HOKUTO編集部
9日前

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2026) が、 10月23~27日にスペイン・マドリードで開催される。 婦人科腫瘍ではPresidential Symposiumに2演題が採択された。 本稿では、 Presidential Symposiumおよび口演に採択された婦人科腫瘍の演題のうち、 第Ⅲ相試験を中心に編集部が選んだ10演題を、 子宮体癌、 卵巣癌、 子宮頸癌に分けて開幕に先立って予告する。
プラチナ製剤および抗PD-1/PD-L1抗体による治療後に進行した進行・再発子宮体癌を対象に、 TROP2を標的とする抗体薬物複合体 (ADC) sacituzumab tirumotecanと、 医師選択の化学療法 (ドキソルビシンまたはパクリタキセル) を比較した第Ⅲ相試験である。 プラチナ製剤と免疫チェックポイント阻害薬による治療後に進行した症例では、 治療選択肢が限られている。 主要評価項目である全生存期間 (OS) と無増悪生存期間 (PFS) の改善は既に企業発表されており、 今回はその詳細な結果が焦点となる。 Presidential Symposiumに選ばれた1演題である。
ミスマッチ修復機構欠損 (dMMR) の進行・再発子宮体癌の1次治療を対象に、 ペムブロリズマブ単剤とカルボプラチン+パクリタキセルを直接比較した第Ⅲ相試験である。 dMMR例では化学療法に免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療が標準になりつつある。 本試験は、 化学療法を省いた免疫療法単剤による1次治療の有効性を検証する試験として注目される。 PFSの改善は既に企業発表されており、 今回はその詳細が報告される。 Presidential Symposiumに選ばれた1演題である。
進行・再発子宮体癌を対象に、 カルボプラチン+パクリタキセルにデュルバルマブを併用し、 維持療法としてデュルバルマブ単独またはオラパリブ併用を行う治療を検証した第Ⅲ相試験のOS中間解析である。 本試験はPFSでの改善が既に報告されているが、 PARP阻害薬の上乗せを誰に行うかはOSを含めて判断する必要がある。 ミスマッチ修復機構の状態別の結果が示されるかが焦点となる。
新規診断のdMMR類内膜子宮体癌のうち、 早期で中高リスクに分類される症例を対象に、 術後放射線療法にペムブロリズマブを上乗せする意義を検証した第Ⅲ相試験である。 子宮体癌の免疫療法は進行・再発例で確立してきたが、 早期例の術後補助療法に持ち込めるかは未確立である。 ❶❷❸が進行・再発例を扱うのに対し、 本試験は早期例を対象とする点で位置付けが異なる。
切除後の高リスクdMMR子宮体癌で術後治療を受ける症例を対象に、 血中循環腫瘍DNA (ctDNA) の臨床的有用性を検討した解析である。 子宮体癌の術後は画像による定期検査が中心で、 再発リスクを分子レベルで層別する手段は確立していない。 ❹NRG-GY020と同じdMMR・術後補助療法の設定で、 術後ctDNAが再発リスク評価などに役立つかを検討する。
BRCA野生型のプラチナ感受性再発卵巣癌を対象に、 オラパリブ、 デュルバルマブ、 テロメラーゼを標的とするがんワクチンUV1による維持療法を検証した無作為化第Ⅱ相試験である。 BRCA野生型例はPARP阻害薬単独の効果が限られ、 維持療法の選択肢が課題となってきた。 主要評価項目であるPFSの改善は達成されなかったことが公表されており、 今回はその詳細が報告される。
プラチナ抵抗性卵巣癌を対象に、 抗体薬物複合体mocertatug rezetecanを検証した国際共同試験の長期追跡結果である。 プラチナ抵抗性卵巣癌は予後不良で有効な選択肢が限られ、 近年はADCの開発が集中している領域である。 有効性と安全性のアップデート結果が報告される。
前治療を重ねたプラチナ抵抗性卵巣癌を対象に、 葉酸受容体αを標的とする抗体薬物複合体ZW191の用量を無作為化して最適化を図った試験である。 ADCは有効性と有害事象のバランスが用量設定に強く依存し、 開発初期の用量最適化が後の第Ⅲ相の設計を左右する。 ❼BEHOLD-1と合わせ、 プラチナ抵抗性卵巣癌に対するADC開発の現在地が示される。
転移性・持続性または再発の子宮頸癌の1次治療を対象に、 化学療法+ベバシズマブにアテゾリズマブを上乗せする意義を検証した第Ⅲ相試験の最終OS結果である。 PFSとOSの中間解析は既に報告されている。 日本からもJGOG1084として参加した国際共同試験である。 最終OS解析により、 生存利益が長期追跡でも維持されるかが注目される。
持続性・再発または転移の子宮頸癌の1次治療を対象に、 抗PD-1抗体iparomlimabと抗CTLA-4抗体tuvonralimabを一体で製剤化したQL1706について、 化学療法±ベバシズマブに上乗せする意義を検証した二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験である。 ❾BEATccがPD-L1抗体の上乗せを扱うのに対し、 本試験は2つの免疫チェックポイントを同時に標的とする設計で、 同じ治療ラインを別のアプローチで検証している。
本稿に採らなかった演題のうち、 卵巣癌ではプラチナ抵抗性例を対象とするFONTANAやREJOICE-ovarian02に加え、 プラチナ感受性再発例に対するsofetabart mipitecan+ベバシズマブなど、 ADC関連の演題が並ぶ。 また、 CDK2阻害薬の初期データ (INCB123667) と、 WEE1阻害薬の全生存期間解析 (DENALI) が示される。 子宮頸癌では、 既治療例に対する抗HER2 ADCとPD-L1阻害薬の皮下注配合剤JSKN033や、 再発・転移例を対象とするnectin-4標的の新規ADC SHR-A2102が発表される。
HOKUTOでは各演題のレポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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