亀田総合病院
11ヶ月前
本コンテンツは昨年11月23日に開催された 「亀田総合病院呼吸器セミナー2023」 の内容をまとめたものです。 呼吸器領域の代表的な疾患についてわかりやすく解説した内容となりますので、 是非臨床の参考としていただけば幸いです。
亀田総合病院呼吸器内科主任部長
咳嗽は持続期間で頻度の高い鑑別診断が変わる。
▼急性咳嗽の場合、 まずCOVID-19を疑う。
インフルエンザ・SARS-CoV-2の検査キットでスクリーニングを行う。
▼COVID-19が否定的な場合はかぜ症候群を疑う。
咳嗽、 咽頭痛、 鼻汁の3症状があるかを確認。 ピークを越えていれば胸部X線検査は行わず、 対症療法でよい。
急性咳嗽の中には遷延性咳嗽、 慢性咳嗽を呈する疾患の初期段階の患者が含まれることがあるため病歴を確認することも重要である。
慢性咳嗽の鑑別診断は、 胸部X線で異常を認めるものと、 異常を認めないものに分類すると整理しやすい。
咳喘息、 アトピー咳嗽、 COPD、 胃食道逆流症 (GERD)、 後鼻漏は慢性咳嗽の5大疾患とされる。
咳嗽は以下のように対応していくとよい。
【症状】Wheezeがなく、 咳だけの喘息
【検査】1秒率低下は認めないことが多い
治療はSABAが有効
【症状】喘鳴を伴う咳嗽
【検査】問診チェックリストに従い評価
画像で器質的疾患除外
治療はICS/LABAを投与、 喘鳴がない場合は低用量ICS/LABAまたICS単剤で経過観察。 治療に反応があり、 かつ 「ICS/LABA前に喘鳴がある」 あるいは 「再現性あり」 なら、 喘息と診断
【症状】中枢気道に好酸球性炎症→咳感受性亢進
【検査】問診で喘息以外のアレルギー疾患聴取
血液検査で以下を確認する
SABAは無効で、 抗ヒスタミン薬が有効
【症状】胃酸や胃内容物の食道への逆流
【検査】以下の特徴を有する慢性咳嗽か確認
治療は、 プロトンポンプ阻害薬 (PPI)、 消化管運動機能改善薬、 肥満・食生活の改善 (これらの治療により症状が改善すればGERDと診断)
【症状】 咳、 痰、 労作時の呼吸困難など。
【検査】問診 : 20pack-years以上の喫煙歴
スパイロメトリーによる肺機能検査
治療は、 LAMAあるいはLABA、 LAMA+LABAの併用、 LAMA+LABA+ICSの三剤併用、 非侵襲的陽圧換気 (NPPV) など
【症状】鼻汁が前方から出ず、 咽頭へ (慢性副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎が基礎として多い)
【検査】後鼻漏の訴え、 既往歴
その他、 舌圧子による中咽頭、 鼻咽頭ファイバースコープによる後鼻漏の確認など
PPI、 気管支拡張薬が無効。 既往歴の疾患に準じた治療 (PPI、 気管支拡張薬が無効で、 既往歴の疾患に準じた治療で軽快した場合は後鼻漏と診断)
ガイドラインに従った経験的治療を行って、 コデインリン酸塩やデキストロメトルファン、 麦門冬湯などの漢方薬を用いても改善が困難であり、 その他の慢性咳嗽のスクリーニングを終えたら、 原因不明の慢性咳嗽 (UCC)、 咳過敏症候群 (CHS) と判断する。
💊ガイドラインで推奨される治療
スピーチセラピー
ガバペンチン
💊ガイドラインで推奨される治療
スピーチセラピー
プレガバリン
最近、 難治性咳嗽に対する新規薬剤P2X3受容体拮抗薬ゲーファピキサント (リフヌア®) が日本でも承認された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。