海外ジャーナルクラブ
1年前
Gohらは、 皮膚癌患者を対象に、 切開部への抗菌薬の局所微量投与による手術部位感染 (SSI) の予防効果を二重盲検対照並行設計無作為化臨床試験PICASSO trialで検討。 その結果、 特にクリンダマイシンの局所微量投与がSSIの発生を有意に低下させることが明らかとなった。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
この試験名はPICASSO trialです。 斬新です。 局所への抗菌薬投与が有効ということであれば、 皮下血流に乏しい糖尿病、 肥満、 喫煙者においてさらにその有効性が検討できると思います。
皮膚癌手術後の手術部位感染 (SSI) は高コストの合併症であり、 予防可能である。 しかし、 皮膚癌手術におけるSSIを減少させるための抗菌薬予防投与を検討した無作為化臨床試験は少なく、 エビデンスに基づくガイドラインも不足している。 切開用抗菌薬はモース顕微鏡手術前のSSI発生率を低下させることが示されているが、 これは皮膚癌手術のごく一部である。
ニュージーランドの大規模皮膚癌治療センターで皮膚癌手術を受けた成人患者
患者は3つの治療群に無作為に割り付けられた。
術後創感染スコア5点以上のSSI発生率
この結果は、 各群のベースラインの違いを調整した後も同様であった。
術後の全身抗菌薬使用率は、 対照群の病変 (8.0%) に比べ、 クリンダマイシン群 (2.1%、 P<0.001) およびflucloxacillin群 (4.0%、 P=0.03) で有意に少なかった。
クリンダマイシンの局所微量投与はSSIの有意な減少をもたらし、 これは皮膚癌手術後のSSI予防のための治療ガイドライン作成において重要なエビデンスとなる。 今後の研究では、 さらなる改善とより広範な応用のための解明が必要とされます。 この研究結果は、 抗菌薬の適切な使用と感染制御の観点からも重要な意義を持つ。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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