研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)
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HOKUTO通信

1ヶ月前

研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)

研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)
医療訴訟が珍しくなくなり、 医師個人が裁判所から損害賠償の支払いを命じられるケースもあります。 そんな時の備えとしてある 「医師賠償責任保険」  (医賠責) について、 研修医のうちから加入するべきなのでしょうか。 

医師全体では8割が加入

HOKUTO編集部は3月4~11日、 アプリ上のアンケートで、 医賠責に自費で加入しているかどうか尋ねました。 医師会員2492人から回答を得て、 80.5%に当たる2004人が 「加入している」 と答えました。 「加入していない」 は363人 (14.6%)、 「以前は加入していたが、 今は入っていない」 が125人 (5.0%) でした。

研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)

研修医に限ると、 加入しているのは180人中106人 (58.9%) となり、 全体に比べると比率が下がりました。 「加入していない」 は71人 (39.4%)、 「以前は加入していたが、 今は入っていない」 が3人 (1.7%) でした。

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医賠責は必要?

医賠責は医療訴訟にかかる賠償金を支払ってくれる保険で、 年間おおよそ3~5万円の保険金を支払うことで、 1件あたり億単位の保証限度額をカバーできます。 民間の保険会社が運営する勤務医向け医賠責、 日本医師会が運営する医賠責、 病院やクリニックの開設者を被保険者とする医賠責など種類があります。

医賠責への加入を必要とする主な意見には、

  • 高額の賠償金を補償してくれる安心感につながる
  • アルバイト先での訴訟もカバーできる

などが挙げられます。

研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)

医賠責は不要?

一方、 加入は必要ないとする意見もあります。

  • 研修医のうちは指導医のもとで医業をするため、 加入しなくても問題ない
  • 勤務先が加入している

上記が主な理由ですが、 注意点もあります。 研修医の立場は病院によって様々で、 治療を主導するケースもあります。 実際、 研修医に対して損害賠償の支払いを命じた判決もあります。

また、 勤務先が加入していても、 医師も連名で訴えられるケースも増えています。 これは、 医療訴訟に伴って医療施設の患者数が激減し、 経営破たんや赤字となった場合、 原告側にとっては医療機関から賠償金を受け取ることができない恐れがあり、 医師からも賠償金を得たいという意図があるからだといいます。

ただ、 そもそも病院や科によっては、 福利厚生として医師の自費加入分もカバーしてくれる場合もあります。 気になる場合は一度チェックしてはいかがでしょうか。

医師人生で訴えられる可能性は1割前後?

研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)

次に、 医師が訴訟を起こされる可能性について考えてみましょう。

最高裁の統計によりますと、 医療訴訟の新規受付 (2022年) は647件。 新型コロナウイルスの影響もあって近年は減少傾向にありますが、 概ね700~900件で推移しています。

一方、 2022年に判決があった医療訴訟の第1審の認容率 (一部認容を含む) は18.5%。 認容率とは、 原告側の訴えが認められた割合を示します。 近年は概ね20%前後で推移しており、 訴えられた医療者側にとってみれば、 20%は裁判で負ける確率があるということになります。

研修医6割が自費加入 「医賠責保険」って? (HOKUTO会員2492人アンケート)

これらを基に計算すると、 過去10年間で訴えが起こされた医療訴訟は約8000件で、 医師側が敗訴するのは約1600件。 医師数を34万人とすると、10年間で医療訴訟の当事者となる確率は2~3%、 裁判に負け、 損害賠償の責任を負う確率は約0.5%となります。

医師人生を40年とすると、 医師が医療訴訟で訴えられる確率は8~12%、 損害賠償の責任を負う確率は2%となります。 あくまで単純計算で、 診療科や勤務形態などによってバラツキは出てくるものの、 この数字をどう感じたでしょうか。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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