海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Ahlqvistらは、 スウェーデンの単体出生児を対象に、 妊娠中のアセトアミノフェン使用による出生児の①自閉症、 ②注意欠陥/多動性障害 (ADHD)、 ③知的障害リスク-との関連について、 コホート研究で検討した。 その結果、 妊娠中のアセトアミノフェン使用はこれらの障害リスクとは関連しないことが示された。 本研究はJAMA誌において発表された。
兄弟姉妹対照分析 (sibling control) というのが本研究のカギで実に27回出てきます。 兄弟姉妹を対照群において解析してみると、 アセトアミノフェン使用は神経発達障害リスクとは関連なしという結論になります。 逆に兄弟姉妹対照分析をしないとunmeasured confoundingによって少し差が出るようです。 研究の奥深さを示した素晴らしい研究です。
妊娠中のアセトアミノフェン使用は、 小児の神経発達障害リスクを増加させる可能性を示した研究が複数報告されている。
1995年7月1日~2019年12月31日にスウェーデンで生まれた単体出生児 : 248万797人
自閉症、 ADHD、 知的障害
7.49% (18万5,909人)
自閉症リスク
1.33% vs 1.53%
HR 1.05 (95%CI 1.02-1.08、 p=0.001)
ADHDリスク
2.46% vs 2.87%
HR 1.07 (95%CI 1.05-1.10、 p=0.001)
知的障害リスク
0.70% vs 0.82%
HR 1.05 (95%CI 1.00-1.10、 p=0.05)
妊娠中のアセトアミノフェンの使用歴は、 自閉症リスクのわずかな上昇と関連がみられた。
自閉症リスク
HR 1.05 (95%CI 1.02-1.08)
10歳時のリスク差 (RD) 0.09% (95%CI -0.01-0.20%)
ADHDリスク
HR 1.07(1.05-1.10)
10歳時RD 0.21% (0.08-0.34%)
知的障害リスク
HR 1.05 (1.00-1.10)
10歳時RD 0.04% (-0.04-0.12%)
いずれも有意差は認められなかった。
兄弟姉妹対象モデルではアセトアミノフェンの使用量別のリスクも検証したが、 いずれも有意差はなかった。
著者らは 「妊娠中のアセトアミノフェン使用は、 兄弟姉妹対照分析において、 児の自閉症、 ADHD、 知的障害のリスクとは関連しなかった。 この結果は、 他の研究で関連があるように示された理由が、 家族性の交絡に起因していた可能性を示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。