【MARIPOSA最終解析】NSCLCへのアミバンタマブ+laz、 死亡リスクを25%低減
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HOKUTO編集部

30日前

【MARIPOSA最終解析】NSCLCへのアミバンタマブ+laz、 死亡リスクを25%低減

【MARIPOSA最終解析】NSCLCへのアミバンタマブ+laz、 死亡リスクを25%低減
未治療でEGFR遺伝子変異陽性の局所進行/転移性NSCLCにおけるEGFR-MET二重特異性抗体アミバンタマブ+第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ラゼルチニブ併用療法の有効性および安全性について、 第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬オシメルチニブ単剤療法を対照に検討した第Ⅲ相国際共同無作為化比較試験MARIPOSAの最終解析の結果、OSが有意に改善し、 死亡リスクを25%低減した。 National Taiwan UniversityのJames Chih-Hsin Yang氏が発表した。

背景

既報の解析結果から、PFS2・OSの長期成績は良好

MARIPOSA試験の主解析結果から、 アミバンタマブ+ラゼルチニブ (ami+laz) 併用療法はオシメルチニブ (osi) 単剤療法と比較し、 無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した¹⁾。 この結果を受け、 現在ami+laz併用療法は、 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCの1次治療として米食品医薬品局 (FDA) に承認されている。

また2024年の世界肺癌学会 (IASLC/WCLC 2024) では、 追跡期間中央値31.1ヵ月における同試験の長期追跡結果から、 後治療開始後の無増悪生存期間 (PFS2) および全生存期間 (OS) においても良好な成績を示し、 2025年1月のOSトップライン結果では、 OS中央値の改善は1年を超える見込みであることが報告されていた。

>> 詳細はこちら

(IASLC/WCLC2024 MARIPOSA試験のレポート記事に遷移)

今回、 追跡期間中央値37.8ヵ月における同試験の最終OS解析結果およびその他の副次評価項目の結果が報告された。

▼MARIPOSA試験の対象と方法
【対象】未治療で18歳以上の局所進行/転移EGFR遺伝子変異陽性 (exon19欠失変異またはL858R変異) NSCLC
【方法】1,074例を以下の3群に2 : 2 : 1で割り付けた。
・アミバンタマブ1,050mg週1回+ラゼルチニブ240mg連日投与 (ami+laz) 群 (429例)
・オシメルチニブ80mg連日投与 (osi) 群 (429例)
・ラゼルチニブ240mg連日投与 (laz) 群 (216例)
【主要評価評価】PFS

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【MARIPOSA最終解析】NSCLCへのアミバンタマブ+laz、 死亡リスクを25%低減
【MARIPOSA最終解析】NSCLCへのアミバンタマブ+laz、 死亡リスクを25%低減

試験の結果

mOSは未到達、 死亡リスクを25%低減

追跡期間中央値37.8ヵ月時のOS中央値(mOS)は、 ami+laz群では未到達(95%CI 42.9ヵ月-NR)であり、 osi群の36.7ヵ月(同 33.4-41.0ヵ月)に比べて有意に改善した (HR 0.75、 95%CI 0.61-0.92、 p<0.005)。

24ヵ月時OS率はami+laz群、 osi群でそれぞれ75% / 70%、 36ヵ月時OS率は60% / 51%、 42ヵ月時OS率は56% / 44%であり、 ami+laz群における1年超のOS改善効果が期待できる結果となった。

またOSサブグループ解析においても、 ほぼ全てのサブグループにおいてami+laz群のosi群に対する優位性が認められ、 EGFR遺伝子変異型別のHRはエクソン19欠失変異 (exon del19) が0.66、 エクソン21のL858R点突然変異 (L858R) が0.90だった。 一方、 65歳以上の集団においてのみ、 osi群が優位となった。

頭蓋内PFSや症状増悪までの期間も改善

脳転移を有する患者の頭蓋内無増悪生存期間(icPFS)中央値は、 osi群の22.2ヵ月(95%CI18.4-26.9ヵ月)に比して、 ami+laz群では25.4ヵ月(同 20.1-29.5ヵ月)と延長傾向が見られた (HR 0.79[同 0.61-1.02]、 p<0.07)。 36ヵ月PFS率はami+laz群が36%、 osi群が18%だった。

頭蓋内奏効率はami+laz群78%、 osi群77%と同等だったが、 奏効期間中央値はそれぞれ35.7ヵ月(95%CI 25.8ヵ月-NR)、 29.6ヵ月(同23.9-34.1ヵ月)とami+laz群で持続性を認めた。

また症状増悪までの期間 (TTSP) *中央値は、 osi群の29.3ヵ月(95%CI 26.4-33.4ヵ月)に対し、 ami+laz群では43.6ヵ月(同 36.0ヵ月-NR)と14ヵ月以上の改善を認めた (HR 0.69[同0.57-0.83]、 p<0.001)。

後治療はami+laz群で74%、 osi群で76%に行われ、 クロスオーバーは認められず、 多くが化学療法ベースの治療だった(56%、 67%)。

*無作為化から治療の変更や臨床的介入が必要な症状の悪化あるいは新たな症状の発生、 または死亡までの期間

新たな安全性シグナルは示されず

重篤な有害事象の発現頻度は主解析と大きく変わらず、 両群間において明確な差は認められなかった。 ami+laz群において、 有害事象の多くは治療開始後0~4ヵ月後の早期段階で起こっていた。

結論

ami+laz併用療法で患者のmOSは4年超の見込み

Yang氏は 「最終解析の結果により、 未治療EGFR遺伝子変異陽性の局所進行/転移性NSCLCに対し、 ami+laz併用療法はosi単剤投与と比較してOSを有意に改善し、 死亡リスクを25%低減させた。 特に1年以降の生存率に両群間で大きな差が認められ、 ami+laz併用療法によりOS中央値を4年以上に延長する可能性がある」 と報告した。

出典

¹⁾ N Engl J Med. 2024 Jun 26. Epub ahead of print.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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