海外ジャーナルクラブ
1年前
Costonらは、 ミスマッチ修復欠損 (dMMR) /高マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) 膵癌に対する免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の効果を後ろ向き研究で検討。 その結果、 ICIが細胞傷害性化学療法よりも優れた効果を持つことが明らかとなった。 本研究はJCO Precis Oncol誌において発表された。
N数は少なくとも、 本研究のような実臨床への展開が可能な臨床研究はその意義が大きいです。
膵癌は診断時に切除不能/転移性である率が高く、 切除後に再発し、 全身療法の選択肢が少ないなど予後不良な悪性腫瘍として知られている。
また、 化学療法歴のある進行・再発のdMMR/MSI-H固形癌を対象に抗PD-1抗体ペムブロリズマブの有効性および安全性を検証したKEYNOTE-158試験において、 dMMR/MSI-H膵癌は特に予後が悪いことが示された。
2009年12月~2023年2月の電子カルテから後ろ向きにデータを収集し解析した。
病理学的に膵臓癌が確認され、 ①腫瘍組織化学検査によりMMR蛋白の機能欠損、 ②ゲノムシーケンシングによりMMR遺伝子の病的変異、 および/または③PCRによりMSI-Hが確認された- 患者を対象とした。
32例が対象となり、 16例が手術または化学放射線療法を受けた。 追跡期間25ヵ月にもかかわらず、再発率はわずか19% (16例中3例) だった。
palliative settingでは、 ICIにおいて奏効率が高かった。
MMR検査法とMSI検査法の不一致率が高く、 コホート全体で19%、 評価可能症例で26%を占めた。
全身療法が必要なdMMR/MSI-H 膵癌患者においては、 転移性や術前・術後の補助化学療法を含めても、 細胞傷害性化学療法よりもICIを優先的に使用することが推奨され得る。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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