海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Planteらは、 早期低リスク子宮頸癌患者を対象に、 広汎子宮全摘術と単純子宮摘出術の転帰を多施設共同無作為化非劣性試験で検討。 その結果、 単純子宮摘出術は広汎子宮全摘術に対して非劣性であり、 さらに尿失禁および尿閉のリスクが低いことが示された。 本研究はNEJM誌において発表された。
NEJMは研究結果の臨床応用については読者に委ねるところが特徴ですが、 本研究はEditorialにはっきりと強い語調で書いてあるので、 以下紹介します。
It is critical to ensure that the use of simple hysterectomy is limited to patients who have low-risk tumors and who meet the criteria for eligibility for this conservative approach. Patients who do not meet such inclusion criteria should continue to be offered radical hysterectomy.
早期低リスク子宮頸癌患者では、 子宮傍組織浸潤の発生率が低いことが後ろ向きデータから示唆されており、 広汎子宮全摘術の必要性について疑問が生じている。 しかし、 広汎子宮全摘術と単純子宮摘出術の転帰を比較した大規模無作為化試験のデータはない。
腫瘍径2cm以下、 間質浸潤10mm未満の低リスク子宮頸癌患者
広汎子宮全摘術と単純子宮摘出術の転帰を比較
3年時点での骨盤領域における癌の再発 (骨盤内再発)
尿失禁・尿閉の発生率など
FIGO分類IB1期の腫瘍あり : 91.7%
扁平上皮細胞の組織学的特徴を有する腫瘍あり : 61.7%
グレード1または2の腫瘍あり : 59.3%
広汎子宮全摘術群 : 2.17%
単純子宮摘出術群 : 2.52%
絶対差 0.35%ポイント (90%CI -1.62~2.32)
広汎子宮全摘術群 : 5.5%
単純子宮摘出術群 : 2.4%
p=0.048
広汎子宮全摘術群 : 11.0%
単純子宮摘出術群 : 4.7%
p=0.003
広汎子宮全摘術群 : 11.0%
単純子宮摘出術群 : 0.6%
p<0.001
広汎子宮全摘術群 : 9.9%
単純子宮摘出術群 : 0.6%
p<0.001
筆者らは、 「低リスク子宮頸癌患者において、 単純子宮摘出術による3年骨盤内再発率は、 広汎子宮全摘術に対して非劣性を示した」 と結論した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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