医師のためのLIFESTYLE特集
2年前
今月から「iDeCo(個人型確定拠出年金)全員加入時代」 に突入した。 今回はiDeCoと企業型確定拠出年金 (DC) の 「マッチング拠出」であれば、 どちらを選択すればいいかなどをみていく。(参考:今月から「全員iDeCo時代」 ①富裕層は企業型DCと併用すべき?)
まず 「マッチング拠出」 をおさらいしておこう。 勤務医などが加入する企業型DCの掛金は原則, 事業主側が負担する。 これに個人の掛金を任意で上乗せできるのがマッチング拠出だ。 この仕組みを利用している勤務医は制度上、 iDeCoとの併用ができないため、 どちらかを選択することになる。
両方とも個人が拠出し、 掛金全額が所得控除されるという節税メリットは同じなので、 一見悩ましい。やってみたいのが、 拠出できる限度額を比較することだ。 マッチング拠出は「事業主の掛金と同額」、 iDeCoとの併用は「2万円」とそれぞれ上限が決まっている。
つまり、個人の拠出額をできるだけ多くしたいなら、
事業主の掛金が2万円未満 → iDeCo
2万円超→ マッチング拠出
という選択になる。 節税や複利効果を考慮して、 拠出できる限度額を選択肢に入れるのは一つの考え方だろう。 一般論でいえば、 年齢が若く、 事業主の掛金が少ないうちはiDeCoを優先してもいい。
気をつけたいのは、 マッチング拠出は、 加入している企業型DCが用意するラインナップからしか商品を選べない。 退職金の支払いに備えた事業者の「福利厚生」という意味合いが強いため、 利回りが高い(元本割れリスクもある)運用商品がないこともある。
深く考えずに利用すると、 金利がつかない定期預金が初期設定になっていることに気付いていないケースもあるので, 一度は確認したい。
一方、 iDeCoは口座開設に約3,000円の手数料が発生し、 運用手数料も毎月約170~600円 (金融機関によって異なる) かかる。 元本割れを怖がって元本確保型商品にすると、 手数料などに負けて資産が目減りする懸念もある。
元本確保型は、 最近急速に進んでいるインフレに対応できないリスクもあるため、 ある程度リスクを取って、 利回りのある運用商品を選びたいところだ。
前提として、 iDeCoも企業型DCも原則60歳まで引き出せない。 高年収であったり家計に余裕があったりしても、 近い将来、 教育費や介護費などで多額の資金がいると想像できるなら、 無理に始める必要はない。
いざマッチング拠出かiDeCoの併用を始めるにしても、 「企業型DCにおける事業主の掛金はいくらか」 「魅力ある運用商品はあるか」 「手数料が安いのはどちらか」 など判断基準は人によって様々だ。
これを機に, 自分が利用できる制度や保有商品を見直してみてはどうだろう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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