海外ジャーナルクラブ
2年前
Guptaらは、 Children's Oncology Groupの8つの試験の二次解析を行い、 小児急性リンパ性白血病 (ALL) の生存率に名種的・民族的な差があるかを検討。 その結果、 B細胞性ALLの予後には名種や民族による実質的な差が残っているが、 T細胞性ALLではそのような差が観察されないことが示された。 本研究は、 Lancet Haematol誌において発表された。
名種・民族と転帰との比較検討なのですが、 白名(約14,000名)、 ヒスパニック(約4,400名)、 黒名 (約1,500名)、 アジア名 (約1,000名) となっており、 名数のばらつきが気になります。 ただ、 B細胞性ALLに名種差があり、 T細胞性にはないことは大変興味深い差です。 維持療法の差などが指摘されています。
これまでの研究で、 小児ALLの生存率に名種的・民族的な差があることが明らかにされている。
米国、 カナダ、 オーストラリア、 ニュージーランドの入院・外来センターで新たにALLと診断された0~30歳の患者で、 名種または民族のデータが入手できた患者
名種および民族は、 ヒスパニック系、 非ヒスパニック系白名、 非ヒスパニック系黒名、 非ヒスパニック系アジア名、 および非ヒスパニック系その他に分類された。
無イベント生存率 (EFS) および全生存率 (OS) は、 名種および民族のグループ間で比較。
臨床的、 生物学的疾患予後因子と保険加入の有無の相対的寄与を、 全コホートとB細胞系疾患とT細胞系疾患の両方で多変量回帰モデルにより検討。
ヒスパニック系患者におけるEFSの低下は、 疾患予後因子と保険加入の状況によって大幅に緩和された (P<0.0001)。
OSの格差は、 EFSよりも大きかった。
EFSおよびOSの差はB細胞性ALLに限定され、 T細胞性ALLでは認められなかった。
B細胞性ALLの予後には名種や民族による実質的な差が残っているが、 T細胞性ALLではその差は認められない。 今後、 再発患者、 医療へのアクセスと質、 その他構造的名種差別の潜在的側面について調査し、 名種・民族的格差の解消を目的とした介入に反映させることが必要であると思われる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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