【Lancet Regional Health】コロナ緊急事態宣言が院外心停止患者に負の影響
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lancet Regional Health】コロナ緊急事態宣言が院外心停止患者に負の影響

【Lancet Regional Health】コロナ緊急事態宣言が院外心停止患者に負の影響
Katasakoらは、 日本の総務省消防庁によるウツタイン様式救急蘇生統計データを用いて、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対する緊急事態宣言が院外心停止患者の予後に与えた間接的な影響について検討。 その結果、 緊急事態宣言後に院外心停止患者に対するAED使用率が急激に低下し、 神経学的転帰も悪化したことが明らかになった。 本研究はLancet Regional Health誌において発表された。

📘原著論文

Changes in neurological outcomes of out-of-hospital cardiac arrest during the COVID-19 pandemic in Japan: a population-based nationwide observational study. The Lancet Regional Health - Western Pacific May 01, 2023

👨‍⚕️監修医師のコメント

COVID-19がさまざまな短期アウトカムを低下させたことは実感としてあると思います。 ただ、 PAD*の使用については、 緊急事態宣言の際には極端に低下していますが、 その後元の割合以上に増加している点が注目です。

*Public Access Defibrillationの略で、 AEDを用いた蘇生

研究デザイン

対象

2017〜20年に本邦で発生した院外心停止患者のうち、 市民による目撃があり、 AEDが使用されたもしくは救急隊到着時点で致死性不整脈が持続していた患者2万1,868例。

主要評価項目

院外心停止30日後の神経学的転帰 (CPC 1-2)

Cerebral Performance Category
【Lancet Regional Health】コロナ緊急事態宣言が院外心停止患者に負の影響

副次評価項目

AEDの使用

研究結果

神経学的転帰およびAED使用の割合

神経学的転帰およびAED使用率は緊急事態宣言発出後に有意に低下した。
  • 良好な神経学的転帰:0.79倍
95%CI 0.68-0.91、 p=0.0032
  • AED使用:0.60倍
95%CI 0.49-0.72、 p<0.0001

緊急事態宣言の有無に伴う差

最初に緊急事態宣言が発出された都府県と発出されなかった都道府県のそれぞれで評価を行ったところ、 前者において良好な神経学的転帰の割合低下が顕著であった。 
  • 発出された都府県:予測値の0.70倍
95%CI 0.58-0.86
  • 発出されなかった道府県:0.87倍
95%CI 0.72-1.03

結果の解釈

COVID-19は、 院外心停止患者における神経学的転帰の悪化およびPAD使用の減少に関連している。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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