HOKUTO編集部
2ヶ月前
低リスク上咽頭癌に対するIMRT単独療法の有効性について、 CCRTを対照に検証した第Ⅲ相多施設共同非盲検非劣性無作為化比較試験の結果より、 IMRT単独療法はCCRTと同等の有効性を示し、 有害事象の発現率も少なかった。 中国・Sun Yat-sen University Cancer CenterのRui Guo氏が発表した。
低リスク (StageⅡまたはT3N0) 上咽頭癌患者において、 強度変調放射線療法 (IMRT) と化学療法の併用は、 限られたエビデンスしかない。
Rui Guo氏らは、 同試験の主要評価項目である3年治療成功生存率(FFS)率*において、 IMRT単独と化学放射線療法併用 (CCRT) の成績は同等であり、 かつIMRT単独では有害事象も少ないことを既に報告している¹⁾。 今回は、 5年全生存 (OS)率およびFFS率の追加解析の結果が発表された。
①ステージⅡまたはT3N0M0
②全てのリンパ節が3cm未満
③IV/Vbのリンパ節転移なし
④節外浸潤なし
⑤EBウイルスDNAが4000コピー/mL未満
と定義された低リスク上咽頭癌で、 中国における5施設で登録された患者を対象とした。
HR 2.27 (95%CI 0.70-7.40) 、 p=0.16
HR 1.16 (95%CI 0.64-2.07) 、 p=0.63
The Hearing Handicap Inventory for Adult- Screening version (HHIA-S) による評価に基づく聴覚障害の発生データは、 IMRT単独群の86例、 CCRT群の81例から収集され、 IMRT単独群では聴覚障害の発現率が低かった。
聴覚障害の発現率
その他の有害事象
Grade3または4の深刻な有害事象としては、 口内炎、 悪心、 嘔吐、 食欲不振などがあり、 IMRT単独群ではCCRT群と比較して、 治療期間中の有害事象の発現率が低かった (IMRT単独群 : 17% vs CCRT群 : 46%) 。
Guo氏は 「低リスク上咽頭癌患者において、 IMRT単独療法はCCRTと比較し、 同等のOSおよび病勢制御効果を示した。 また、 IMRT単独ではGrade3または4の有害事象の発現率が少なく、 治療中に生活の質の指標が改善した。 この結果は、 低リスク上咽頭癌に対し、 IMRT単独療法が効果的かつ安全であることを示している」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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