低リスク上咽頭癌へのIMRT単独はCCRTに比べより安全かつ同等の効果
著者

HOKUTO編集部

2ヶ月前

低リスク上咽頭癌へのIMRT単独はCCRTに比べより安全かつ同等の効果

低リスク上咽頭癌へのIMRT単独はCCRTに比べより安全かつ同等の効果
低リスク上咽頭癌に対するIMRT単独療法の有効性について、 CCRTを対照に検証した第Ⅲ相多施設共同非盲検非劣性無作為化比較試験の結果より、 IMRT単独療法はCCRTと同等の有効性を示し、 有害事象の発現率も少なかった。 中国・Sun Yat-sen University Cancer CenterのRui Guo氏が発表した。

背景

低リスク上咽頭癌への放射線単独の有効性を検証

低リスク (StageⅡまたはT3N0) 上咽頭癌患者において、 強度変調放射線療法 (IMRT) と化学療法の併用は、 限られたエビデンスしかない。

Rui Guo氏らは、 同試験の主要評価項目である3年治療成功生存率(FFS)率*において、 IMRT単独と化学放射線療法併用 (CCRT) の成績は同等であり、 かつIMRT単独では有害事象も少ないことを既に報告している¹⁾。 今回は、 5年全生存 (OS)率およびFFS率の追加解析の結果が発表された。

*FFS : 再発かつ死亡しなかった患者の割合と定義

試験の概要

対象は中国の低リスク上咽頭癌患者

①ステージⅡまたはT3N0M0

②全てのリンパ節が3cm未満

③IV/Vbのリンパ節転移なし

④節外浸潤なし

⑤EBウイルスDNAが4000コピー/mL未満

と定義された低リスク上咽頭癌で、 中国における5施設で登録された患者を対象とした。

341例を以下2群に1:1で無作為に割付け

  • IMRT単独群 : 172例
  • CCRT群 : 169例

中央値70.1ヵ月の追跡の結果

5年OS率は両群で有意差認めず

  • IMRT単独群 : 95.2%
  • CCRT群 : 98.2%
HR 2.27 (95%CI 0.70-7.40) 、 p=0.16

FFS率も両群で有意差なし

  • IMRT単独群 : 86.2%
  • CCRT群 : 88.4%
HR 1.16 (95%CI 0.64-2.07) 、 p=0.63

聴覚障害や有害事象はIMRT単独群で減少

The Hearing Handicap Inventory for Adult- Screening version (HHIA-S) による評価に基づく聴覚障害の発生データは、 IMRT単独群の86例、 CCRT群の81例から収集され、 IMRT単独群では聴覚障害の発現率が低かった。

聴覚障害の発現率

  • IMRT単独群 : 23.3% (20例)
  • CCRT群 : 30.9% (25例)
聴覚障害を発症した患者のうち21.6% (36例) は心因性聴覚障害だった。

その他の有害事象

Grade3または4の深刻な有害事象としては、 口内炎、 悪心、 嘔吐、 食欲不振などがあり、 IMRT単独群ではCCRT群と比較して、 治療期間中の有害事象の発現率が低かった (IMRT単独群 : 17% vs CCRT群 : 46%) 。

結論

IMRT単独療法は有効かつ安全

Guo氏は 「低リスク上咽頭癌患者において、 IMRT単独療法はCCRTと比較し、 同等のOSおよび病勢制御効果を示した。 また、 IMRT単独ではGrade3または4の有害事象の発現率が少なく、 治療中に生活の質の指標が改善した。 この結果は、 低リスク上咽頭癌に対し、 IMRT単独療法が効果的かつ安全であることを示している」 と報告した。

出典

¹⁾ JAMA. 2022 Aug 23;328(8):728-736.

ポストのGif画像
低リスク上咽頭癌へのIMRT単独はCCRTに比べより安全かつ同等の効果の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
低リスク上咽頭癌へのIMRT単独はCCRTに比べより安全かつ同等の効果