【海外論文】2型DM患者へのPPI使用、 心血管疾患および死亡のリスクと関連
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【海外論文】2型DM患者へのPPI使用、 心血管疾患および死亡のリスクと関連

【海外論文】2型DM患者へのPPI使用、 心血管疾患および死亡のリスクと関連
Gengらは、 UK Biobankに登録されている2型糖尿病 (T2D) 患者を対象に、 プロトンポンプ阻害薬 (PPI) の使用と心血管疾患 (CVD) および全死因死亡リスクとの関連を検討。 その結果、 PPIの使用は、 T2D患者におけるCVDイベントおよび全死因死亡の高いリスクと関連することが示唆された。 本研究は、 J Clin Endocrinol Metab誌において発表された。 

📘原著論文

Proton Pump Inhibitor Use and Risks of Cardiovascular Disease and Mortality in Patients with Type 2 Diabetes. J Clin Endocrinol Metab. 2022 Dec 27;dgac750.PMID: 36573284

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究結果の解釈の仕方には2つくらいの提案があります。 ①例えばH2blockerでもPPIと同じ傾向があれば、 他の因子の影響が強いと考えられてPPIとの関連は低いと捉える。 ②PPIの投与期間が長い患者さんほど、 イベント発生率が高ければdose dependencyがあり真と捉える。 研究結果の解釈は非常に難しいですね。

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背景

PPIは胃酸関連疾患の治療薬として広く使用されており、 腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性がある。

研究デザイン

対象

UK Biobankに登録された成人2型糖尿病患者:19,229名

解析内容

PPI使用と冠動脈疾患 (CAD)、 心筋梗塞 (MI)、 心不全 (HF)、 脳卒中および全死因死亡のリスクとの関連を分析。

研究結果

追跡期間中央値10.9-11.2年に発生したイベント

  • CAD:2,971名
  • MI:1,827名
  • HF:1,192名
  • 脳卒中:738名
  • 全死因死亡:2,297名

CVDイベント・死亡との関連

PPIの使用は、 CAD (HR 1.27、 95%CI 1.15-1.40)、 MI (HR 1.34、 95% CI 1.18-1.52)、 HF (HR 1.35、 95%CI 1.16-1.57) および全死因死亡の高リスクと有意に関連していた (HR 1.30、 95%CI 1.16-1.45)。

PPI使用と脳卒中の関連

PPI使用と脳卒中との間に有意な関連は認められなかった(HR 1.11、 95%CI 0.90-1.36)。

サブグループ解析

PPIの適応、 抗糖尿病薬の使用、 抗血小板薬の使用などの要因で層別化したサブグループ解析でも結果は一貫していた。

傾向スコアマッチ集団での解析

PPI使用者と非使用者の傾向スコアマッチ集団での解析でも同様の結果が得られた。

結果の解釈

PPIの使用は、 2型糖尿病患者におけるCVDイベントおよび死亡の高いリスクと関連することが示唆された。 2型糖尿病患者におけるPPI使用の有益性と危険性のバランスを慎重に検討し、 PPI治療中のCVD有害事象のモニタリングを強化する必要がある。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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