRCTを組み合わせた研究報告です。 この研究デザインは他のどの領域でも実施可能ですし、 臨床に与えるimpactも大きいので5大雑誌への採用の可能性が高まります。

🔢関連コンテンツ

CDAI (クローン病)

クローン病の重症度分類

Crohn病の重症度分類

クローン病の重症度分類

Crohn病の診断基準

診断基準・治療指針 令和3年度改訂版より

IOIBDスコア

クローン病の臨床的活動性指標

CECDAI:Capsule endoscopy Crohn’s disease activity index

カプセル内視鏡検査によるクローン病活動性指標

背景

ウパダシチニブは経口JAK阻害薬であり、 クローン病の治療薬として注目されている。

研究デザイン

対象

中等度から重度のクローン病患者。

介入

U-EXCEL試験、 U-EXCEED試験

  • 中等度から重度の患者を以下の群に2:1の割合で割り付け。
  • ウパダシチニブ 45mg群
  • プラセボ群
1日1回、 12週間投与

U-ENDURE試験

  • 寛解導入療法で臨床効果が得られた患者を、 以下の群に1:1:1の割合でランダムに割り付け。
  • ウパダシチニブ 15mg群
  • ウパダシチニブ 30mg群
  • プラセボ群
1日1回52週間投与

主要評価項目

臨床的寛解と内視鏡的改善

研究結果

臨床的寛解を達成した患者の割合

U-EXCEL試験

  • ウパダシチニブ 45mg群:49.5%
  • プラセボ群:29.1%

U-EXCEED試験

  • ウパダシチニブ 45mg群:38.9%
  • プラセボ群:21.1%

内視鏡改善を達成した患者の割合

U-EXCEL

  • ウパダシチニブ 45mg群:45.5%
  • プラセボ群:13.1%

U-EXCEED

  • ウパダシチニブ 45mg群:34.6%
  • プラセボ群:3.5%
すべての比較においてP<0.001

52週目時点に臨床的寛解を達成した患者の割合

U-ENDURE試験

  • ウパダシチニブ 15mg群:37.3%
  • ウパダシチニブ 30mg 郡:47.6%
  • プラセボ群:15.1%

52週目時点に内視鏡的改善を達成した患者の割合

U-ENDURE試験

  • ウパダシチニブ 15mg群:27.6%
  • ウパダシチニブ 30mg群:40.1%
  • プラセボ群:7.3%
すべての比較においてp<0.001

安全性評価

  • 帯状疱疹の発現率は、 ウパダシチニブ 45mg群および30mg群で、 それぞれのプラセボ群よりも頻度が高かった。
  • 肝障害および好中球減少は、 ウパダシチニブ 30mg群において頻度が高かった。
  • 消化管穿孔は、 ウパダシチニブ 45mg群で4例、 30mgまたは15mg群で各1例に発現した。

結論

中等度から重度のクローン病患者において、 ウパダシチニブの導入および維持療法はプラセボよりも優れていた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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