HOKUTO編集部
30日前
未治療でEGFR遺伝子変異陽性の局所進行/転移性NSCLCにおけるEGFR-MET二重特異性抗体アミバンタマブ+第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ラゼルチニブ併用療法の有効性および安全性について、 第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬オシメルチニブ単剤療法を対照に検討した第Ⅲ相国際共同無作為化比較試験MARIPOSAの最終解析の結果、OSが有意に改善し、 死亡リスクを25%低減した。 National Taiwan UniversityのJames Chih-Hsin Yang氏が発表した。
MARIPOSA試験の主解析結果から、 アミバンタマブ+ラゼルチニブ (ami+laz) 併用療法はオシメルチニブ (osi) 単剤療法と比較し、 無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した¹⁾。 この結果を受け、 現在ami+laz併用療法は、 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCの1次治療として米食品医薬品局 (FDA) に承認されている。
また2024年の世界肺癌学会 (IASLC/WCLC 2024) では、 追跡期間中央値31.1ヵ月における同試験の長期追跡結果から、 後治療開始後の無増悪生存期間 (PFS2) および全生存期間 (OS) においても良好な成績を示し、 2025年1月のOSトップライン結果では、 OS中央値の改善は1年を超える見込みであることが報告されていた。
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今回、 追跡期間中央値37.8ヵ月における同試験の最終OS解析結果およびその他の副次評価項目の結果が報告された。
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追跡期間中央値37.8ヵ月時のOS中央値(mOS)は、 ami+laz群では未到達(95%CI 42.9ヵ月-NR)であり、 osi群の36.7ヵ月(同 33.4-41.0ヵ月)に比べて有意に改善した (HR 0.75、 95%CI 0.61-0.92、 p<0.005)。
24ヵ月時OS率はami+laz群、 osi群でそれぞれ75% / 70%、 36ヵ月時OS率は60% / 51%、 42ヵ月時OS率は56% / 44%であり、 ami+laz群における1年超のOS改善効果が期待できる結果となった。
またOSサブグループ解析においても、 ほぼ全てのサブグループにおいてami+laz群のosi群に対する優位性が認められ、 EGFR遺伝子変異型別のHRはエクソン19欠失変異 (exon del19) が0.66、 エクソン21のL858R点突然変異 (L858R) が0.90だった。 一方、 65歳以上の集団においてのみ、 osi群が優位となった。
脳転移を有する患者の頭蓋内無増悪生存期間(icPFS)中央値は、 osi群の22.2ヵ月(95%CI18.4-26.9ヵ月)に比して、 ami+laz群では25.4ヵ月(同 20.1-29.5ヵ月)と延長傾向が見られた (HR 0.79[同 0.61-1.02]、 p<0.07)。 36ヵ月PFS率はami+laz群が36%、 osi群が18%だった。
頭蓋内奏効率はami+laz群78%、 osi群77%と同等だったが、 奏効期間中央値はそれぞれ35.7ヵ月(95%CI 25.8ヵ月-NR)、 29.6ヵ月(同23.9-34.1ヵ月)とami+laz群で持続性を認めた。
また症状増悪までの期間 (TTSP) *中央値は、 osi群の29.3ヵ月(95%CI 26.4-33.4ヵ月)に対し、 ami+laz群では43.6ヵ月(同 36.0ヵ月-NR)と14ヵ月以上の改善を認めた (HR 0.69[同0.57-0.83]、 p<0.001)。
後治療はami+laz群で74%、 osi群で76%に行われ、 クロスオーバーは認められず、 多くが化学療法ベースの治療だった(56%、 67%)。
重篤な有害事象の発現頻度は主解析と大きく変わらず、 両群間において明確な差は認められなかった。 ami+laz群において、 有害事象の多くは治療開始後0~4ヵ月後の早期段階で起こっていた。
Yang氏は 「最終解析の結果により、 未治療EGFR遺伝子変異陽性の局所進行/転移性NSCLCに対し、 ami+laz併用療法はosi単剤投与と比較してOSを有意に改善し、 死亡リスクを25%低減させた。 特に1年以降の生存率に両群間で大きな差が認められ、 ami+laz併用療法によりOS中央値を4年以上に延長する可能性がある」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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