海外ジャーナルクラブ
2年前
Yangらは、 UK Biobankに登録された認知症既往歴のない40~69歳の男女を対象に、 下剤の常用と認知症の発生率との関連を前向きコホート研究で検討。 その結果、 下剤の常用は、 特に複数の種類の下剤や浸透圧下剤を使用している人において、 あらゆる原因の認知症の高いリスクと関連していた。 本研究は、 Neurology誌において発表された。
下剤の常用が認知症リスク増加と関連するという仮説の提唱です。 現時点では追研究の結果が待たれる、 というところまでかと思います。 仮説の上に仮説を載せていくのは難しいです。
OTC下剤の使用は一般集団に多い。 微生物-腸-脳軸仮説は、 下剤の使用が認知症と関連することを示唆している。
UK Biobankに登録された認知症の既往歴のない40~69歳の男女
試験開始時 (2006~2010年) に過去4週間、 1週間のうちほとんどの日に下剤を使用したと自己申告したものと定義。
あらゆる原因による認知症、 アルツハイマー病、 血管性認知症
50万2,229例のうち、 54.4% (27万3,251例) が女性で、 3.6% (1万8,235例) が下剤を常用していると回答した。
平均9.8年の追跡期間中に、 下剤常用者の1.3% (218例)、 非常用者の0.4% (1,969例) が全原因による認知症を発症した。
多変量解析の結果、 下剤の常用は全原因による認知症および血管性認知症のリスク上昇と関連しており、 アルツハイマー病には有意な関連は認めなかった。
全原因による認知症、 血管性認知症ともに、 常用する下剤の種類数が多いほどリスクが上昇した (P-trend 0.001、 0.04)。
1種類だけ下剤を使用していると報告した参加者 (5,800例) において、 浸透圧下剤を使用している者だけが、 全原因による認知症および血管性認知症のリスクを統計的に有意に高かった。 これらの結果は、 様々なサブグループ解析や感度解析においても頑健であった。
下剤の常用は、 特に複数の種類の下剤や浸透圧下剤を使用している人において、 全原因による認知症の高いリスクと関連していた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。