寄稿ライター
4日前
こんにちは、 Dr.Genjohです。 2024年度の診療報酬改定で、 医師の減給を危惧している先生も多いのではないでしょうか。 新シリーズ 「医師減給時代」 の第1回は、 こういった流れの背景などを考察します。
政府の一般歳出に占める社会保障関係費は年々増加の一途をたどっています。 厚生労働省によると、 2000年時点では約16.8兆円でしたが、 2023年には約36.9兆円と2倍以上に膨れ上がっています¹⁾。
さらに、 驚くべき事実として、 実際に支払われた社会保障給付費は36.9兆円ではありません。 134.3兆円です【図1参照】。
36.9兆円は国庫本体からの支出に過ぎず、 地方交付税交付金の16.4兆円、 我々から毎月徴収される年金や保険料などの77.5兆円を加えて、 134.3兆円の支出をなんとかまかなっている状況です。
年々上がっていく税金や社会保険料によって社会保障の延命を図っているのです。
社会保障給付金による支出の約44.8%を占める年金については、 給付開始年齢を遅らせるなどの対策が取られています。
支出の31.0%を占める医療費も削減する必要がありますが、 現状では逆に年々増加傾向にあります²⁾【図2参照】。 今後厚労省がさらなる対策を取るのは必然と言えます。
医療費=P×Q (P : 診療報酬上の点数、 Q : サービス提供量)
医療費は上記の定義となります。 日本では、 一部の自由診療を除く保険診療で診療報酬が固定されており、 医療サービスを高値でふっかけたり安売りしたりすることはできません。
P、 つまり診療報酬上の点数=単価の削減は医療費削減につながりますが、 これは診療報酬改定に伴う点数の減点で実施されます。
これまで100円だったチョコレートを明日から50円で売れ、 と政府から否応なしに突きつけられるということです。 物価高の現状において辛い裁定です。
一方、 Q、 つまりサービス提供量=回数を減らす事でも医療費は削減されます。
こちらは、 リフィル処方箋の推進で再診の回数を減らしたり、 診療報酬加算の条件を厳しくしたりして、 診療報酬の請求回数そのものを減らす動きのことを指します。
2024年度の診療報酬改定により医療機関の収入は実質減額と見込まれていますが、 医療費削減が喫緊の課題となっている以上、 この流れは今後も続いていくであろうと見込まれます。
我々の給与はいつまで担保されることになるのでしょうね…。
Xアカウント : @DrGenjoh
¹⁾厚労省 : 令和5年度予算 国の一般歳出における社会保障関係費
²⁾厚労省 : 令和4年度 医療費の動向
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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