海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Sikaviらは男女10万7,655人の長期追跡データから、 生活習慣スコア別のアスピリン服用による大腸癌発症リスクへの影響について前向きコホート研究で検証した。 その結果、 アスピリン常用者の10年累積大腸癌罹患率は非常用者に比べて低く、 特に10年間の絶対リスク減少 (ARR) は最も不健康な生活習慣スコアで最大となった。 本研究はJAMA Oncolにて発表された。
今回の肥満患者はBMI>25で一括りになってしまっているので詳細が少し分かりにくいですが、 BMI>25は日本の肥満の定義と一致します (米国はBMI>30)。
アスピリンは大腸癌リスクを低下することが知られている。 本研究は、 アスピリンの定期投与が有益となる可能性が高い個人の特徴を検証することが目的である。
看護師健康調査に参加した女性6万3,957例、 および医療専門家追跡調査に参加した男性4万3,698例の長期追跡データを対象に、 前向きコホート研究を実施した。
BMI、 アルコール摂取量、 身体活動、 食事、 喫煙に基づいて対象者の生活習慣スコア (0~5) を計算し、 高スコアであるほど健康的な生活習慣であるとした。 なお、 アスピリンの常用は 「325mg錠を週2錠以上」 と定義した。
主要評価項目は10年間における大腸癌累積発生率、 アスピリンの常用に関連した絶対リスク減少 (ARR)、 治療必要数などとした。
303万8,215人年の追跡期間中に、 2,544例の大腸癌発症が認められた。
アスピリン使用者の10年間における大腸癌累積発症率は1.98% (95%CI 1.44-2.51%) と、 非使用者の2.95% (同 2.31-3.58%) に比べて低く、 ARRは0.97%だった。
アスピリン常用によるARRの差をさらに詳しく評価した結果、 10年ARRはスコア0~1で1.28%、 スコア4~5で0.11%と、 生活習慣スコアが最も不健康な人で最大となった (p< 0.001)。
また、 10年間のアスピリンに関連した治療必要数は以下の通りであった。
生活習慣スコアの要素の中で、 BMIが高いことと喫煙は、 ARRと最も強く関連していた。
著者らは 「アスピリン使用による大腸癌のリスク低減効果は、 生活習慣が不健康な人ほど顕著であることが示された。 この結果は、 アスピリンによる癌予防のベネフィット・リスクプロファイルがより良好な個人を特定するために、 生活習慣のリスク因子を用いることの有用性を示唆している」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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