インタビュー
9ヶ月前
飯田市立病院 (長野県飯田市) は研修医の自主性を尊重した研修が特徴で、 さまざまな企画や勉強会が研修医の発案で行われます。 「成長は1人でするものではない」 と語る臨床研修センター長の白籏久美子先生に、 同病院で育つ研修医の力を聞きました。
――病院の特徴は?
「市中病院としてcommon diseasesを広く扱っており、 研修医は日々の診療でプライマリケアを学ぶことができます。 また、 2次・3次救急も対応しているので、 専門的な疾患も多く経験できるのは魅力です」
「研修医は、 実際に救急外来から手術までの過程を指導医と相談しながら体験し、 希望があれば一緒に手術に入ることもできます。 身近な疾患から高度な医療まで幅広く経験できます」
――研修の特徴は?
「研修医の自主性を大切にしています。 初期研修が終わって、 3年目になるときには医師として独り立ちしてほしいという思いからです。 まずは研修医自身で答えを出してもらい、 その考えに上級医が寄り添ってアドバイスするようにしています」
「当直時も同様で、 もちろん指導医は一緒に入っていますが、 基本的には研修医が1人で患者さんの診察を行います。 その後指導医とディスカッションを行い、 診療に対してフィードバックをもらう形式です。 どの場面でも、 自分で考え、 やってみたあとは上級医に必ずコンサルテーションをするので、 自主性や実践力だけでなく、 人に相談する力も身に付きます」
「こうした経験は、 3年目以降困ったことがあったときに使える武器になっていきます。 勉強会やCPCも研修医が企画して発表しています」
――進路の決め方は?
「毎年12月、 2年目の研修医が1年目の研修医に対し、 自分が進路を決めた際の話を発表する機会を設けています。 一番近い存在である先輩の意見を聞くことで具体的なビジョンが見えやすくなります。 その後、 センター長やメンターのアドバイスも交えて、 研修医と相談しながら1人ひとりの進路を一緒に考えています」
「医師としての研修は概ねカバーできますが、 他の病院の診療科も見てみたいなどの希望があれば他病院と連携し、 積極的に研修が受けられるようにしています。 研修医から上がった声はできるだけ拾いたいと思っています」
――医師以外との連携はどうか
「医師同士はもちろんですが、 多業種との連携があってこそのチーム医療だと考えています。 年に4回は医師、 看護師、 検査科、 事務など全ての業種の新人を集め、 チーム医療を題材にしたワークショップを開催しています」
「他業種を知ることで、 相手や自分の立ち位置、 役割が明確になり、 困ったときに誰に相談したら良いのかも学ぶことができます。 4回のワークショップを通して相談を重ね、 お互いの成長も見ることができるので、 自然とチームワークが良くなっていきます」
――病院の雰囲気は
「医局はワンフロアで、 カルテを書く場所と談笑する場所、 研修医含め医師個人の机が全て同じフロアにあります。 基本的に全医師がそこに集まるようになっています。 研修医と上級医が同じスペースで過ごすので、 お互いに声をかけやすく自然と距離感が縮まっています」
「珍しい症例や手技の機会があると、 よく上級医から研修医に声をかけています。 医師以外でも研修医に目配りできるスタッフが多く、 病院全体で研修医をサポートしています」
「学びたい人が学べる環境にするために、 研修医が希望したときは上級医の許可が下りれば時間外労働をしても良いと伝えています。 当直明けは必ず昼で退勤させたり、 希望があっても月の残業上限は超えないようにしたりと管理はしていますが、 研修医の学びたいという気持ちを尊重できるよう、 時間だけで縛りを作らない工夫をしています」
――病院外でもさまざまな活動をしている。
「必ず全員参加ではありませんが、 地域の方と一緒に田植えや稲刈りをするイベントに参加しています。 研修医の発案で、 地元の方を招いて飯田地域の発展についての勉強会を行うこともあり、 地域とは積極的に関わりを持っています。 病を抱える方やその背景を知るには、 地域を知ることも必要です」
――最後に、 医学生へメッセージを。
「自主性というと1人でなんでもするというイメージを持つかもしれませんが、 当院は仲間と一緒に成長できるのが魅力です。 研修医をサポートする体制は十分なので、 楽しいことも大変なことも仲間と一緒に頑張ってほしいです」
▶ 飯田市立病院のホームページ
▶ 飯田市立病院 初期研修医募集のページ
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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