【リウマチ専門医対談】生涯リウマチ専門医として活躍を目指そう!
著者

日本リウマチ学会

25日前

【リウマチ専門医対談】生涯リウマチ専門医として活躍を目指そう!

【リウマチ専門医対談】生涯リウマチ専門医として活躍を目指そう!
日本リウマチ学会主催のリウマチ専門医対談をお届けします。 内科・整形外科それぞれの立場で膠原病・リウマチ性疾患診療の最前線に立つ先生方が、 専門を志したきっかけ、 リウマチ学の魅力、 日々の働き方、 ライフイベントとの両立、 そしてこれから専門医を目指す方へのメッセージを語り合いました。 研修医・医学生の方はもちろん、 進路に迷う若手医師の方にもヒントが詰まった内容です。 

参加医師について

司会 : 松下 雅和先生 (順天堂大学 膠原病・リウマチ内科 准教授 (1995年順天堂大学卒) )

出席 : 岡野匡志先生 (大阪市立大学医学部附属病院 整形外科 病院講師 (2004年大阪市立大学卒) )

長谷川詠子先生 (虎の門病院 腎センター内科・リウマチ膠原病科 医長 (2004年北海道大学卒) )

宮下知子先生 (順天堂大学 膠原病・リウマチ内科 助教 (2007年和歌山県立医科大学卒) )

目次

  1. はじめに
  2. リウマチ膠原病専門医を目指したきっかけ・時期
  3. リウマチ学の魅力・面白さ、 他の領域との違いとは
  4. ライフスタイルについて : 1日ごと、 1年ごと
  5. 研修医の指導にはどのような取り組みを行っているか
  6. ライフサイクルについて : 結婚、 出産、 育児、 介護、 異動など
  7. これからリウマチ専門医を目指す方へのメッセージ

はじめに

松下雅和 (以下、 松下)

「関節リウマチを始めとした膠原病は、 免疫機能の異常を基盤とする疾患で、 いまだ難病というイメージが残っております。 しかし近年の分子生物学の進歩によって、 病態が詳細に解明され、 生物学的製剤などの登場により病態の根本に迫った治療が可能になっています。 特に関節リウマチに対しては多くの生物学的製剤が認可され、 寛解を達成することが現実となっております。 膠原病患者さんの日常生活動作 (ADL) や生活の質 (QOL) をさらに向上させるためには、 内科および外科の先生方の連携をより密にすることが重要と思われます。  本日は、 リウマチ膠原病分野の最前線でご活躍中の内科系・外科系の先生方にお集まりいただき、 リウマチ学を志したきっかけやリウマチ学の魅力、 現在のライフスタイル、 そして後輩へのメッセージなどをお聞かせいただきたいと思います」

リウマチ膠原病専門医を目指したきっかけ・時期

松下

「まずリウマチ・膠原病をご自身の専門としたきっかけを、 お一人ずつ伺いたいと思います。長谷川先生、 いかがでしょうか」

長谷川詠子 (以下、 長谷川)

「私は、 虎の門病院にずっといるのですが、 1~2年目を前期研修医として内科全科をローテートしたあとに、 3~5年目も後期研修医として複数科をローテーションしました。 当院では、 腎臓内科医がリウマチ膠原病科も診るという診療体制になっており、 血液内科、 呼吸器内科、 腎臓内科をローテーションしながら私は最後まで進路に迷っていましたが、 最終的に腎臓内科にしました。 したがって、 リウマチ膠原病科を 「選択した」 という感覚はあまりないのですが、 腎臓内科で腎臓病といっしょにリウマチ膠原病診療をしているうちに、 リウマチ・膠原病の面白さ、 奥深さ、 魅力にはまっていったという感じです。 今振り返ると、 血液内科や呼吸器内科も、 免疫が関与しているというところに興味があったのかなと思います」

松下

「働きはじめて益々リウマチ学の魅力を感じてきたということですね」

長谷川

「そうですね」

松下

「ありがとうございます。 それでは岡野先生はいかがでしょうか」

岡野匡志 (以下、 岡野)

「私は、 学生のときからずっとラグビーなどのスポーツをやっていて、 よく怪我などもしていましたので、 整形外科に進みたいなというのはありました。 なかでもスポーツ整形に興味がありました。 最初に研修したのは、 大阪市立総合医療センターという病院で、 これは宮下さんといっしょの病院でした。 超急性期の病院で、 脊椎の手術や人工関節の手術など、 いろいろな整形外科の手術を行いました。 当時、 若手は外来の患者さんは担当しておらず、 病棟の入院患者さんの受け持ちを主にしておりましたので、 手術をして回復する患者さんしかあまり知りませんでした」

「ちょうどその研修医の間に、 整形外科以外にもいろいろローテーションしていたため、 老健施設とか、 そういったところにも行く機会がありました。 そこで、 車椅子のまま歩けない人たちがいるのだということに気づきました。 立ったり座ったりなどのリハビリの時間があって、 ヘルパーさんがそれを手伝うだけだったのですね。 あるとき、 私が 「もっと何かきちんと介入してあげれば、 もっとよくなるのではないですか」 といった意見を言いました。 そのとき、 次のようなことを言われました。 「ここに来ている人たちの中には、 脳梗塞後の人などで、 一通りの医療が終わって、 もうこれ以上よくなる見込みがない人もいます。 でも、 たとえ自分でごはんが食べられないとしても、 私たちが口に運んであげて、 食べておいしいと思ってくれたら、 その人はそれで幸せだし、 別に自分で歩けなくても、 私たちが車椅子で押してあげたらどこでも行けます。 健常者と同じようにできることが幸せとは限らないのではないですか」 と。 それまでは、 手術してよくなる人に手術してあげたいなという思いが非常に強かったのですが、 「そういう医療もあるのか」 と気づかされました」

「それを整形外科の領域に当てはめると、 関節リウマチの患者さんが、 そういう人たちに近い状況・環境なのだということがわかりました。 関節リウマチは、 ちょうど私が研修医になったぐらいにバイオが出始めて、 よくなる時代になりつつあるという状況でした。 よくなる人がいる一方で、 よくならない人もいる。 よくできる人をよくしてあげることもできるし、 よくならない人をいかに工夫し、 介入し、 よくしてあげられるかという疾患です。 手術でよくしてあげることもできるし、 サポートで幸せになる人もいるという点が、 幅広いなと思いました。 人工膝関節の手術後、 歩けるようになるというのもいいのですが、 関節リウマチは幅が広くて、 興味が湧いてきたというのが、 リウマチの専門医を目指すようになったきっかけという感じですね」

松下

「なるほど。 ありがとうございます。最近は多くの生物学的製剤が認可されておりますが、 手術の傾向というのはだいぶ変わってきているのですか」

岡野

「そうですね、 全体的には手術は減ってきているのかなとは思います。 昔よく行われた滑膜切除というのは、 基本的にはほとんどなくなりました。 ただ、 やはり年齢がいってきますと、 当然OA (変形性膝関節症) を合併してくる患者さんもいますので、 人工関節の手術をする患者さんもいます。 また、 逆によくなって動けるようになったことで、 今まであまり動かなかったから痛くなかったとか、 気にならなかった個所に関して、 もっとよくなりたいということで、 手術をされる方もいらっしゃいます。 そういう点からしますと、 やはり手術でよくできる部分はまだありますので、 すごく減っているというわけではありません。 滑膜切除などの減った領域もあり、 一方では増えている領域もあるということだと思います」

松下

「ありがとうございました。では、 続いて宮下先生、 お願いします」

宮下知子 (以下、 宮下)

「もともと大学卒業時には内科に行こうと思っていたのですが、 最初の研修の病棟で初めて出会った患者さんが、 16歳のGPA (多発血管炎性肉芽腫症) の患者さんで、 病棟の中で一番重症の方でした。 どこの病院の小児科でも診断がつかず、 研修病院に運ばれてきて、 やっと診断がついたという女の子でした。 それがすごく衝撃的だったのです」

「その後、 いろいろな患者さんを診るにつれて、 診断学というのがすごく内科では重要だということを認識し、 診断学がきちんとできていないと治療に移れないということを痛感して2年間を終えました。 長谷川先生と同じように、 内科でどこの科を目指すのかが、 なかなか自分のなかで決められずに、 3年目、 4年目は総合診療科に進み、 自分の進路を見つけようと思いました」

「3年目、 4年目でも不明熱や診断がつかない患者さんというのは、 膠原病疾患においてすごく多かったのを実感し、 5年目に膠原病を選んだというかたちでした」

リウマチ学の魅力・面白さ、 他の領域との違いとは

松下

「実際にお仕事をされ、 他の領域との違いを実感することにより、 学問の魅力や面白さがさらに増してくるのかと思いますが、 岡野先生、 いかがでしょうか」

岡野

「私は整形外科医ですが、 薬物治療に関して内科の先生と同じようにできないといけない、 中途半端ではいけないという思いがあり、 いろいろ免疫学のことなども勉強しています。 勉強していくと、 この領域は非常に奥が深いですし、 面白いです。 学術的な免疫学自体もそうですし、 実際の薬物治療を行っている際の、 いろいろな内科的な合併症も興味深いです。 整形外科の領域で言えば、 いろいろな手術も行いますが、 たとえば膝の人工関節にしても、 われわれの医局内でも、 その手術を専門とする先生もいます。 私は整形外科医として、 それぞれの手術の専門家と対等でなければいけないという気持ちも強いので、 本当に幅広く、 いろいろ勉強しなければいけない。 そのため、 とても忙しいのですが、 リウマチ学は面白いと感じています」

松下

「宮下先生は、 いかがですか」

宮下

「膠原病自体は免疫異常が複雑にからみ合っています。 私は大学院で、 関節リウマチの細胞の勉強や、 SLE (全身性エリテマトーデス) のモデルマウスを使った実験なども行いました。 解明されていない部分が多いと同時に、 生物学的製剤など、 今までの実験をもとに実際に使える薬剤もいろいろ開発されているという部分は、 すごく面白い分野かなと思っています」

松下

「長谷川先生、 いかがでしょうか」

長谷川

「膠原病は全身のいろいろな臓器に多彩な症状をきたし、 それが膠原病診療の難しさでもあり、 とっつきにくいと感じるところでもあるのですが、 最初はどこから手をつけていいかわからなくても、 基本に忠実に、 パズルを解くようにほかの疾患を鑑別していくと答えにたどり着くことができます。 そのような瞬間は、 学問としてすごく面白くやりがいがあります。 あとは、 先ほどの宮下先生の症例にもあったように、 どこの科でも診断がつかない症例がまわってきて、 最後に診断がついて感謝されることがあります。 そういうときは 「膠原病科医冥利に尽きる」 というような感じで、 非常にやりがいがあると思います」

松下

「専門性の高い分野ですので、 そういったことは多々あると思いますね」

ライフスタイルについて : 1日ごと、 1年ごと

松下

「先生方は総合病院や大学病院の第一線でご活躍されており、 大変お忙しい日々をお過ごしかと存じます。 普段はどのような生活を送っていらっしゃるのでしょうか。 どのような一日、 そしてどのような一年をお過ごしでしょうか。 宮下先生から、 お話しください」

宮下

「内科医として仕事をしていますので、 主に外来や病棟の業務がメインです。 それに加えて、 空いた時間で研究をするというかたちです」

「ほとんどは、 診療に時間を取られることが多いのですが、 診療していると、 なかなか解明できない症例などに出くわすわけです。 そういった症例に関して、 日本リウマチ学会などでいろいろ調べたことを報告したり、 研究に関しては、 年単位でわかったことを発表したりしています。 学会発表やその先のディスカッションを通じて、 ほかの大学の先生、 ほかの国の方とお話ができて、 研究が進んでいくこともあります」

松下

「ありがとうございます。 忙しい日とそうでない時とメリハリがあるということですね」

宮下

「そうですね、 忙しい日もありますが、 基本的に安定している患者さんも多いので、 外来などはわりあい時間どおりに終われると思います。 一方、 入院している患者さんは急変されることも多いので、 そういう場合は忙しくはなりますが、 メリハリをつけて仕事ができる環境だと思います」

松下

「長谷川先生はいかがですか」

長谷川

「私は、 ずっと臨床病院にいますので、 あまり基礎研究に割いたりする時間はありません。 1週間のスケジュールに関しては、 半日を1コマとしますと、 リウマチ膠原病外来を2コマ、 腎臓外来を1コマ、 透析当番を2コマ、 関節エコー外来を1コマ、 あとは病棟業務といった感じです。 日中の業務は、 腎臓とリウマチ膠原病、 半々ぐらいの割合です」

「1年間のサイクルでは、 臨床業務以外に症例報告や臨床研究などで研究会や学会などに参加するようにしています」

松下

「皆さん、 お忙しそうですが休養できていますか」

長谷川

「入院患者さんの重症度によりますね。 リウマチ膠原病の患者さんは、 8割は落ち着いており、 外来で診療できることが多いのですが、 CADM (筋無症候性皮膚筋炎) やSLE (全身性エリテマトーデス) など、 重症病態の患者さんが来られたときは、 忙しくなることもあります。 全般的には、 いろいろな働き方ができる科なのかなとは思います」

松下

「ありがとうございます。では、 外科系の岡野先生はいかがでしょうか」

岡野

「いや、 たぶん内科の先生のほうが、 重症患者さんが多いので、 忙しいのではないかなと思います。 私は、 1週間でいくと、 半日を1コマとすれば、 大学での外来は2~3コマくらいでしょうか。 そのほか、 エコーが2コマ、 水曜日は1日手術ですので2コマ手術、 あとは外勤と研究などです」

「整形外科は基本的に、 入院患者さんは、 われわれが手術した患者さんですので、 全身状態の悪い患者さんはあまりいません。 そういう意味で、 夜遅くまで患者さんの管理をしたり、 土日に行って管理をしたりなどということは特になく、 アフター5とか土日は、 比較的時間が確約されるかなと思います。 私は水曜日が手術なので、 木金と術後が安定していれば、 土日は一切行かないという場合も多いです」

「自分自身が手を動かして今研究しているということはないのですが、 大学院生を指導する立場にありますから、 大学院生の基礎研究をいっしょに行ったり、 指導したりもしています。 また、 大学病院ですから学生の講義もあります。 そういった診療と教育や研究を、 平日の時間内で目一杯やっていますので、 アフター5とか土日は比較的時間は取れるかなと思います」

松下

「仕事中は非常に忙しいけれど、 仕事が終われば、 比較的自由な時間が取れるということですね。 年間を通して長期の休暇を取ることも可能なのでしょうか」

岡野

「夏休みは1週間、 しっかり取れるかたちになっています。 子どもがいるのですが、 いっしょに遊ぶなど、 そういう時間は十分取れます」

研修医の指導にはどのような取り組みを行っているか

松下

「先生方の病院には研修医の先生も多くいらっしゃると思います。 実際に研修医の指導として、 どのような取り組みをされておりますでしょうか。長谷川先生の病院ではいかがでしょうか」

長谷川

「虎の門病院は、 研修医の先生も多くまわってくれています。 前期の研修の先生は2ヵ月間のみですので、 たまに基礎的な講義をしながら、 いっしょにいろいろな症例を実際に診て学んでいただくことが多いと思います。 後期研修でまわってくれる先生は、 腎臓や膠原病志望の先生も多いため、 臨床はもちろんのこと、 研究会や学会の発表も積極的に声をかけて、 できるだけいっしょに行うというかたちにしています」

松下

「研修医の先生方には臨床のみならず学会などにも積極的に参加をしていただくのですね。岡野先生のところはいかがですか。 どのような取り組みをされていますか」

岡野

「そうですね、 整形外科にまわってくる研修医はおりますが、 希望者だけがまわってくるかたちです。 整形外科にはいろいろなグループがありますが、 研修医がまわってきた場合は、 脊椎や人工関節などのメインのグループから優先的にまわることになりますので、 研修医の段階でわれわれリウマチのグループにまわってくる研修医はほとんどおりません。 たいてい脊椎外科などを勉強して研修期間は終わりです。 一方で、 3年目以降の、 大学の整形に入局した後期研修医の先生は大学病院を常に8人ずつまわってきます。 そのなかで8人を2人ずつ、 4つのグループに分け、 リウマチのグループも2人ほどローテーションしてくるというかたちです」

「ただ、 その人たちがグループをまだ決めかねているという状況が多いですから、 リウマチの話などをいろいろします。 多くの研修医の先生は整形外科に入ってきた時点で、 免疫学にはあまり興味をもっておりません。 「整形に入ってきたのになぜそんな難しい話をされるのか」 みたいな反応が多いです (笑)。 手術をやりたいから整形に入ってきただけなのにということです。 そこで、 私はエコーをよくやりますから、 エコーが今、 整形外科の領域で増えているという話をします。 肩の腱板が切れているとか、 足関節をねんざして靱帯が切れていないかとか、 エコーを使う場面が、 整形外科の一般診療のなかで増えてきているのですね。 そういう話やリウマチのエコーの話を通じて、 エコーがらみでいろいろ勧誘しているというような状況ですね」

松下

「ありがとうございます。宮下先生の施設ではいかがでしょうか」

宮下

「順天堂の場合は、 主に1~2年目の初期の研修医の先生が2ヵ月ごとにローテーションでまわってきます。 また、 3年目は内科を専門とした先生が、 今は内科専門医も症例が大変ですので、 その取得のために1~2ヵ月まわってくるようなかたちです」

「1~2年目の先生は、 主に内科を専攻されない先生もいますので、 一般的に幅広く、 点滴の使い方や手技、 こういう症例があった場合には膠原病に紹介してほしいなど、 さわりの部分だけになります。 3年目の先生は、 ご自身の専門を決めた先生がまわってこられますので、 ご自身の専門分野と膠原病とのかかわりなどを主に、 いっしょに診ていくようなかたちで研修してもらっています」

松下

「学年によって、 指導内容をそれぞれ変えていくということですね。 ありがとうございます」

ライフサイクルについて : 結婚、 出産、 育児、 介護、 異動など

松下

「少し臨床から離れた質問となりますが、 結婚や出産、 育児、 介護、 転勤などのライフサイクルに関してお話を伺いたいと存じます。 お仕事を継続していくうえで、 ライフサイクルに対する職場のサポート状況をお教えいただけますでしょうか。 現在の状況および、 このようなサポートがあればより充実して働けるのではないかというようなことをお話しください。岡野先生、 いかがでしょうか」

岡野

「私個人としては、 例えば子どもが熱を出して休まなければならないとか、 そういうことはほとんどありません。 ただ、 整形外科には女性医師もおりますし、 男性医師でも個々に家庭の事情がありますので、 そういう人たちには、 できるだけ融通をきかせてあげて、 仕事を分担するような体制というのを取っております。 当然、 今の時代ですから、 当教室ではそういったことがきちんとできないとダメだという方針で運営されております。 大学病院は比較的スタッフの数も多いため、 1人抜けてもまわりでフォローしあえる環境があります。 ただ、 これがやはり中規模・小規模の病院ですと、 どうだろうと感じることもあります。 当院は大学病院ですので、 比較的融通はきくかなというふうに思います」

松下

「岡野先生の診療科では、 女性および男性医師の比率はどれくらいでしょうか」

岡野

「整形外科の女性医師は1割くらいだと思います」

松下

「比較的、 男性医師が多い診療科ですね」

岡野

「そうですね、 おじさんばっかりですね」

松下

「 (笑) ありがとうございます。 宮下先生、 いかがでしょうか」

宮下

「私も、 独身で働いているときには、 特にライフサイクルに関してあまり考えることはなかったです。 しかし、 自分が子どもをもち、 今も妊娠しているのですが、 どうしても働きたいように働けない状況になってくると、 少し仕事の負担を減らしてもらわないとまわっていかないというのが、 正直実感したところです」

「膠原病の先生のなかには女性医師もたくさんいらっしゃいますが、 妊娠・出産を契機にやめてしまう先生も多く、 出産後、 育児をしながら仕事をされている先生はすごく少なかったです。 幸いなことに、 私は、 子どもを産んでからも仕事ができるように、 仕事の終わりを決めていただいて、 保育園にきちんとお迎えにいける体制をとっていただいたので、 なんとか仕事を続けられている状況です」

「たぶん、 一度、 まったく仕事をやめてしまうと、 次に、 仕事を始めるというのはすごくパワーがいる。 週1回だとしても、 外来診療だけだとしても、 内科医として貢献できると思いますので、 そういった体制を医局なり、 病院等が考えてくだされば、 たくさんの先生が継続して仕事ができるのではないかと思っています」

松下

「一度、 職場を離れてしまうと復帰が困難となってしまいますか」

宮下

「そうですね、 その間に医療も進歩してしまいますし、 ブランクがありますと、 なかなか仕事についていけなくなり、 仕事を継続するのも億劫になってきます。 ですので、 そういったことがサポートされる体制があると、 すごくありがたいと思います」

松下

「ありがとうございます。 長谷川先生、 いかがでしょうか」

長谷川

「私は出産や育児を経験しておりませんので、 実体験からのお話はできないのですが、 仕事と結婚・子育ての両立はすごく難しい問題と思います」

「最近は、 結婚・子育てをしながら、 がんばって続けている女性医師も多くはなってきたと思いますが、 みんなすごく大変そうで、 どうやったらうまく両立できるのか、 身近で子育てをしている先生を見ていても思います。 私も徐々に上の立場になってきて、 そういう女性医師がいれば、 透析当番や外来だけとか、 うまく調節してあげられればいいなとは思います」

松下

「仕事と家庭などの両立が難しいというお話が出ましたが、 これはどこの施設でも大きな問題になっていると思います。 どのような工夫があればさらに良くなると思われますか。長谷川先生、 何かご意見はございますか」

長谷川

「そうですね、 これはもう社会全体の問題になってきますし、 個人での意識改革ではなかなか難しいと思います。 たとえば働き方改革で、 当院でも、 去年くらいから年休を5回は絶対に取るようにと言われているのですが、 それでも取らない人はけっこう多いのです。 男性も女性も働きやすい職場が子育てとの両立を可能にすると思います。 それぞれの働き方をみんなで認め合いサポートできるような制度設計を枠組みから構築することも必要だと思います」

松下

「ありがとうございます。 岡野先生の診療科は、 女性の医師の割合が非常に少ないということでしたが、 妊娠や出産を契機に第一線から退いてしまう方もいらっしゃるのでしょうか」

岡野

「まず、 そもそも整形外科に入ってくる女性医師が少ないということがあります。 私の同期で女性医師は2人いましたが、 1人は、 結婚がきっかけというわけではないかもしれませんが、 皮膚科に転科されました。 手術をバリバリやる整形外科の女性医師は少なくて、 リハビリのほうに行かれる女性医師がけっこういらっしゃいます。 リハビリに行くと時間も取りやすい、 子育てもしやすいといったことがありますので、 同じ整形外科のなかで融通がきくような仕事を選択される方もおられるのかなと思います」

松下

「先生の診療科での取り組みはいかがですか」

岡野

「基本的には定時できちんと帰れるようにということですね。 これはべつに女性に限らず、 男性のほうも同様です。 昔であれば、 先輩が遅くまでいれば先には帰れないみたいなところがありました。 遅くまでいるのが美徳、 がんばっているみたいなところはありました。 逆に最近では、 「もう、 あの先生帰ったのか」 というようなケースもありますよね (笑)。 でも、 やるべきことをきちんとやって終わっていれば、 それでまったく問題ないと思います。 そこを 「早く帰るなんて、 がんばってないな」 とかいうことではなく、 個々のやり方なども尊重し、 決まりきったやり方を押しつけない。 最近はそういう風潮に少しずつなっているのかなとは思っています」

松下

「ありがとうございます。宮下先生、 こういった取り組みがあれば、 良いのではないかという何かご意見はございますか」

宮下

「人によって、 どこまで仕事ができるかというのは、 その人のキャパシティーの問題もありますし、 施設によっても違うと思います。 やはり、 上の人がある程度全力で働けない人に対して理解があるということが、 いちばん大事だと思います。 週1回しか働けなくても、 継続して働いてもらいたいと思っていただけるかどうかというのは、 すごく重要なことです。 ですので、 上の先生の意識改革というのも必要になってくると思います」

「また時間どおりに終われるというのはすごく重要なことです。 家庭がまわらなくなると仕事どころではなくなってしまいますので、 定時に帰れる、 子どもが熱を出して休んだときにはバックアップの体制がとってある、 そういった理解があれば、 残っていく女性医師も増えてくるのではないかなというふうに思います」

松下

「ありがとうございました」

これからリウマチ専門医を目指す方へのメッセージ

松下

「それでは最後のテーマですが、 これからリウマチの専門を目指す研修医の先生、 もしくは医学生の方々に、 力強いメッセージをお願いしたいと思います」

長谷川

「リウマチ膠原病疾患は、 診断までの過程がとても奥深く、 さらに最近では、 生物学的製剤等の治療の選択肢が飛躍的に増えたことで、 患者さんの満足度が向上していますので、 非常にやりがいのある分野になってきているということは確実に言えるのかなと思います」

「内科医として、 総合的な判断能力が鍛えられますし、 また、 岡野先生も先ほど述べられていたように、 関節リウマチに関しては関節エコーという診断のツールも増えたことで、 私たちが今まであまりわかっていなかった筋骨格系の解剖の知識や注射の手技など、 守備範囲もすごく広がっていると思います」

「最初は難しそうとか、 けっこうとっつきにくいところがあるかと思いますが、 医者人生は何十年も続きます。 非常に多彩で、 奥深く、 飽きることのない、 やりがいのある領域だと思いますので、 ぜひいっしょにリウマチ診療を志していただければなと思います」

松下

「ありがとうございます。 岡野先生、 お願いいたします」

岡野

「整形外科医の立場としては、 運動器として、 関節をとらえるという見方でいくと、 関節が痛いとか、 腫れているとか、 そういう人が整形外科にはたくさん来るわけです。 そのなかで、 関節炎疾患ですね。 リウマチを筆頭に、 きちんと診断をしないで放っておくと関節破壊が進行します。 そういう全身状態にかかわってくるところを、 整形外科医である以上、 どの分野にいってもきっちり診られるようにならないといけないですし、 そのなかで、 興味が少しでもある人は、 ぜひ整形外科のなかでも、 リウマチ診療をやってくれる人が、 少しでも増えたらいいなというふうに思います」

松下

「ありがとうございます。 では、 宮下先生、 お願いいたします」

宮下

「リウマチ膠原病の分野というのは、 かなり専門性も高く、 内科で、 全身が診られる科というのはなかなかありませんから、 そこはすごく内科医として魅力的な分野と思います」

「また、 今でも地方都市の中には専門医の先生がいらっしゃらなくて、 診断に苦慮された患者さんで、 東京に診断のために来られる患者さんもいらっしゃいます。 これから、 どんどんリウマチ専門医の先生が増えると、 患者さんにとってもメリットが多くなります。 ぜひいっしょに働ける先生方がたくさんいらっしゃるといいなと思います」

リウマチ膠原病疾患は、 非常にやりがいのある分野です! (長谷川先生)

整形外科でも興味があれば、 ぜひリウマチ診療を! (岡野先生)

リウマチ専門医が増えると、 患者さんにもメリットが多いです! (宮下先生)

松下

「座談会はこれで終了したいと思います。 本日は大変お忙しいなか、 貴重なご意見をいただきまして誠にありがとうございました」

>>こちらの対談記事は日本リウマチ学会サイトでもご覧いただけます。

ポストのGif画像
【リウマチ専門医対談】生涯リウマチ専門医として活躍を目指そう!の全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【リウマチ専門医対談】生涯リウマチ専門医として活躍を目指そう!